2025年の東京をつくる 東京ホームタウンSTORY

東京ホームタウン支援先レポート

「お互いさま」でつながるまちづくり
市民主導で2年間に36カ所のサロンが誕生

武蔵村山市南部地域包括支援センター
生活支援コーディネーター  岡村美花さん
2019年4月8日

武蔵村山市「お互いさまサロン」

高齢者の心身機能の衰えに伴う閉じこもりや孤立を防ぐため、また、多世代と交流し介護予防を図ることで、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、市内各所で定期的に開催される「サロン」。当初は、市と地域包括支援センター主導でスタートしたが、次第に市民が主体となって様々な講座やレクリエーションを企画・運営するようになり、現在36カ所までひろがっている。歩いて通えるところに「お互いさまサロン70カ所」を目指している。サロン立ち上げに際しては、2016年度に東京ホームタウンプロジェクトアドバイザーによる伴走支援を受けた

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お互いさまサロンおおみなみ

ここで実際のサロンをのぞいてみましょう。まず、サロン第1号である「お互いさまサロンおおみなみ」。毎週水曜日、午前10時から11時半まで大南自治会館で開催されています。毎回集まるのは20人から30人。参加者はほとんど、歩いて通える半径200m以内に住んでいる高齢者です。

運営について参加者全員で意見交換

プログラムの最初は、30分間全員で体操。NHKのラジオ体操や、市が作成してDVDを配布している「お互いさま体操」を行います。そのあと、歌を歌ったり脳トレをしたり。週によっては、市内の老人保健施設の理学療法士や、絵本の読みきかせのグループが、講師に招かれることもあります。

このサロンの特徴は、運営方法について、参加者全員で話し合うことです。サロンの運営は、数人の「お互いさまリーダー」が行っていますが、会場準備などは当番制にして、参加者全員に当番が回ってくるようにしています。運営について全員が考え、全員が役割分担をすることで、参加者一人ひとりがお客様ではなく担い手なのだという意識が、いきわたるようにしています。

「お互いさまリーダー」5人からお話をうかがいました。

「私自身、物忘れが多くなってきて、予防できる講習会があるというので参加しました。講習会が終わったら、今度はお互いさまリーダーの講習会だと言われ、まるで仕組まれたようにリーダーになりました(笑)。体を動かすことは苦ではないので、体操のリーダーなどをやっていますが、私が間違えるとみんなが笑ってくれたりして、和気あいあいとやっています。会場は10時に開くのですが、みなさんあまりにも早くから来るので、ゆっくり来るようにお願いしているくらいです」(サロン代表、藤巻信雄さん)

「私は最初、自分自身のためにと思って参加しました。毎週皆さんと顔を合わせて、歌を歌ったり体を動かしたりしながら、楽しく活動して3年目になります。これだけの人が集まってくるというのは、やっぱり楽しいからじゃないかしら」(星野和子さん)

「少し前に母を自宅で介護していて、地域の人たちにとてもお世話になりました。それで私も地域の年配の人たちと接する機会があった方がいいと思って参加しました。ここで、何か自分にできることがあったらやっていきたいと思っています」(安藤昭子さん)

「自宅で父を介護していて、歳をとると孤独になっていく父を見ていたものですから、地域の高齢者の役に立てればと思って講習を受けました。最初は人のためにと思っていたのですが、活動してみると自分のためになるんですね。とても楽しく参加させてもらっています」(山本洋子さん)

「知り合いから誘われて半年前に来てみたら、すごく楽しいし、お友達もできるし、いいなと思って続けています。いままで地域の人たちの顔もわからなかったのが、スーパーで会うと声をかけてくださるようになって、人と人とのつながりができたのがうれしいですね」(松尾愛子さん)

生活支援コーディネーターの岡村さん(後列左)と、「お互いさまサロンおおみなみ」のリーダーのみなさん(前列左から、星野さん、藤巻さん、安藤さん、松尾さん 後列右が山本さん)

お互いさまサロン・みんなで体操

もうひとつ「お互いさまサロン・みんなで体操」をのぞいてみましょう。毎月第3水曜日に、市内で唯一の銭湯「砂川湯」で行われているサロンです。集まるのは、銭湯の近くに住む20人から30人。脱衣場に椅子を並べて、腰掛けたままで体操や脳トレなどを行います。参加者は、そのあと割引料金で入浴もできます。

昔ながらの銭湯の趣のある空間で、みんなで体操

 

このサロンを支えるふたりの「お互いさまリーダー」、まとめ役の山﨑美恵子さんと、講師役の橋爪裕子さんにお話をうかがいました。

「以前自宅で94歳になる母を介護していたのですが、いろんなことで周りのみなさんのお世話になっていました。それで、まわりのみなさんがデイサービスに行かなくていいように応援できればと思い、別の場所でサロンをやっていました。すると去年の夏に、銭湯をやっていらっしゃる高橋さんから、ぜひこの場所でサロンみたいなのができないかというお話がありました。私もこの町内に住んでいるし、市内唯一の銭湯の宣伝にもなると思って始めたのがこのサロンです。運営していて何よりうれしいのは、ふだん買い物をしているときなどに、サロンにいらしている方と自然に会話ができるようになったことです」(山﨑さん)

「私はエアロビクスのインストラクターをしているのですが、山﨑さんから、ボランティアで砂川湯という銭湯で健康体操をやってみないと声をかけていただきました。地域の方と知り合えるし、少しでも地域のお役に立てればと思い引き受けました。指導するためには、きちんと勉強した方がよいと思い、シナプソロジーのインストラクターと、介護予防健康アドバイザーの資格をとりました。シナプソロジーとは、ふたつのことを同時に行う、左右で違う動きをするといった普段慣れない動きで脳に新しい刺激を受け、脳の活性化を図るプログラムで、介護予防にも役立ちます。地域の皆さんとのつながりができて、とても嬉しく思っています」(橋爪さん)

山﨑さんは2019年4月以降、新たに2つの「お互いさまサロン」を立ち上げる予定です。ひとつは、この銭湯を会場にした歌の会。もうひとつは英語で歌う会だそうです。

「私もいずれ高齢者となりますが、私たちの世代が歌いたいのは童謡や演歌ではなくて、サウンドオブミュージックやビートルズだと思うんです。そういう歌を英語で歌おうという会を立ち上げる予定です」(山﨑さん)

橋爪さんも4月から、資格をとったシナプソロジーを中心に据えた「お互いさまサロン」を始めるそうです。おふたりの話をうかがっていると、2025年に70カ所という「お互いさまサロン」の目標は、かなり前倒しで実現しそうな気がしてきます。

お互いさまリーダーの橋爪さん(前列左)と山﨑さん(後列)と 「砂川湯」を経営する髙橋さんご夫妻
月に1回、「お互いさまサロン・みんなで体操」が開かれる「砂川湯」。薪で焚いた湯があたたまると、地域の人々に親しまれている


東京ホームタウンプロジェクトの支援先、参加者、協力団体などをご紹介します。

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