2025年の東京をつくる 東京ホームタウンSTORY

東京ライフシフト

地域の課題に寄り添える、従業員の育成を目指して

【インタビュー】
株式会社イトーヨーカ堂
人事室・経営企画室
2019年8月21日

- お話いただいた方々 -

人事室 勤労厚生部 総括マネジャー
須賀秀人さん
人事室 人事部 給与担当マネジャーダイバーシティ推進プロジェクトリーダー 
津田雅史さん
経営企画室 CSR・SDGs推進部マネジャー労働環境プロジェクトメンバー 
強矢健太郎さん

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須賀「われわれ流通の使命は、“もの”を売るだけではなくて、“こと”を提供するところにもあると思うのです。ですから、行政の情報をはじめとして、いろいろなことを提供できる場を、最終的には目指していかなければいけないと思っています。その中には、従業員や市民がプロボノの体験をする場を作ることも含まれると思いますので、今後の課題としたいと思います。」

「地域の行事に参加しないと、わからないよね。」

―地域活動やボランティアを体験して、従業員は変わりましたか?

強矢「弊社の従業員は、店舗の中で仕事する時間が圧倒的に長いです。極端にいえば、ふだんの週の5日間は、外が見えないまま過ごしているようなものです。残りの2日間も、疲れてなんとなく家にいたりすると、本当に外が見えなくなってしまいます。

そういう従業員が、地域の清掃活動に参加したことがきっかけで、『あっ、こういうこともあるんだ』という気づきから環境問題に興味を持ち、社内で推奨している『eco検定』を受けたり、フードバンクを運営する活動に参加したりし始めています。そうやって、少しずつ変わってきていると思います。NPO等の団体の皆様と一緒に活動することで、フードロスの問題に興味を持ち、そこから商品開発のアイデアが生まれてきたという話もあります。

 また、ボランティア活動に参加した時に、地域のお年寄りや子育て世代の話を直接聞くことによって、店舗の売場作りに変化が出てきたという話もあります。お子さんやお年寄りは、日頃からお買い物には来ていらっしゃるのですが、それだけでは見えてこない困りごとをお持ちだったりする。それに直接触れることによって、『うちの売場ってどうなんだろう』とか、『うちの商品ってどうなんだろう』とか、疑問を持つようになってきています。」

須賀「お店がどんどん増えているなかで、商圏は、どんどん小さくなってきている。今までのように大きな店をドンと作って、お客様に遠くから来ていただくというのが通用しなくなっているのです。小さい商圏の中で、地元のことがわかった上で、その情報を仕入れながら商売をしていかなければならない。地域との交流を深めることは、業務上でも必須なのです。店長や店舗の人間と話していても、『地域の行事に参加しないと、わからないよね』という声を、最近よく聞くようになりました。」

世の中にお返しできる力を、どのように伸ばしていけるか

―先ほど、社内で『eco検定』を受けることを推奨しているというお話しがありましたが、ほかにも何か推奨している資格はありますか?

津田「弊社では従業員の環境意識の向上を目的として、eco検定の取得キャンペーンを実施しています。eco検定合格者に対しては一定額の補助が支給されます。eco検定に合格しているということで、地域の自治会で重宝されている従業員がいるという話も聞いています。

 また、イトーヨーカドーは高齢者のお客様の比率が高いので、『認知症サポーター養成講座』を各店舗で実施しています。この講座は、認知症に対する正しい知識を持ち、認知症の方やその家族に対して、できる範囲で手助けできる人を養成するものです。すでに全国で8,407人の従業員が受講済みです。講座で学んだ従業員が、学んだことをいかに地域にフィードバックできるかということが、今後の課題だと思います。さきほどお話ししたように、足立区の店舗で『あだち脳活フェスタ』を実施したり、函館市の店舗内のスペースを活用して『認知症カフェ』を作ったりと、少しずつ取り組みを広げていますが、これも講座の受講によって、従業員の理解が深まっている効果だと思います。」

―従業員の皆さんの「ライフシフト」を後押しするために、これからどんなところを強化していきたいとお考えですか?


須田
「世の中あってこその弊社なので、従業員の世の中にお返しできる能力を、どういう風に伸ばしていくかが大事だと思っています。イトーヨーカドーで働く中で得たものを、自分の中で一回整理してもらって、退職後、定年後に地域に返していけるように、従業員をサポートしていきたいと思います。」

強矢「先程お話しした認知症サポーターなどは、働いている中で身につけたものを、自分の生活の中で生かしていける。会社で働いて身に付けたことが地域貢献活動のきっかけになる。そういうことが重要だと思います。超高齢社会が進んでいくと、地域によって課題に大きなギャップが出てくると思いますので、そこへ寄り添える人材を育てていくことに、力を入れていきたいと思います。」

須田「せっかく身につけたものを、腐らせてしまうのはもったいないので、いかに使ってもらうか、いかに引き出しを持ってもらうのかというところを、会社として後押ししていきたいですね。」

(2019年7月10日取材)


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