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    東京まちかど通信

    「うたごえ喫茶」や「縁り合い(よりあい)」活動でシニアの元気と街の活性化に貢献する

    あだち団塊ネット「サエラ」 会長 小林恭眞(こばやし きょうま)さん 事務局・会計担当 齋藤陽子(さいとう ようこ)さん

    足立区内の駅前にある喫茶店を借りての「うたごえ喫茶」や、少人数が集まって共通の趣味を楽しむ「縁り合い」活動を行っている、あだち団塊ネット「サエラ」(以下、「サエラ」)。「まずは自分自身が楽しむことで、参加する元気な中高齢者をより元気にするという考え方で運営している」と語る、会長の小林恭眞さんと事務局・会計担当の齋藤陽子さんにお話をうかがいました。

    あだち団塊ネット「サエラ」会長の小林恭眞さんと、事務局・会計担当の齋藤陽子さんにインタビュー

    昔ながらの喫茶店は地域に密着しており、「うたごえ喫茶」をきっかけに繁盛すれば街の活性化にもつながります。

    ――まず、「サエラ」を設立した経緯からお教えください。

    小林恭眞さん

    小林:足立区が2006年に、団塊世代地域回帰推進事業による地域活動に関する講座を始めました。その第1期生の中で、私を含め「自分も何か始めたい」と考えた十数人の有志が集まってできたのが「サエラ」です。
    当初はうたごえ喫茶とパソコン教室と二本柱でやっていたのですが、「パソコン教室は他にもたくさんあるので専門家にお任せした方がいい、それよりも自分たちがもっと一つになって楽しめることをやろう」という話になって、皆が楽しめる「うたごえ喫茶」をやることにしたのです。

    「サエラ」とは、「あちらこちら」という意味のフランス語なのですが、その名のとおり、現在は足立区内の4カ所の喫茶店で月1回の「うたごえ喫茶」や、区内の老人ホームなどに赴いて「出張うたごえ喫茶」を開催しています。また、少人数が集まってフラワーアレンジメントやビーズ手芸を楽しんだり、散策を行う「縁り合い」といった活動を行っています。会員数は100人を超えたところです。

    ――では、「うたごえ喫茶」「出張うたごえ喫茶」の内容について詳細をお教えください。

    小林:今はチェーン系の喫茶店が全盛で、駅前にある昔ながらのオーナー系喫茶店は経営が厳しい状況が続いています。しかし、そういった昔ながらの喫茶店は地域に密着しており、「うたごえ喫茶」をきっかけに繁盛すれば街の活性化にもつながります。そこで、シニア層が集まりやすい駅前にある個人経営の喫茶店をお借りして「うたごえ喫茶」を開催することにしました。

    参加人数は30人から60人程度で、お店のサイズによって変わります。毎回2時間、ギターやフルート、二胡といった楽器を伴奏に、昭和の歌謡曲や唱歌など数十曲を歌います。伴奏者は、楽器演奏ができる会員などが務めています。毎回1000円の参加費を集め、お店へワンドリンク代を支払い活動費に充てています。この「うたごえ喫茶」に参加した会員がその後もお店を利用するようになって、お店も喜んでくださいます。

    「出張うたごえ喫茶」は、区内の老人ホームや保健センター、住区センターなどからの依頼を受け、役員が出張しそこに集まるお年寄りと皆で歌を歌うというものです。年10回ぐらい行っています。

    長蛇の列ができる会場の受付前。年2回、レストランピガール(足立区役所14階)で開催される「うたごえ喫茶」パーティには160人以上の参加者が集まる。

    黄色の「サエラ」ジャンパーを着て歩きまわりながら合唱し、会場を盛り上げる小林さんとスタッフ。

    歌を歌うだけでなく、雰囲気づくりにも気を配っています。

    ――イベント内容の企画では、どういった工夫をされているのでしょうか?

    齋藤陽子さん

    齋藤:歌を歌うだけでなく、雰囲気づくりにも気を配っています。そのために、まず選曲は、5月ならば「こいのぼり」を入れるなど季節感を出します。「出張うたごえ喫茶」の場合は、お年寄りに新聞紙で「かぶと」を折ってもらい、それを被って歌ったりします。また、例えば「高原列車は行く」を歌う時は、「汽車の窓から ハンケチ振れば」という歌詞に合わせて、事前に配った黄色いハンカチを振るのです。そういった小道具を用いると盛り上がり方が違いますね。そして、最後は必ず「ふるさと」を手話で歌います。涙ぐむ人もたくさんいますね。

    小林:今年の4月には、200曲の歌集在庫も無くなったことで新たにオリジナルの歌集の改定をしました。昔の唱歌からSMAPの曲まで250曲を厳選し、もちろん日本音楽著作権協会の許諾を得て掲載しています。以前の歌集に比べ、文字を大きくし、カット絵も変え、紙質もよいものにしました。
    演奏では、皆さんが歌いやすく、喉を痛めないよう、キーを少し下げて演奏しています。

    ――「縁り合い」の内容はいかがでしょうか?

    小林:「うたごえ喫茶」より、もう少し少人数で会員同士がより親密になれるようにと、今年から始めたばかりの活動です。今はフラワーアレジメントやビーズ教室など、それぞれ同好者が15人程度集まって行っています。今後は、何かが得意な会員が講師となって行う「縁り合い」を増やしていければと思っています。人に教えることで、その会員はさらに張り合いを感じられるようになると思うからです。

    また、区内にある大学の学生食堂でお昼ご飯を食べ、付近を散策し、最後に「ミニうたごえ」をやって解散するといったミニツアーも行いました。若者が集まる環境に接して刺激を受けたり、逆にこちらが若者に教えられることもたくさんあると思います。そんな世代間交流を今後もできればいいと考えています。

    都電を貸し切って行われた歌声都電&とげぬき地蔵ツアー1

    歌声都電&とげぬき地蔵ツアー2

    同じ気持ちを持った仲間が集まり、自ら楽しみ、元気な高齢者を元気づけたいと思います。

    ――東日本大震災の被災地への支援活動もされていると伺いました。

    会場入口に設置された募金箱と「地域の芽生え21」の活動を通じて咲いたひまわりの写真

    小林:年に2回、拡大版の「うたごえ喫茶」を区の施設で行っており、160人以上のお客さまを集めています。この5月に行った時は、足立ケーブルテレビでも報じられたこともあって170人も集まりました。今回は「あの日を忘れない これからもずーっと 歌声を通して」と銘打ち、東日本大震災復興支援募金を集めて、足立区に本部を置き被災地支援を行っているNPOの「地域の芽生え21」に渡しました。私たちが直接被災地に行ってボランティア活動をするよりも、こうした団体に託したほうが有効活用できるという考えです。震災から2年経って、人々の記憶から薄らいで行かないよう年2回支援活動を実施することにし5回目を開催しました。

    ――「サエラ」の活動を通じて、どのようなやりがいを感じていますか?

    齋藤:「うたごえ喫茶」で司会を務めるにあたり、一曲一曲、参加者の皆さんとキャッチボールすることを心がけています。そのために、曲の背後にあるエピソードを調べるのです。知らなかったことがたくさんあって、雑学が身につくところが楽しいですね。そして、調べたことをお教えして、「へー、そうだったの、知らなかったわ」などという反響があると、「やったね!」と思います(笑)。私のほうこそ楽しんでいて、今ハマっているという感じです(笑)。

    小林:齋藤さんが今言ったように、まずは役員の我々が楽しめていることが大きいですね。主催者が楽しめなければ、集まる人も楽しいとは思えないからです。そうしてシニアが楽しい時間を過ごすことで元気になれることが最大の意義ではないかと思います。サエラを通して、同じ気持ちを持った仲間が集まり、自ら楽しみ、元気な高齢者を元気づけたいと思います。

    それと、声を出して歌うことはいい腹式運動になり、心身の健康に役立っていると思います。
    ちなみに、2回続けて休んだ会員には私が電話をしています。安否確認のためだけでなく、人から電話をしてもらうとうれしいものだからです。こういった地道な活動でネットワークが維持できていると思いますね。

    演奏するスタッフ。フルート奏者は齋藤さん

    手話をしながら、「ふるさと」を合唱。

    ——こうした活動を目指す人に、長く続けるコツなど何かアドバイスをお願いします。

    小林:60歳以上のシニアが、何かを目指すために初めて集まっていきなり活動を始めようとしても、なかなかうまくはいかないかもしれません。何かのためというより、自分たちが楽しむために自然と集まり、まずは親睦を深めることが大切だと思います。お互いのことをよく知り合わなければ、一つの目的を共有し活動を継続させることは難しいと思うからです。そして、ゆるやかでも団結できれば、それに加わりたいという人が集まって自然と活動の幅が広がっていくのではないでしょうか。大切なのは「楽しむ」ことであって、楽しめなくなればいつでもやめればいいと思います。逆にいえば、そう思うことが長続きするコツではないでしょうか。

    また、活動には経費もかかるので、会費はもちろん、外部から依頼された時なども費用をいただくことをためらうべきではないと思います。

    ――最後に、これを見ている視聴者にメッセージをお願いします。

    小林:これを見ているということは、すでに「はじめの一歩」を踏み出したということです。何事も、自分が動かなければ始まりません。少しでも興味を覚えたら、電話1本かけるだけでもいいので、次の行動に繋げてみてください。そうすれば、楽しい世界が開けていくと思います。

    「うたごえ喫茶」参加者や会員の方にインタビュー

    脳トレサポーター・ななかまどの会 代表 福澤チヨ子(ふくざわ・ちよこ)さん

    拡大版の「うたごえ喫茶」は、「ななかまどの会」会員とともに最初から参加しています。私を含め、当会は78~80歳ぐらいの方が中心です。この「うたごえ喫茶」では私たちにとってなつかしい歌をたくさん歌えるのがとても楽しいです。大きな声で歌を歌えるという機会がほとんどないので、年2回のこの機会はとてもありがたいと思っています。お腹の底から声を出して歌え、しかも仲間づくりもできるので、「サエラ」の「うたごえ喫茶」に参加することをお勧めします。

    「サエラ」ゴールド賛助会員 峯岸君江(みねぎし・きみえ)さん

    サエラの「うたごえ喫茶」は、7年前の1回目から参加しています。それ以来、楽しいから毎回参加しています。もう15回ぐらいになるでしょうか。私の周りでは、参加をやめた人はいませんね。とっても楽しく、歳を忘れられるので(笑)、皆さんも参加してみてください。

    ※「サエラ」ゴールド賛助会員とは、連続5年間継続している賛助会員の方です。2013年の該当者は9名で、ゴールド賛助会員カードと記念品を進呈しています。

    「サエラ」ゴールド賛助会員 斉藤きよ子(さいとう・きよこ)さん

    サエラの「うたごえ喫茶」は、7年前に友だちに紹介されて来てみたのが最初です。その時すごく楽しかったので、それ以来毎回楽しみに参加しています。小林会長以下、サエラのスタッフの皆さんが一生懸命やっているので、足が向きます。私もお友だちにいつも声をかけていますが、皆さんもぜひ参加してみるといいのではないでしょうか。

    初参加の鈴木房彦(すずき・ふさひこ)さん

    妻がケーブルテレビで知ったことがきっかけになり、初めてサエラの「うたごえ喫茶」に参加しました。皆さんリラックスして大声で歌っているところが本当に楽しそうでした。私もお腹が空くくらい、気分よく歌えてとても楽しかったです。伴奏の方々は素人でしょうが、一生懸命演奏している姿が伝わってきましたし、司会の方にも和ませてもらいました。歌うことが大好きなので、また参加したいと思います。

    ■プロフィール

    あだち団塊ネット「サエラ」
    設立/2007年3月
    代表者/会長 小林恭眞
    活動内容/「うたごえ喫茶」および「縁り合い」活動

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