2025年の東京をつくる 東京ホームタウンSTORY

2025年に東京が目指す「人」と「まち」の姿とは

東京ホームタウンプロジェクト
運営メンバー座談会
2017年7月19日

NPO法人コミュニティビジネスサポートセンター 代表理事 永沢 映
株式会社エンパブリック 代表取締役 広石 拓司
認定NPO法人サービスグラント 代表理事 嵯峨 生馬
東京都福祉保健局高齢社会対策部在宅支援課在宅支援担当 西沢 佳
(※2017年3月当時)

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浮かび上がる「採算の視点」の必要性

西沢:ここからは、みなさんが東京ホームタウンプロジェクトで関わるプログラムの紹介と、これまでの成果や課題を共有したいと思います。

永沢:私は中間支援機関向けのサポートプログラムを担当しています。シニアを含めた地域活動の多くを担っている方々が自分自身が喜びながら楽しみながらやらなければ、地域包括ケアの仕組みはうまくいかないということです。そうしないと健康寿命が延びるということにつながらないですから。中間支援機関も一緒になって楽しい仕組みをどう考えるか、そこをしっかり考えてほしいと思っています。

それから、活動の現場は予想以上に数字を立てるというスキルが脆弱です。最近広まっているコミュニティカフェなどの地域の場づくりにしても、家賃、光熱費、人件費がかかります。ずっと補助金で経営するのには限界があるわけです。採算性や継続性の思考が低い、そこが一番ギャップとして感じます。

福祉の世界に「採算事業性」を導入できないと予算が肥大化してしまう。素晴らしい取り組みが継続できるような仕組みをどう作り上げるか、それが私の担当しているセミナーの中では強く感じていることです。

広石:これまでの福祉では、お金の話になった瞬間に「どうするんだっけ」となりがちですね。

西沢:プロボノ1DAY(ワンデー)チャレンジをはじめ、東京ホームタウンプロジェクトではプロボノによってビジネスパーソンが地域活動の現場に入り、ビジネスの視点を入れた。そこに東京のスケールメリットや東京らしさが出たと思っています。

※プロボノとは、企業人・専門家等がビジネススキルや専門知識を活かして行うボランティア活動のこと。東京ホームタウンプロジェクトでは、地域団体が抱える課題に対し、プロボノワーカーと呼ばれるボランティアメンバーが、その課題解決に役立つ具体的な成果物を提供することで、団体の基盤強化を支援している

価値観やバックグラウンドの違う人と課題を共有

広石:僕は、場づくりの基礎セミナーを担当しています。福祉の分野の人たちは今まで当然、福祉の価値観を前提としたミーティングをしてきたわけですが、地域包括ケアになってくると価値観の異なる人たちと話し合うことになります。

以前から介護と医療の連携はなかなかうまくいかないと言われてきました。それは、問題の設定や解決策の重点の置き方が違うからです。違いを難しさと考えるのではなく、背景、価値観の異なる人が違いを生かし合いながら話し合うとはどういうことなのか、講座の中で伝えています。

セミナーでは、まず「自分たちの地域に何が必要か」という問いかけを設定します。地域包括ケアは地域に足りないことを考え、協力して整えていくことがとても大切な視点なのですが、みんな「これができている」としか言わない。助け合うためには自分たちだけでは十分にできていないことや、分からないことを口に出して話し合うことが大切であり、そのためのノウハウを伝えていくことがテーマだと思っています。

東京ならではの特殊性もあります。生まれも住んでいるのもその地域ではない人が地域包括ケアの担い手となっている場合も多いのです。その中で、自分たちの町という当事者意識をどう持っていけばいいのかも課題です。

嵯峨:東京は人口が多いですから、地域の人とつながらなくても人とのネットワークを選択できる「選択縁」が成り立ちます。ある程度元気なときはそれで成り立っても、年齢を重ねると、それはなかなか不安なことなのではないでしょうか。

西沢:80歳、90歳になると、週に何度も電車に乗って出かけるのは大変という方も多いでしょう。介護予防の担当者としては、歩いて通える範囲に「縁」を、と思います。

広石:福祉や医療など特定のテーマで集まると同質的なつながりができます。しかし地域は異質な人の集まりです。同じ町に住む異質な人たちと付き合う難しさが「東京=ホームタウン」の難しさですよね。しかし、価値観の異なる人とつながると違う世界が見えてきます。高齢期に入って地域とつながることで新しい友達が増える、そこで永沢さんの言う「楽しさ」のようなものが発見していければいいですよね。

嵯峨:人口密度も高いですから、地域の中にも気の合う人がいる可能性も高いかもしれません。地域活動をやっている団体さんは、活動がとても文化的だったりもする。価値観などの面で共鳴したみなさんがいて、活動が継続しているのではないかと感じることもあります。

「個性×地域性×ビジネスモデル」でカスタマイズ

永沢:私は、今までのように、ある成功モデルをわが地域に、といういわゆるフランチャイズ式の一元的な仕組みの導入は、もう通用しないと思っています。例えば、子ども食堂が急激に広がっていますが、成功例をそのまま展開しているところも多い。しかし私たちのように伴走支援を提供する側の視点として必要なのは、それが本当に地域で継続する形でやっていけるのか、地域の特性や担い手となる個人や組織の個性・能力など、そして地域性を加味すること。地域活動やコミュニティビジネスは「個性×地域性×ビジネスモデル」が掛け合わされない限り、地域での継続は困難だと思っています。

広石:福祉の分野は今まで、専門家や中央省庁が「これをしたらうまくいきます」と全国一律の答えを教えることが多かったと思います。だから地域の答えを出そうという地域包括ケアは難しいと思ってしまう。でも、そこを自分たちで地域の人たちと考えなければいけないということを動機づけることも大切だと思います。

西沢:決まった答えはないので、そこに暮らす住民と一緒に答えを見つけていくほかありません。自ら地域の課題を知り、何が足りないか、何ができるかを一緒に考えていくことで、モデル作りに楽しんで関わってもらえるのではないか。長期的な視点で住民の「やりたい」という気持ちを引き出していく戦略が求められています。


東京ホームタウンプロジェクトの支援先、参加者、協力団体などをご紹介します。

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