「居場所」と「出番」を創造する場でアクティブシニアが活躍

シニアSOHO普及サロン・三鷹 事務局長 堀池拓郎(ほりいけ・たくろう)さん 携帯電話講師WGリーダー 小川真理子(おがわ・まりこ)さん タブレットサポートWGリーダー 加山ツヤ子(かやま・つやこ)さん 脳若プロジェクトマネージャー 荒木高子(あらき・たかこ)さん

元気なシニアの居場所と活躍できる場を提供し、コミュニティビジネスを支援する「シニアSOHO普及サロン・三鷹」。これまでに培った専門知識や能力を生かして起業する高齢者からは、セカンドライフを大いに満喫していることがうかがえます。事務局長の堀池拓郎さんにシニアSOHO発足の経緯化から活動の概要などを、そしてワーキンググループを率いるリーダーの方々にもお話を伺いました。

事務局長 堀池拓郎さんにインタビュー

現役時代に培ったスキルや能力はセカンドライフでも活かせます。

――シニアSOHO普及サロン・三鷹が発足した経緯を教えて下さい。

1999年1月に、ある大学のOB会が「草の根パソコンクラブ勉強会」を立ち上げました。当時はパソコンが一般にも普及し始めた頃で、国もIT講習に力を入れ始めた時期でもありました。そのためこの勉強会は、同年9月に通産省(当時)の「シニアベンチャー支援事業」を受託、三鷹市内でパソコン講座を開催するようになり、2000年11月に「シニアSOHO普及サロン・三鷹」(以下、シニアSOHO)としてNPO法人の認証を受けました。

最初はパソコン教室をメインに活動していましたが、時代と共に私たちの活動も変化しています。パソコン教室だけでなく、現在はタブレットや携帯電話の講座をはじめ多岐にわたりますし、行政から委託を受けたプロジェクトも行っています。

発足当時、パソコン講座の講師を務めていたのは、定年後、あるいは定年間近のIT知識が豊富だったメンバーです。どの方も三鷹の自宅から会社に通勤する日々を長い間送られ、いざ定年退職してみると、長く住んでいる家のある地域のことをまるで知らないとか、家の周囲に知り合いがいないとか、そういう現実に直面しました。そして次第に人とつながりたい、地域とつながりたい、社会とつながりたいと考えるようになり、「何かしたい」とシニアSOHOに足を運びました。そうしてシニアSOHOは、充実したセカンドライフを求める人の集まりになっていったのです。ですからシニアSOHOの目的は、シニアが活躍できる場を提供することと、コミュニティビジネスの起業を支援することです。

――活動内容をお聞かせください。

大きく3つの活動にわけられます。
まず各種講座があります。パソコンやタブレット、携帯電話などの講座もこれに含まれます。講座は専門のスキルを持った人が各自教室を持っていて、中にはベンチャー企業に発展しているところもあります。

次に、行政や企業から委託されるプロジェクトがあります。そのうちの1つである三鷹市内にある15の小学校児童の見守り事業(スクールエンジェルス)は、担当して12年目になります。スクールエンジェルス自体はさまざまな自治体が実施していますが、地域のNPO、しかもシニアの方が関わっているということが好評を博し、ほかの地域の行政の方が質問に来られることもあります。

3つめは共通の興味や趣味を持つ人たちの集まりであるワーキンググループです。東京の歴史のあるところを巡る「大江戸ワープツアー」、星を見る会を開催したり三鷹にある国立天文台を見学したりする「宙(そら)みたか」など、多様な活動があります。

勉強中 iPad、Android、Windows他のタブレットも使いこなせるように勉強中!
児童の見守り スクールエンジェルス:小学校児童を見守ります!
大江戸ワープツアー 大江戸ワープツアー:お江戸の軌跡をめぐっています

イベントに参加するのはどなたでも可能ですが、講師として教えたりイベントの企画をしたりする側になるには、シニアSOHOの会員になる必要があります。会員になる条件は、インターネットとメールができることという2点のみです。現在会員は120名ほどで、専用SNSで会員同士が交流したり、講座を作ったりしています。

会員の男女比は男性65%、女性35%ですが、実際に活動している方は女性のほうが目立ちます。また平均年齢は男性70.3歳、女性が69歳で、最年長は90歳の女性2人です。会員は最大で300名ほどいた時期もありましたが、今はシニア世代が活動できる団体がたくさんあるので、増えにくくなっていますね。また、シニアSOHO発足当時から在籍されていた方も高齢化が進んで減りつつあります。

受け身の姿勢ではなくぜひ自分から手を挙げてください。

――シニアSOHO普及サロン・三鷹の目指すもの、理想とするシニアライフとはどのようなものでしょうか。

シニアSOHO設立の目的であった「シニアの居場所づくり」は今後も追求していく目指すべきものです。ずっと働いてきた方が定年退職されてから、今度は自分の暮らす地域に居場所を作り、そこで起業されるというのが私たちとしては理想です。けれど起業までいかなくても、地域に貢献できるとか、ほかの人と一緒に何かするとか、アクティブシニアがこれまでの社会人生活で蓄積した能力を生かせる場をサポートしていきたいと考えています。それは私たちが理想とするシニアライフでもあります。

――経験や知識を生かして地域に貢献したい」と考えているシニアの方に向けて、メッセージをお願いします。

時間があって「何かやってみたい」と思っているシニアの方は、ぜひ一度話を聞きにきてください。そしてシニアSOHOで何をやりたいか、何ができるか考えてみてください。専門的な知識のある分野の講師になるとか、趣味に関するイベントを企画するとか、自ら考えて動くことが大切です。ここでは待っているだけの受け身の姿勢でいても「〇〇をお願いします」と請われることはあまりありません。自分から手を挙げて、初めて活動の場が広がります。最初の一歩は緊張するかもしれませんが、同年代の方もたくさんいらっしゃいますし、アクションを起こすことでさまざまな出会いや刺激的な経験が待っています。ぜひ一歩前に踏み出して、さまざまな活動をしてみてください。

携帯電話講師WGリーダー

小川真理子さん

携帯電話講師ワーキンググループは、高齢者に対して携帯電話の必要性を説き、携帯電話の機能を「衣・食・住」の基本生活に基づき活用できるようになるためのお手伝いを目的に作られました。メンバーは実動が7名で、半数以上がタブレットサポートワーキンググループのメンバーと重複しており、講師の多くはシニア情報生活アドバイザーの資格を保有しています。

活動としては、通信3大キャリアの携帯電話を手始めに、スマートフォン、タブレットなどの講習や相談会を行っています。活動を始めた頃はフィーチャーフォン、いわゆるガラケーの講習会がもっとも多く開催されていましたが、現在はスマートフォンのほうが上回っています。講習会の対象者はシニアSOHOや三鷹いきいきプラスの会員のほか、外部団体が主催する講習会に講師としておもむくこともあります。参加者は30代から90歳を超えた方まで、幅広い年齢層となっています。携帯電話の使い方を学ぶだけでなく、同じ目的を持った人たちと一緒に取り組むことの楽しさを感じられる方も多いようです。

めまぐるしく変わる新しい機種やアプリを理解するのは大変ですが、仲間との勉強会で検証していくのも楽しいことです。また、受講された方から「世界が広がった」という声をいただくと、本当にうれしいですね。シニア向けのシンプルな機能のみが付いた携帯電話を持っていた方がどんどん使いこなせるようになって、「スマホが欲しい」と言い出したこともありました。自分より若い受講者に教えてあげているシーンもなかなか感動的です。

今後はこれまで以上に初級講座を増やすこと、そしてシニアSOHO会員を中心に講師をつのり、勉強会や実践講座テキスト作りなどに取り組みたいと思っています。私自身は、何歳になってもICTを使いこなせる人でありたいですね。

タブレットサポートWGリーダー

加山ツヤ子さん

タブレットサポートワーキンググループは、ここ数年でシニア世代にも普及してきたタブレットをより使いこなせるようサポートすることを目的に作られました。タブレットが使えることで引きこもりにならず外に出ていくきっかけになる、そんな手助けがしたいと考えたのです。メンバーは4名で、全員が携帯電話講師ワーキンググループと重複しています。これは参加者が携帯とiPadを持参して「両方教えて欲しい」というようなケースが多いことと、講師としては携帯電話とタブレット両方の知識を持っている必要があるためです。どの機種も頻繁にアップグレードされるので、最新の情報を常に把握するのには苦労します。講習会で教えつつ、自分自身も日々勉強です。

三鷹産業プラザのみたかふれあいサロン内で定期的に開催している講座は少人数制なので、マンツーマンで教えられる、ある意味ぜいたくな環境だと思います。参加者ごとの機種やレベルに合わせて教えられますし、みなさん「タブレットで撮影した写真をハガキに印刷したい」とか「音楽をダウンロードしたい」「資料やデータを一覧にまとめたい」など、タブレットを使ってやりたいことがはっきりしている方が多いので、90分の講座もあっという間に感じられるようです。参加者の多くは人生の先輩なので、こちらが教えていただくことも多々あります。

これからはこの講座も含め、みたかふれあいサロンでの活動をさらに活性化させたいですね。たとえば、会員の方がビーズアクセサリー教室やプリザーブドフラワー教室を開催したら、非常に好評でした。こういった催しが定期的に開催されれば、「作った作品をタブレットで撮影してアルバムに保存する」など、私たちの講座ともつながっていきます。そしてこれまで以上に外部の講座も増やしていければと思っています。

脳若プロジェクトマネージャー

荒木高子さん

「脳若」とは、認知症の予防を目指し、ITを活用した介護予防トレーニングです。iPadにインストールした『脳若ケア』というソフトを用いて、認知機能と生活機能の向上を目指すさまざまなトレーニングを行います。講座の実施にはコミュニケータと呼ばれる講師が必要で、私はそのコミュニケータを育成できるトレーナーの資格を取得しました。

介護予防のためのいわゆる「脳トレ」は多数ありますが、脳若トレーニングの大きな特色は、参加者がiPadを利用することです。参加者のみなさんには脳若トレーニングを通じてiPadにも慣れてもらいます。生まれて初めてタブレットを手にする方も多く、初めは戸惑う方も少なくありません。けれど600種類以上のカリキュラムから「楽しみながらトレーニングする」ことによって、次第に慣れていきます。

短期記憶のトレーニングなどは、最初はまったく覚えられず帰宅後に疲労のあまり寝込んでしまったという人が、回を重ねるにつれ誰よりも多く覚えられるようになったケースもありました。トレーニングを継続して行うことで脳はさらに活性化し、「脳若」の効果はより大きくなるのです。

脳若トレーニングはみたかふれあいサロンで毎週1回開催しているほか、月2回出張して行っているところが7か所あります。また、高齢者施設での認知症ケアも行っています。本来は1時間のプログラムですがあまり駆け足にならないよう、1時間半ほどかけて実施しています。参加者は70歳以降の方が中心で、「脳若トレーニングをして帰るときは脳がいきいきしている感じがする」「疲れるけれどすっきりする」という声をよくいただきます。確かに限られた時間で想起トレーニングや回想トレーニングなどをどんどんたたみかけるので、疲れると思います。けれどいきいきしたりすっきりしたり感じるというのは、やはり脳を使った心地よさがあるのでしょうね。ですから参加者からはとても好評です。

今後はより多くの方に参加していただくためにも、コミュニケータを現在の3名から8名に増やしたいと思っています。また、この脳若トレーニングでせっかくタブレットに触れる機会ができたのですから、タブレットを使うことにも興味を持っていただけるような案内もしていければと思っています。

(取材:2017年7月21日)

■プロフィール

NPO法人

シニアSOHO普及サロン・三鷹

設立/2000年11月

事務局長 堀池拓郎


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