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    東京ホームタウンSTORY

    2025年の東京をつくる 東京ホームタウンSTORY

    支援先レポート

    早めに知って不安をなくそう。
    ウォーキングと脳トレ、社会参加で認知症予防につなげる取り組み


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    早めに気づけば、対応策が見えてくる

    こうしていち早く認知症予防の会を結成し、ユニークな活動を続けている武蔵野すこやかには、自身や家族のことで相談に来る方や、モデルケースとして見学に訪れる人も多い。

    「相談者も、以前はこっそり来られました。だいたい認知症ってみんないやがるでしょう。公にしたくない、という人が多かった。それが、2004(平成16)年に厚生労働省が『認知症』という名前にあらためてから、認知症を予防する手法がだいぶ活性化してきた。いまは家族が公にするのもだいぶ慣れてきたように感じます。家族は本当に大変ですから、やはりみんなで支え合わないと」

    60代の男性が物忘れが多くなったと心配して本人自ら相談にきたことがあったという。約束の時間を忘れたり、自分の家に帰る道筋がわからなくなったと。初期認知症の方だった。

    「何も対処しない場合、1年間で15%くらいの方が本格的な認知症に進行するというデータもあります。そうした方に早期診断ができるように促すことも、われわれの大きな役割です。病気の認知症だとわかり対応策が見えてくれば、不安感も減るのです。武蔵野市は丁目ごとにドクターがいて、物忘れ相談などに応じてくれます。認知症だとわかれば進行を遅らせる薬を処方できる。場合によっては成年後見制度を早々と取り入れるとか、延命維持装置を一切しないなどの遺言を準備できます。そうした知識も持っている私たちの会の活動をとおして、いちはやく気づくきっかけをつくっていきたいと考えています」

    認知症研究の最前線を学び、活動にいかす

    星田さんの口からは認知症予防に関する知見や情報が次々と飛び出してくる。

    「認知症予防には1日5,000歩、7.5分の早歩きが効果的です。このデータは、群馬県中之条町の65 歳以上の住民500 人の1日の歩数・速歩きの時間と病気発症の関係を追跡調査してきた青柳幸利先生によるものです。糖尿病の方は、認知症になるリスクが2倍と高くなります。これは、九州大学で長年にわたって行われた福岡県久山町の疫学調査から明らかになったことです。中之条町と久山町は、認知症研究では特に有名な地域です」

    それでも認知症の医学的研究はまだはじまったばかり。星田さんは、献脳をすることに決めていると言う。

    「欧米では献脳はポピュラーですが、日本ではまだまだ知られていないですね」

    献脳とは、ブレインバンクなどにドナー登録して、死後に脳を医学研究のために役立ててもらうこと。会では、ほかにも何人かの方々が献脳を望んでいるそうだ。

     「行政はもっと認知症の予防に力を入れるべきだと思います。たとえば、イギリスでは、10年ほど前に認知症国家戦略を発表し、予防対策の予算を大幅に増やしました。診療報酬の制度も、日本と異なり、病気を予防するために患者に指導を行う医者には診療報酬ポイントがつくそうです。国を挙げてのさまざまな取り組みが成功して認知症の有病率が低下したといいます。
    われわれは認知症についての理解促進、その予防の手法を広めていこうと努めているけれど、市民活動だけでは無理があると感じている。予算は少ない。みんなボランティア。地味な活動ですし、運営を続けていくのはなかなか大変です」

    それでも続けているのは、自分たちのためでもあるから、と言う。

    東京ホームタウンプロジェクトの支援先、参加者、協力団体などをご紹介します。

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