2025年の東京をつくる 東京ホームタウンSTORY

東京ホームタウン支援先レポート

本当に知りたいことが書いてある
「みたかの高齢者 お役立ちハンドブック」ができるまで

みたか・みんなの広場運営協議会
代表 成清一夫さん(写真右)、事務局長 竹内碩子さん(写真左)
2020年3月26日

三鷹市の「グループリビングみたかの家」を拠点に、高齢社会の様々なテーマに取り組む5つの団体によるネットワーク。2015年度東京ホームタウンプロジェクト「プロボノ1DAYチャレンジ」に続き、2018年度の長期プロジェクトにも参加。みたか・みんなの広場の創立10周年記念事業「みたかの高齢者お役立ちハンドブック(改訂版)」の制作に向けて、プロボノ支援を受けてアンケート調査を実施した。

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プロボノの支援によるアンケート作り

 みたか・みんなの広場が、創立10周年に向けての記念事業として取り組んだのが、「みたかの高齢者お役立ちハンドブック(改訂版)」の発行です。みたか・みんなの広場の構成メンバーである「NPO法人HumanLoop・人の輪」は、2010(平成22)年に、高齢者が困った時に役立つ情報を集めたハンドブックを発行していました。このハンドブックへの問い合わせが、残部がなくなった後もずっと続いていたので、この10年間の社会の変化を反映した改訂版の発行を計画しました。

 ハンドブック作成に当たっては、10年前に実施した地域の高齢者へのアンケートと同様に、今回もアンケートを実施したいと考えました。ただ、日ごろ活動を共にしているメンバーだけでアンケート項目をつくっても、“内輪だけの考え方”になってしまう危険性がありました。そこで、外部の視点を導入するため、また計画的に作業を進めることも考慮して、東京ホームタウンプロジェクトのプロボノチームの力を借りることにしました。

 プロボノとは、ビジネスパーソンが持っているスキルや専門知識を活かしながら、地域のNPO法人などの活動を支援するボランティア活動です。このアンケート調査には、様々な職業に従事する現役世代の5人からなる、プロボノチームが参加しました。

 2018(平成20)年8月、みたか・みんなの広場とプロボノチームとの最初の打ち合わせが行われました。成清さんから、ハンドブックの改訂版作成への熱い思いが伝えられ、その後の進め方が確認されました。

 翌月には、プロボノチームからアンケートの調査方針が提案されました。しかし、みたか・みんなの広場は高齢者世代、プロボノは現役世代ということから、当初はお互いの考え方にギャップも生じました。両者は白熱した議論を交わしながら、少しずつアンケートのゴールイメージを共有していきました。それは、「官公庁がリサーチできないところまで踏み込んで、地域の高齢者の実態に鋭く迫りたい」という成清さんたちの強い思いが込められたものでした。

 その後、3カ月にわたってアンケート内容の検討が続けられ、設問の表現が磨かれていきました。たとえば、「一緒にお住いの方はどなたですか?」という質問では、「一人暮らし」という選択肢が最初に来るように変更されました。地域包括支援センターに関する知識を問う質問では、「地域包括支援センターをご存知ですか?」ではなく、「地域支援包括支援センターがどこにあるかご存知ですか?」と聞くことで、実用的な知識の有無に迫りました。「あなたが認知症になった場合、サポートして欲しい人は誰ですか?」、「口から食事ができなくなった場合に胃ろうを希望しますか?」、「あなたはご自身の看取りの場所としてどこを希望しますか?」といった質問項目は、官公庁が行うアンケートでは決して踏み込むことのない、高齢者の悩みの本質をついたものでした。

 アンケート用紙は3,000部用意され、三鷹市に7つある地域包括支援センターや、みたか・みんなの広場の参加者及び関係者、市内の高齢者活動のグループなどに配られました。回答は郵送により436通が返ってきました。約15%という回収率は、この種のアンケートとしては異例の高さです。

 プロボノチームと共に作業した竹内さんは、「何かに一歩踏み出すと、自分の視野が広がり、交際範囲も増え、普通に暮らしていたら接点もないような人と関わり合うことができます。今回、プロボノさんに助けていただいたことで、『ああ、若い世代にもそんなふうに考えている人がいるんだな』ということがわかりました。プロボノさんたちも、実際に高齢者に関する活動をやっている人たちが、どういう思いなのかわかっていただいたと思います。このようにお互いにわかり合える機会をもっと作ってほしいですね」と、感想を話してくれました。

地域の協力を得て、ユニークなハンドブックが完成

 アンケートの集計が終わると、その結果を踏まえて、改訂版の編集作業が始まりました。編集に当たっては、みたか・みんなの広場のメンバーに加えて、地域の医療関係者、薬剤師、行政書士、地域包括支援センター長などの協力が得られました。これらのメンバーが、月に1回集まって議論を重ね、2020(令和2)年1月、ほかに類を見ない高齢者のためのお役立ちハンドブックができあがりました。

 ハンドブックは、A5判カラー64ページで、巻頭には緊急時の連絡先一覧が掲載されています。次に「高齢者と暮らし」という項目があり、先に紹介した「高齢者見守りキーホルダー」などを紹介。また、高齢者施設の概要、市内の施設名と連絡先などに加え、認知症専門の医療機関、成年後見制度の概要と利用料、身元保証に関すること、家族で話し合って決めておきたいこと、終末期と看取りなどについて、知っておきたいポイントが簡潔にまとめられています。

 「介護保険と地域包括支援センター」という項目には、介護保険の利用の仕方、地域包括支援センターの役割と所在地、ケアマネージャーの役割についてまとめられています。また、「在宅医療」の項目には、在宅医療の種類、費用、医療機関の一覧が掲載されています。この在宅医療機関の一覧は、得ることが難しい貴重な情報となっています。

 「支援サービス」の項目では、市民による生活支援サービス、健康支援サービス、行政による様々な支援サービスが、合計66件紹介されています。巻末にはアンケート結果と、アンケートのフリーアンサーが紹介されており、三鷹市の高齢者の実態と高齢者の要望や意識が、ひと目でわかるようになっています。

 ハンドブックは、民間の3つの機関から助成を受けて、8,000部印刷されました。三鷹市在住の高齢者は約4万人なので、すべて配布すればそのうち約2割をカバーすることになります。

 2020年1月から配布を開始し、8,000部のうち約5,000部は、市内の地域包括支援センター、社会福祉協議会、コミュニティセンターなどを通して高齢者に手渡されました。その他、アンケートにお答えいただいた方への郵送、編集に協力していただいた方々への提供のほか、みたか・みんなの広場として交流のある高齢者への手渡しやお付き合いのある関係機関等に配布されました。そして、配布を始めてから1か月もたたないうちに、残部は500部になってしまいました。

左は10年前に作成したハンドブック。右が、2020年発行の改訂版。


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