「いくつになっても、いきいきと暮らせるまちをつくる」
東京ホームタウンプロジェクトが掲げるスローガンです。
団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になる2025年に向けて、東京は、急速な高齢化を迎えます。「東京の福祉を知ろう」でもご紹介しているとおり、これから東京には、いままで経験したことのないような大きな変化が訪れることになります。
そのとき、東京が、安心して暮らせるまちであるために、今できることは何でしょうか。東京のいろいろな地域で、人と人とのつながりが育ち、地域コミュニティが持続可能なかたちで運営されているには、どんな準備をすればよいのでしょうか。
こうした問いに対する東京ホームタウンプロジェクトからの具体的な提案、それが、ここでご紹介する各プログラムです。
これらのプログラムは、高齢社会や地域づくりをめぐる諸課題に向き合い、課題解決のために具体的な成果を上げることを目的としています。その最大の特徴は、東京の強みである活発な企業活動、豊富な経験と知識を持った多くの人たちの力を活かす、という点にあります。
ビジネスで培った経験・スキル・専門知識を活かしたボランティア活動「プロボノ」をはじめ、いままで「福祉」という分野を“自分ごと”と捉える機会が少なかったような人たちをも巻き込みながら、多様な主体が、力を合わせて「いくつになっても、いきいきと暮らせるまちをつくる」ことに挑戦する。それが、東京ホームタウンプロジェクトです。
東京ホームタウンプロジェクトの重要なキーワードの一つ、それが「プロボノ」です。
「プロボノ」とは、ラテン語のPro Bono Publico(公共善のために)に由来する言葉で、もともと弁護士などの一部の職種で、職業上の専門知識を活かして取り組むボランティア活動をプロボノと呼んでいましたが、近年、経営戦略、マーケティング、IT、建築、デザインなど、幅広い分野に広がりを見せるようになってきました。
日本では2010年が「プロボノ元年」と言われ、以来、テレビ・新聞・インターネット等でプロボノというキーワードを見かける機会が増えてきました。日本における「プロボノ」に対する一般的な認知度はまだまだ十分とは言えませんが、「プロボノ」に関心を持つビジネスパーソンは年々着実に高まり続けています。
こうしたプロボノによる支援は、資金や人材の不足に悩む地域団体やNPOにとって、ビジネスの経験や専門的なスキル・知識を無償で手に入れることができる貴重なチャンスとなります。特に企業が多数集積する東京においては、プロボノを通じたビジネスパーソンと地域団体との連携が効果的に進むことで、身近な地域の支え合いやネットワークづくりをより力強いものに育てていくうえで大きな力を発揮することが期待されます。
専門性の高いボランティア「プロボノ」が関わるとしても、地域活動の中心的な担い手となるのは、地域に暮らす住民のみなさまであり、地域で活動する団体のみなさまです。東京ホームタウンプロジェクトでは、こうした基本的な前提に立ち、地域で活動するみなさまが、より力強く活動を維持・継続・発展させていくことができるような支援、つまり「基盤強化」を応援するような取り組みに注力していきます。
そのため、東京ホームタウンプロジェクトでは、地域で活動する団体のみなさまが抱える課題・ニーズに応じて、より多くの人の参加を募り、支援を呼びかける「情報発信・支援者開拓」、組織運営を安定化し、持続可能な活動を支える「組織運営・人事」、そして、活動のあり方を見直し、目指すべき方向性や成果目標を検討する「事業戦略・評価」などを中心に、支援を行っていきます。
さらに、プロボノによる支援が、具体的で有益な成果を生み出すために、「プロジェクト型支援」という考え方を導入します。「プロジェクト型支援」とは、一連の支援を通じて目指すべきゴールを明確に設定し、目標とする成果物の実現に向かって支援を実行していくスタイルを意味します。具体的には、「情報発信・支援者開拓」であれば、ウェブサイト、印刷物(パンフレット等)、映像資料などの制作、「組織運営・人事」であれば、マニュアルの作成や業務効率改善のためのコンサルティングなど、「事業戦略・評価」であれば、事業計画の立案や、マーケティングの手法を取り入れたニーズ調査などが挙げられます。
地域づくりに多様な主体が参加し、課題を解決したり、地域に新しい価値を創出していくためには、さまざまな人や組織などの”地域資源”を「発掘する力」「つなぐ力」が求められます。
来るべき高齢社会に向けて、各地の社会福祉協議会や地域包括支援センター、中間支援型NPOなどには、社会課題解決に向けたより高度な「コーディネート力」「中間支援力」が求められます。
個別の地域のニーズや課題に応えるプログラムの実施・推進と並んで、地域の課題解決をリードするような役割ともなり得る中間支援組織の強化を目的に、さまざまな研修やセミナー等のプログラムを並行して実施していきます。
プログラム紹介