働く場の提供や地域のコミュニティ運営を通じてシニアの居場所づくりに取り組む

特定非営利活動法人 日本シニアジョブクラブ 代表 成清一夫(なりきよ かずお) さん

三鷹市の中心部に拠点を置き、地域のシニアを集めて「みたか便利屋ネット」などの活動を行っている日本シニアジョブクラブ。アクティブシニアに働く場を提供するとともに、シニアたちの生きがいとなるコミュニティづくりに取り組んでいます。
代表の成清一夫さんに活動内容やその意義などについて、お話を伺いました。


日本シニアジョブクラブ 理事長 成清一夫さん(66歳)にインタビュー

「誰に頼めばいいかわからなくて困っている」というケースが多いので、 安心して頼める人を紹介するだけでも喜ばれますね。

――まず、日本シニアジョブクラブの概要をお教えください。

日本シニアジョブクラブは、「みたか便利屋ネット」「三鷹成年後見研究会」「マンション管理プロジェクト」という3つの活動を統括しているNPO法人です。そのほか、市内の5団体と共同で「みたか みんなの広場」というコミュニティスペースを運営しており、私が代表を務めています。2015年1月現在、正会員11名、準会員15名の計26名が登録しています。登録しても実際の活動に参加しなくなるという人もいますので、まずは全員を準会員として登録し、希望者を正会員に登録するという2段階構造にしています。NPOですから、年1回総会を開かなければなりませんが、総会には正会員だけが出席できます。会員の年齢層は60代を中心に、最高齢で84歳の方までいます。得意分野もやりたいことも様々です。平均年齢は65歳ぐらいでしょうか。男女比は7対3と男性が多いですね。

みんなの広場:運営委員会みんなの広場:運営委員会
みんなの広場:科学遊びの会みんなの広場:科学遊びの会

——それぞれの活動内容をお教えください。

「みたか便利屋ネット」は、一人暮らしのお年寄りなどが日常的にお困りのことを有償でお手伝いするという活動です。メニューとしては、健康や介護、悩みごとについての生活相談から、年金やパソコントラブルなどの専門的な相談、掃除や庭の草むしり、買い物、送迎などの軽作業、空調の清掃やリフォーム、大工仕事などの専門的作業まで、1回3000円から作業内容に応じた料金で対応しています。会員に毎月1回チラシを配布してもらい、注文は私が電話で受けて会員にメーリングリストを流します。いただいた料金の90%を会員に取ってもらい、10%を本部の運営費に入れてもらっています。専門的な作業など会員の手に負えないものは、専門の業者を紹介します。「誰に頼めばいいかわからなくて困っている」というケースが多いので、安心して頼める人を紹介するだけでも喜ばれますね。

除草作業前除草作業前
除草作業後除草作業後

「マンション管理プロジェクト」は、宅地建物取引主任者の有資格者である私と、もう一人のマンション管理士有資格者の会員の2名で行っています。 “マンション銀座”とも呼ばれる三鷹にはマンションが多く、その中でも特に高齢者が多くを占める管理組合を中心に相談に乗っています。相談内容は、マンション管理会社に対する不満への対処方法とか、自ら管理をしたいという場合のノウハウの提供などです。

「三鷹成年後見研究会」は、今後、身寄りのない高齢者が認知症になった場合に求められる市民後見人のニーズが高まるということで、それを積極的に担っていこうという取り組みです。行政書士に来てもらい、勉強会から始めました。ただ、市民後見は実際には広がっておらず、行政との連携もなかなか進まなかったり、裁判所とのコンタクトも難しいので、他の市民団体との連絡体制は維持していますが、現在は実質的な活動を休止しています。
「みたか みんなの広場」は、先々代の市長宅が空き家になっていたところをご家族のご厚意で借り受け、市の助成も受けて6団体が共同で運営しています。主に高齢者のための“居場所づくり”が目的です。利用料は飲み物付1回300円で、利用者同士がコミュニケーションしたり、いろいろな困りごとなどの相談をする場となっています。

シニアの就業を支援している組織(わくわくサポート三鷹)の所長から「自分で何か始めてみなよ」と言われたことがきっかけとなりました。

――利用者の反響などはいかがですか?

初めて便利屋の仕事をされる方には私が同行してチェックするなど、仕事の質にはこだわっています。「みたか便利屋ネット」はリピーターのお客様がほとんどなので、好評ということなのだろうと受け止めています。また、お困りのことに対応する業者を紹介すると、「助かりました」と喜んでいただけますよ。

――専門業者の紹介など、ネットワークがポイントのように思います。
どのように充実させているのでしょうか?

街を歩いている時などでも、何か役に立ちそうなものはないかと情報収集を心がけています。そこで気になったことはすぐに調べて、自分の引き出しに加えていますね。また、当NPOも登録している「三鷹市民協働センター」という団体があります。そこには市内の150ほどの団体が登録しており、ハブの役割をしていますので、困った時はよく活用しています。

――では、この活動を始めた経緯をお教えください。

ビール会社に勤めたあと、不動産鑑定会社に転職し情報システムなどに関わりました。定年後にIT会社に転じましたが、業績不振に陥ったので自主退職したのです。そして、地元でシニアの就業を支援している「わくわくサポート三鷹」に通い始めたのですが、なかなか展望が開けず不安と焦りにかられるようになり、うつ病になりました。
克服したきっかけは「わくわくサポート三鷹」の所長が開いてくれた飲み会でした。
ほかにも同じような境遇の人たちが何人もいて、みんなの不満を吐き出させてくれました。それを聞いて「自分だけじゃない」と安心できたんですね。そして、親しくなったそこの所長から「教えてやるから、自分で何か始めてみなよ」と言われたんです。
それがきっかけとなりました。何をするかは集まったメンバーと相談しましたが、まずは草むしりや掃除など、誰にでもできそうなことをやろうということで「みたか便利屋ネット」をやることに決めた、という経緯です。

みたか便利屋ネット立上げ会合みたか便利屋ネット立上げ会合
みたか便利屋ネット説明会風景みたか便利屋ネット説明会風景

今でも時々、自分でこんな活動ができたなんて驚くことがあります。しかし、自分一人ではできないことで、みんなの協力があってこそなんですね。

――日本シニアジョブクラブの会員にとって、活動の意義にはどういったことがあると感じていますか?

まずは、コミュニティに参加できているところですね。会員は、女性も含めて長年働いてきた人ばかりですが、そういった人はリタイアすると地域とのつながりの薄さに直面するんです。まだ元気で何か活動したいという動機で入会した人も、ここで仲間に会えることに意義を感じて継続的に月例会に参加しています。それ以外に、毎年忘年会と総会後の飲み会を年1回ずつ行って親睦を深めています。

また、地域の一人暮らしのお年寄りに対しては、「みたか便利屋ネット」の活動を通じて話し相手になるという意義もありますね。会員がお手伝いできる仕事は、草むしりなどせいぜい30分から1時間程度で済むものでしょうが、その後「お茶でも飲んで行って」と誘われて2時間ほど話し相手になることがよくあります。会員には、「誘われたら断らずに相手になってください」とお願いしていますが、そんなことでも役に立てれば会員のやりがいにもなっているのではないでしょうか。

――成清さんご自身にとっての意義はいかがでしょうか?

成清一夫さん日本シニアジョブクラブ代表 成清一夫さん

5年前、自分がまさかこんな活動をするなんて夢にも思っていませんでした(笑)。今でも時々、自分でこんな活動ができたなんて驚くことがあります。しかし、自分一人ではできないことで、みんなの協力があってこそなんですね。そういう助け合える場になっていることに感謝していますし、こうしてみんなに頑張ってもらっている限りはやめられない、と思っています(笑)。

――最後に、読者にメッセージをお願いします。

団塊世代の全員が後期高齢者になり、現状のままでは医療制度や介護制度が破たんするといわれている「2025年問題」が、いよいよ10年後に迫ってきました。これを根本的に解決することはできなくても、少しでも軽減させることはできます。そのためには、シニア一人ひとりができるだけ医療要らず、介護要らずの健康寿命を伸ばすしかありません。健康でいるためには、アクティブに活動することが何よりです。では何をすればいいか。実はみんなできることがあるのに、知らんぷりしているんですね。60年、70年も生きてきたのなら、できることはたくさんあるはずです。そして、家の近くにはかならず活動団体があるはずです。そこに行って、「自分にはこういうことができる」と言ってください。そういう行動を起こすことが非常に重要だと思います。毎日やることがあるっていいことですよ。

(取材:2015年1月19日)

■プロフィール

特定非営利活動法人 日本シニアジョブクラブ
設立/2010年
代表者/理事長 成清一夫


このページのTOPへ
このサイトについて個人情報保護方針お問い合わせ