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    東京まちかど通信

    第10走者 宮崎雅也さん

    本多桜子さんの写真第9走者
    文京区社会福祉協議会
    本多桜子さん
    宮崎雅也さんの写真第10走者
    日野市ボランティア
    ・センター
    宮崎雅也さん

    たくさんの笑顔が生まれるまちをみんなで作るために、人と人の つながりや出会いをコーディネートしています。

    ——ふだんのお仕事について教えてください。

    日野市社会福祉協議会のボランティアセンター職員として、ボランティアをしたい人とボランティアを必要としている人たちの声を吸いあげて、一緒に活動していく仕事をしています。福祉施設のお手伝いや、子どもの学習支援、一人暮らし高齢者の話し相手、障害のある人の付き添い、ごみが捨てられなくて生活ができない状態の方など、くらしに何らか課題のある方からの相談も受け付けています。そういった課題に対して、個人の団体のボランティアや市民活動団体、福祉関係者、企業、大学などの協力を得ながら、みんなに支えてもらっています。

    ——とくに力を入れている取組みはありますか?

    東日本大震災の後は、防災を軸にしたまちづくりに関する活動が多いです。日野市社会福祉協議会では、災害発生時に、災害ボランティアセンターを設置する役割があります。また、過去の大災害では、日頃からのつながりが強い地域は災害にも強いことが分かってきたことから、当センターでは、子どもから大人まで誰もが楽しみながら防災を学ぶことができる「イザ!カエルキャラバン!」を市内各地で実施しています。このプログラムは阪神淡路大震災を教訓にNPO法人プラス・アーツが開発したもので、実際に救助で使われた方法を人と同じ大きさのカエルの人形を使って行うものです。このプログラムの特徴として、ただ単に訓練をするだけでなく訓練本番までの間に主催者である地域の人たちがプログラムを企画したり、訓練内容を習得し本番は地域の人が中心となって行います。この過程の中で、顔の見える関係や、訓練を通して子どもたちが地域の大人たちとつながる機会ができると実感しています。

    ——面白い取り組みですし、地域の意識も高まりますね。

    そうなんです。とくに、子どもたちのためとなると、地域の人たちも、積極的になりますね。

    普段は地域活動にあまり積極的ではない方であっても、命を守ることを子どもたちに伝えていくとなると参加する意欲につながりますし、イベントの参加者がいつのまにか担い手に変わっていたりします。私たち社会福祉協議会(以下、「社協」という。)にとっても、地域の人との出会いのきっかけになりますし、イベントの企画や準備、集客を住民の方たちが自ら率先してやってくださるので、とてもありがたいです。

    また、人と人とのつながりが薄くなってきていると言われる中でも、カエルキャラバンのような身近で参加しやすいツールがあり、地域の住民が一緒に活動すると自然とつながりやすくなります。まず、一緒に企画をしイベントを作りあげてきた人たちがつながる。イベント本番には、子どもたちがたくさん集まってくれて地域の大人たちとのつながりができる。その後も事業を実施する度にどんどんつながりが拡がっていくんです。

    このような誰もが関心のある「防災」をテーマとして、僕らが地域とのきっかけを作った後に、社協の生活支援コーディネーターなどが継続的に関わりを持ち、さらに地域のネットワークを耕していきます。そういう意味で、私たちボランティアセンターは、地域づくりを行う上での切り込み隊みたいな役割でもありますね。まずは地域へ入っていって、いろんな人と知り合う。そして、声がかかったら他のセクションの職員も一緒に連れて行って顔つなぎをする。とても地道な一歩ではあるけど、得るものはすごく大きいです。

    ——宮崎さんがこの仕事についたきっかけは何ですか? 

    私は、日野市で生まれて日野市で育ちました。実家は材木屋を営んでいることから、大学では建築学科を専攻し家業に関係する仕事を目指していました。大学が夜学だったので、日中は設計事務所などで働き夜は大学に通うような生活をしていました。

    そんな中、祖父が体調を崩したことから病院の付添いをするようになり、福祉に関心を持つようになりました。

    そんな時、偶然にも先輩からヘルパー講習に行ってみないかと誘ってもらい、ヘルパーの資格を取得し、せっかく資格を取ったのだから働こうと思いデイサービスで介護職員をはじめました。介護の現場で、利用者と接することが毎日とても楽しかったことを憶えています。ヘルパー養成学校に通っているときから障害のある子どもたちと遊ぶボランティアなども経験するうちに、福祉に携わる仕事が自分の天職だと感じるようになりました。

    私は、とにかく自分の生まれ育った日野市が好きで、いずれは自分の好きなまちの力になりたいと思っていました。大学卒業後、社会福祉士の勉強をする中で、社協を知り地域の為に働ける仕事をしたいという思いを実現できる職場だと思い、志望するようになりました。しかし、そのときは残念ながら、社協の募集がありませんでした。そこで、高齢者のデイサービスの相談員をしながら、いずれ募集があることを期待して待つことにしたところ、幸いにも一年後に募集が出たため応募し、現在の日野市社会福祉協議会に入職することが出来ました。

    ——宮崎さんにとって、この仕事のやりがいや楽しみは何でしょう?

    人の思いを形にできることにとてもやりがいを感じます。例えば、子どもの貧困について自分たちにできることはないかという相談からフードバンクの立ち上げを一緒にしたり、家の中に大量のゴミがあり生活ができないといった相談を受けたときに地域の方や関係機関の方々と共に片付けをして地域で生活ができるようになったりと、様々な誰かの力になりたいという思いが一つひとつつながり形になっていくことを一緒につくりあげられることが何より嬉しいです。そういった人たちとの出会いが私の力となって蓄積されていくことのありがたさを日々実感しています。私たち社協の仕事は、地域を舞台とした黒子のような役割であって、主役である地域や個人を支えそれが本人の自信や生きがい、生きる力へとなる時を一緒に過ごせることが私たちの仕事の醍醐味ではないかと感じています。

    ——苦しかった経験などはありますか?

    お気楽な性格なので、あまり苦しかったという思いを持ったことはありません。あえて言うとしたら、地域での話し合いの場がありますが、それぞれの価値観や考え方の違いがあり、なかなか物事が進まないことがあります。地域に関わらせていただくときには、それぞれの人たちとの信頼関係が必要不可欠です。その信頼関係を構築するまでの間、じっと我慢する時期が大変です。ただ、この時間をいかに丁寧にするのかがとても大切だと感じています。

    ——地域福祉の担い手の方やこの仕事を目指している方へのメッセージをお願いします。

    とにかく楽しい仕事です。そして、仕事だからということ以上に、たくさんの人々の優しさや行動力、熱い思いをたくさん聞ける場にいられることに喜びを感じます。入職当時は、自分の生まれ育ったまちへ対する熱い思いはあっても、地域福祉と聞いてピンと来ていませんでした。しかし、いろんな人と「出会い、笑って、泣いて、悩んで、解決して、悔しがって、喜んで」をたくさんの人たちと重ねているうちに、気持ちを共有するする人が増えていくことが地域福祉なのかなと感じています。地域には困っている人もいれば、助けてくれる人もいます。そして困っていた人が助けてくれる人にもなります。いろんなことが起こるくらしの中の一人ひとりと向き合いながら、みんなが楽しく暮らせる社会がつくれたらいいなと思っています。ちょっと出来過ぎたきれいごとを言っているように聞こえるかもしれませんが、このような思いを持ってこれからも仕事に取り組みたいと思います。同じ気持ちを持った人がいると思うだけでも力が湧いてきます。一緒に頑張りましょう!

    職場の方から見た宮崎さん

    飯島事務次長の写真 飯島事務次長

    宮崎さんは、働き方に人柄が表れるというか、どんなタイプの人とも上手に接することができる人ですね。ボランティアセンターには、いろんな方が相談に来られますが、中には気難しい方もいらっしゃいます。そういう方も宮崎さんには信頼を寄せてくださる。とても傾聴力があるんだと思います。市内の小学校で、避難所を開設した際にどうやって運営をしていくかという課題があったときも、市・学校・地域それぞれが、それぞれの立場から上手くイニシアティブを取れずにいたところ、宮崎さんがコーディネーター役になって、良い方向にまとめてくれました。校長先生たちからも、「一校に一人宮崎さんがいてほしい」と言っていただいたぐらい、信頼を得ていますね。また、近隣の大学などの学生との連携が多いのも日野市の特徴なのですが、そこでも宮崎さんが中心となってくれています。各学校においてボランティアセンターができたり、そこでできたつながりから、社協の他の活動にも協力してもらえるようになったりする。一つずつ積み重ねながら、実際の事業や活動に生かせているのは、すごいなと思いますね。

    多賀課長補佐の写真 多賀課長補佐

    宮崎さんと一緒に仕事をするようになって二年になりますが、とても仕事が丁寧な人です。途中で投げ出したり、適当にあしらったりせず、必要なことを最後まできっちりやる。だからこそ、信頼されるんだと思います。人との関わり方の上手さは、天性のものがあると思いますが、いろんな人たちの間に立ちつつ、自分のやれることはきちんとやり、進むべき道はきちんと進んでいるという印象がありますね。既に、社協の中心になって、みんなを引っ張っていってくれる存在です。

    インタビューを終えて

    地域活動も福祉も「くらしの一部」と言う宮崎さん。お話を聴く中でも、地元日野市への愛着や、「地元に貢献したい」という熱意がひしひしと伝わってきました。「自分の暮らすまちを良くしたい」という思いを積み重ねていくことが、地域づくりの原点だということを再発見したインタビューでした。

    宮崎さんの職場はこちら

    日野市社会福祉協議会 日野市ボランティア・センター

    日野市ボランティア・センターでは、ボランティア活動をしたい方とボランティア活動に来てほしい方をつなげ、またボランティア活動に関する情報の提供や活動に関する相談を受け付けるなど、ボランティア活動に関する様々な取り組みを行っています。

    (公開:2017年2月1日)

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