2025年の東京をつくる 東京ホームタウンSTORY

東京ホームタウン大学講義録

今はじめる、新しい日常のキーワード
「東京ホームタウン大学2021」
トークセッションレポート

トークセッション
近藤 尚己 氏
西 智弘 氏
広石 拓司 氏
2021年4月22日

開催日:2021年2月21日(日)<br>会場:オンライン<br>登壇者:<br>近藤 尚己 氏(京都大学 大学院医学研究科 社会疫学分野 主任教授)<br>西 智弘 氏(川崎市立井田病院かわさき総合ケアセンター医師、一般社団法人プラスケア代表理事)<br>広石 拓司 氏(株式会社エンパブリック 代表取締役)<br>動画:YouTubeにリンク(35:40よりトークセッション)<br>●基調講演レポートはこちら<br>●テーマ別分科会レポートはこちら

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「自分たちにもできることがある」を意識する

西:やはり、身体的なこととか精神的なことで問題が起きているのであれば、とりあえず医者に任せればいい、となっているのがやはり現状だと思います。
そうでない解決の仕方も色々ありますよね。「自分たちにもできることが何かあるかもしれない」という意識をしてもらえるようになると、ありがたいなと思っています。
以前聞いた話ですが、S市に引っ越してきたばかりのあるお母さんが、産後うつからなんとか気持ちを守るために、子育てサークルに参加したいと思ったんですが、あいにく紹介してもらえるものがなかったんだそうです。でも、家に引きこもっていたら再発してしまうかもしれない。近くにあったカフェのマスターにそんな話をしてみたら、「私は何もできないけど、この近くの高齢者施設の館長さんがすごくいい人だから」と紹介してくれて、その館長さんに会ったら、「一部屋貸してあげるから、あなたが子育てサークルをやればいいんだよ。周りのお母さんたちにも声かけてあげるから」と言ってくれた。そして小さいサークルを始めたら、その施設に関わっているほかの人たちと、どんどんとつながっていったんだそうです。
僕がこの話を聞いて思ったのは、館長さんも素晴らしいけども、その間を取り持ってくれたカフェのマスターが素晴らしいということです。自分では何もできないと思いつつも、解決してくれそうな人をつないでくれた。
先ほど近藤さんもおっしゃっていましたが、まちの中でネットワークができて、一人ひとりが直接解決できなくても、解決してくれる誰かを知っているというのが普通になる。そうなったら、まちの力が非常に大きなものになっていくんじゃないかと。
それを僕は「社会的処方を文化にしていく」という言葉で表しています。

広石:お医者さんだけが診断室で処方するだけじゃなくて、つながりを処方すれば、社会の中に入っていって解決されることもある。“つながりをつくる”というのを、真面目に考えてしまうと、「自分は直接は知らないし…」などと思ってしまうこともあるかもしれないけども、少し遠回りでもとりあえずつながれば、また何かにつながって行くかもしれない、そういうアプローチもありなわけですね。

西:支える側、多分これ聞いてるみなさんだと、何か社会に対して自分で行動したいという方が多いと思うんですけど、自分がそのゴールになって、自分が解決しなければならないと思っていると、早くにつぶれちゃうと思うんです。だから自分もちゃんとつながってる、組織としてさまざまなところとつながっているんだと思えれば、すごく強い社会になってるんじゃないかなと思います。

広石:以前、認知症の勉強会をしたときに、町会長さんが「認知症への対応が大切だと思うんだけど、自分には専門性がないから何もできないかもしれないと思った」とおっしゃっていました。でも、「困ってる人がいたら、お知り合いの社会福祉協議会の方や地域包括支援センターの方を紹介するというのもできることなんじゃないですかね」と話をしたことがありました。
まずは共感して、話を聞いてあげて、じゃあ社会福祉協議会に一緒に行ってみようか、とかそういうことも、実は地域の人たちでできる、大切なことでもありますよね。

コロナ禍におけるつながりづくりのポイント

広石:参加者の方から「つながりが大事だと思うほど、新型コロナウイルスの感染が拡大してきて、地域の活動もすごく難しいというのを考えてしまう」というようなコメントを頂きました。地域とのつながりや健康について、このコロナ禍の中で一番気になっていること、ポイントだと思うことなど、みなさんからキーワードを一ついただけますか?

近藤:私は「デジタルデバイド」です。

今、やはりオンラインでつながるというのは一つの手段だと思うのですが、オンラインの仕組みを使える人と使えない人、またその機会を持っている人と持っていない人で格差が広がらないかと心配しています。私たちが行っている高齢者の調査でも、所得や住む場所によって、スマホを持っている割合や、インターネットで親戚や家族だけじゃなくいろんな方とコミュニケーションできているかいないかに差があることが分かっています。もちろん差があるのはある程度仕方ないかもしれませんが、それをどう解決していったらいいかを考えていかなければならないのだろうと感じています。

広石:おそらく去年までは「高齢者だからデジタルとか難しいですよね」と済ませてしまっていたんだけども、今年一年経って、地域の方の声を聞いてると、70代80代の方もZoomとかを使って交流を始めたり、今日の分科会(③「シニアのICT活用で地域を元気に!」※リンク)でも紹介があるような、地域の活動グループで使い始めたところも出てきましたよね。でもそういった波に入れない人もいる。高齢者の健康にデジタルがどういう風に影響するのかっていうのもひとつのテーマですよね。

近藤:デジタル活用については、コロナ前から高齢者でも進めるべきじゃないかという話はあったのですが、先入観で、そういうのは無理なんじゃないか、と思っていることもありました。でも、そんなことはないですよね。デジタル機器はアプリのデザイン次第で、高齢者にも使いやすいものにできる可能性を十分持っています。勝手に「高齢者には難しいのでは」と思い込んで、デジタル機器の使い方を学んだり楽しむ場を積極的に提供しようとしていなかったのだろうと。コロナで待ったなしになって、今は進みつつありますが。
もちろん最初はやれる人から始めればいいんだと思います。やりながら、使いづらいという方にはどう提供していこうかということも考えていかなければならないのだと思ってます。

広石:西さんはいかがでしょうか?

西:僕は、「生活の動線上でつながる」です。

これまでは、“つながりをつくる”というと、サロンでイベントを開くとか、人を集める場をつくることが多かったのかなと思います。コロナの影響で集まることが難しいなかで、先ほど僕が「社会的行方不明者」と表現したような、引きこもっている人たちをどうピックアップしていくかというと、生活の動線で社会に出てくる場面というのがあるはずです。
例えば、僕ら医療の場、駅やスーパー、銭湯、あと郵便局とかですね。銭湯でつながろうとしたり、郵便局の職員の人たちもコミュニティの仲間に引き入れて、郵便局でつながるっていうのを画策したり。
先ほど出たデジタルであっても、そういった生活の動線上にフックを掛けておく、ハブを見つけておいて、そこに来た人達に「実はこういうものを僕ら今一緒にやりたいと思ってるんですけど、どうですか」と声をかけられるタイミングがあると、ちょっと話を聞いてみようとなるのかなと。

広石:イベントっていうのは非日常ですが、そういった非日常的な空間より、日常的な生活上の動線で仕掛けることもできるというのは一つヒントになりますね。

西:どこにその生活の動線上の場があって、しかもつながりそうな場所なのか、というのを見つけていくことも、今後とても重要になってくると思います。

広石:僕も書きました。「気軽な声かけ」です。

今の話にもつながるかと思いますが、僕はこのコロナの中で、これがすごく大事かなと思いました。解決策が見つかってから何とかしてあげよう、ではなくて、とりあえず「元気?」みたいな感じだけでも、“声をかける”ってこと自体がすごく大切だなと改めて考えたんです。メールや電話でもいいと思いますが、家族や地域の知り合い、最近会ってない人がいれば「ちょっとお話ししましょう」と久しぶりに声を掛けてみる。
デジタルの話に戻りますが、高齢になってからデジタルにトライし始めた方も、意外と「なんとなく」からだったりするんですよね。あなたも来なよ、と誘われたからやってみて、ちょっと面白そうと思って2回3回やってみたり。
以前はイベント等でしか関わらなかった人に、生活の中で声かけしてみるというのも、今の社会において、心において、すごく大切なのではと改めて感じました。

「つながれない」は「つながるきっかけ」になる

広石:コロナ禍でのデジタルの取り組みについて、もう少しお話をしていきたいと思いますが、みなさんいかがでしょうか。


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