第6走者 小野寺未来さん

第5走者
府中市地域包括支援センターしみずがおか
山田博市さん
第6走者
千代田区社会福祉協議会
小野寺未来さん

昨年の4月から、ちよだ成年後見センターのセンター長として、高齢の方・障害を持つ方々が、 住み慣れた地域でいつまでも安心して生活ができるように、様々な相談・援助に取り組んでいます。

——仕事について教えてください。

千代田区社会福祉協議会(以下、社協)に入職し、今は成年後見センターで働いています。認知症などの病気や知的障害・精神障害などによって判断能力が低下している方が、病気や障害があっても日常生活を不利益なく過ごせるよう、成年後見制度日常生活自立支援事業、区民後見人の養成など、様々な権利擁護の取り組みを行っています。区民後見人の養成は、平成26年度から開始し、今年度から本格的に実施しています。その内容は、法律知識、病気、障がいの理解を深めるための全6日間、計27時間の基礎編から始まり、基礎編の修了者にはさらに講義内容を充実した応用編(全7日間)に進んでいただきます。今年度の参加者募集の説明会から多くの方にご参加いただき、基礎編講座は18名の修了者を養成、実践編の修了者も15名となるなど、改めて地域の方々の底力を実感しました。成年後見を開始しても弁護士などの職業後見人の方は、だいたい月に1回ぐらいの訪問しか受けられないことも多いのですが、基本的な知識を身に付けた区民後見人の方は、より当事者に近しい立場でその人に寄り添った支援を行ってくださいますし、地元の情報に精通しているのはもちろん、物理的にも近くに住んでいることが大きいメリットとなり、先行している地域では毎週訪問してくださる方もいらっしゃると聞いています。このような、専門家による支援に加えて、広く区民の方のお力もお借りした取り組みを今後も継続していきたいです。

また、千代田区独自の取り組みとして、「悪徳商法バスターズ」というものがあります。もともとは、日常生活自立支援事業をご利用されていた方が、かなりの額の預貯金と不動産(マンション)を奪われるという詐欺にあったことがきっかけとなり、消費生活センターとの共催で始めたものです。この取組では、養成講座を経て10名ぐらいの地域の方に参加いただき、連絡会や福祉まつりでの朗読劇を通して悪徳商法撃退の輪を着実に広げています。

——この仕事についたきっかけは何ですか?

地域住民のつながりが薄くなってきてしまった昨今ですが、私自身は東京の下町の生まれ、ご近所同士の助け合いのある環境で育ちました。両親が共働きで一人っ子だったこともあり、近所のおばあちゃんたちが第2のお母さん、近所の子どもたちが皆きょうだいのような存在でした。

実は、ずっと教師になりたいと考えていました。とても尊敬している中学校の時の先生がいたのです。ある日、その先生が学校の階段にうずくまるように下を向いて座っていたことがあり「先生どうしたんですか?」と声をかけて、いろんなお話をしました。そのなかで私の将来の話になって、「学校の先生になりたい」と伝えたのですが、先生から間髪入れずに出た言葉は「絶対やめとけ!」。「先生、いったいなにがあったんですか???」と今さらながら聞いてみたいと思いますが、そのときは先生の言葉を素直に受け入れて、教師になる夢はそこで諦めました。

もともと、私の家の近くには養護学校があったり、学校の活動で特別養護老人ホームなどへのボランティア訪問も行っていましたが、自分の中で高齢の方、障害のある方を特別な人と見る感覚がなかったので、「自分には福祉に関係する仕事が向いているのかな」と思っていました。その後、福祉系の大学に進みましたが、高齢者・障害者・子どもといった特定の分野で自分の仕事を限定してしまうことに抵抗があり、幅広く、分野横断的に福祉の仕事に関わることができることに惹かれて社会福祉協議会に就職しました。入職してからは、特別養護老人ホームと区民交流スペースが一緒に入っている施設の管理運営に携わったり、高齢者活動センターにも在席していましたが、今の成年後見センターにきて8年目となります。いろんな仕事を体験してきましたが、今は私が小さい頃に経験したようなご近所さん同士のお互いさまのお付き合い、「互助」の活動が見直されるといいなと、強く思いながら地域住民の皆さんと接しています。

——この仕事のどんなところにやりがいを感じますか?

社協の業務は多岐にわたりますが、「みんなが参加し、支えあうまちづくり」という地域福祉活動計画の理念をもとに、それぞれの仕事に取り組んでいます。私自身の今の業務では、地域住民の方に生活支援員になっていただき、日常生活自立支援事業を利用されている方への訪問をお願いしています。訪問の様子を見ることがありますが、利用者さんと数十年前の街の様子を思い出しながら会話が盛り上がったりして、同じ地域に住んでいる人同士でなければ作れない心のつながりや安心感・空気感があることを肌で感じています。千代田区は特に、地域への帰属意識が強いというか、この地域の文化を愛している方が多いですね、共に千代田で育って来た力強い同志といった感覚でしょうか。

私が成年後見係に配属された頃は、職員だけですべての個別訪問をしていましたが、今は地域生活支援員として利用者の訪問活動を担ってくれる方も増え、地域生活支援員のなかから区民後見人になっていただける方もでてきました。地域住民の方の養成には大変な思いもありましたが、利用者との信頼関係ができてからの地域生活支援員の方の支援は本当に心強く頼もしいもので、私を含め他の地域から通う専門職にはできない支援があることをいつも思い知らされています。

——つらかった・苦労したといった経験はありますか。

認知症や精神の障害のある方々と日々接していますので、意思疎通などの面でなかなか支援がうまくいかないことで悩むことがあります。私は長らく社会福祉士の資格しか持っていなかったのですが、日々の対人援助の仕事のなかで深く悩んでしまった時期がありました。そこで、5年くらい前に精神保健福祉士という資格も取得しました。病気や障害について深く学んだことで、それからはかなり自分の気持ちがコントロールできるようになりました。「どのような困難(障害)があって、なぜこのような発言をされるのか」「この行動の背景にはどのような要因があるのか」という全体像を捉えることができるようになったのが大きいですね。相談業務は、気持ちの切り替えが大事ですが、なかなか難しいことです。相手を理解することの他に、自分のためにも、関連の勉強を続けることは大事だなと感じています。

——普段の小野寺さんはどんな方ですか?

小学校と高校時代は剣道部でしたが、就職してからは、マラソンが趣味です。職場が皇居に近いこともあり、職場の方から誘われて始めました。東京マラソンにも2回出ましたよ。父もマラソンの愛好家で、一緒に地方に遠征して走ることもあります。それと、つい先日、まとまった休みがいただけたのでアフリカのケニアに行ってき
ました。帰国してからもアフリカを感じていたくて、今はアフリカ関連の本を手当たり次第に読んでいます。アフリカの大地に触れて、小さいことにクヨクヨしなくなりましたね(笑)。

——地域福祉の担い手の方へメッセージをお願いします。

社会福祉士になるための勉強をしている学生が職場に実習に来ることもありますが、先日、その実習の指導者養成のための研修に行ってきました。そこで聞いたのが、福祉系の大学に通っている学生の多くが、福祉関連の会社に就職しないということ。これは、実習先にも問題があるのではないだろうか?実習先の職員がいきいきと、キラキラと輝いているように見えないからではないか?と言われ、図星だなと思いました。福祉の仕事に携わる身として、私もいつも“キラキラ”と“熱量”を持って実習生を迎えたいと思っています(笑)。

また、「地域包括ケア」に関することでは、社協らしく高齢者も障害者も子どもの区別もなく、包括的に地域の暮らしを支えていこうという方向性をきちんと打ち出したいです。介護保険などの制度の枠組みの中だけで考えるのではなく、地域住民の意識や地域の多様な、インフォーマルな活動も常に意識して業務にあたりたいです。

——この仕事を目指している方へのメッセージをお願いします。

千代田区はご存じのとおり東京のど真ん中で、昼間は在勤者であふれていますが、区の住民は約58,000人しかいません。由緒あるお祭りもあるなど、今はまだ町会組織もしっかりと残っていますが、8割以上がマンション暮らしですので、とりわけ町会に加入していない方の生活の様子は把握しづらく、ご近所での付き合いに無関心な方が多いのが大きな課題です。都内はきっとみんな同じ課題を抱えていますよね。

最近よく考えるのは、これから地域福祉を担っていく方々には、私たち世代と比べてご近所づきあいをあまり知らずに育ってきた方もいるだろうなということです。東日本大震災以降は特に、「互助」や「共助」の大切さが見直されてはいるものの、後輩たちには「とにかく大切だから」と単純に伝えるのではなく、「ご近所同士の助け合いがあると、どのような時に、どんな安心が得られるのか」などと具体的なイメージを伝えていくこと、そして、地域の住民と共にその大切さを共有していくにはどのような手段が効果的かを一緒に考えていくことが大切になると思います。地域の中には多様な方々が暮らしているように、福祉の現場も色々な世代・考え方をもったスタッフが必要です。様々なアイデアを出し合って、ぜひ一緒に地域福祉推進の活動に取り組んでいきたいと思っています。

職場の方から見た小野寺センター長

梅澤課長

気持ちを保つのが大変な仕事なので、まあいいかと自分に甘く考えると突き詰めなくなりますけれど、彼女は全然違いまして、頑張り屋で粘り強い職員ですね。社協の仕事は、制度に基づかないサービスも沢山あって、例えば、目の前に困っている人がいて、その先の地域でどう支えていくか、どうアクションを起こせるかがカギですよね。そういうことを常に考えている職員で、勤務時間外でも地域福祉を語る会と称して飲みに行きます。一昨日も行きましたね。彼女はお酒も好きですから(笑)。

 

廣木センター長、小田島さん

竹を割ったような性格で、顔はかわいいですけどスパッとした性格です。仕事上色々な場面でシビアに判断しないといけないことも多かったからか、男らしい?ですよ。だからと言って、自分を押し付けすることもなく、聞き上手でもありますね。みんな彼女に話を聞いてほしくなるというか、相談したくなる雰囲気を持っています。彼女の採用に関わったこともあり、長い付き合いなのですが、年齢は離れていても、同志のような存在です。

インタビューを終えて

素敵な笑顔で熱く「地域福祉」のことを、ご自分の言葉で語っていただきました。話しやすい雰囲気で利用者さんや社協スタッフにもファンが多いのだとか。千代田という「まち」の魅力を少しでも高めたいという意気込みを感じ、こちらも元気をいただきました。

小野寺さんの職場はこちら

千代田区社会福祉協議会

社会福祉協議会は、我が国の社会福祉に関する基本法である社会福祉法の中で、地域福祉の推進を図る団体として位置づけられた社会福祉法人です。

人は皆、誰もが住み慣れた地域の中で、安全に、心豊かな生活を送りたいと願っています。社会福祉協議会は、そうした区民の皆様の福祉ニーズに応えるために、地域の方々からの相談に応じ、多くの区民の参画と支えあいにより、安心して利用できる福祉サービスを提供するなど、地域での暮らしを総合的に支援しています。また、地域の方をはじめとして行政や福祉・医療・保健関係者とともに協力して行う様々な事業を通じて、地域の福祉向上に努めています。

(公開:2016年4月11日)


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