レポート:第2回ケース勉強会「新たな担い手と協働する –トラブルの予防・対応–」

地域包括ケアの構築に必要不可欠な「多様な主体との協働」について、東京ホームタウンプロジェクトにおいて地域課題の解決や、地域活動の活性化に結び付いた実例からヒントを学び、参加者同士での共有を行う「ケース勉強会」。

2022年9月20日に実施した第2回は、実際に地域団体と、多様な背景を持つ人材が協働するにあたってのトラブルの予防、そして対応策を考えていきました。
本レポートでは、その内容の一部を抜粋してお伝えします。

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プログラム

・第1部 多様な主体による協働とは
     地域活動とビジネスの違いを知る~背景の違いから起こり得るトラブル~
・第2部 トラブルの予防・対応「こんなとき、どうする?」
・第3部 協働を成功させるための事前準備

 

トラブルの予防・対応「こんなとき、どうする?」
~ 事例紹介&グループワーク~

ゲスト:杉並区地域包括支援センターケア24下井草
生活支援コーディネーター ⾧嶋朋子さん
2019年度プロボノ支援に伴走。
(生活支援ボランティアグループ「サポート中瀬」への団体支援。チラシ制作プロジェクト)

ケース1「第三者に指導されるのは嫌だ…」

■背景

まず、長嶋さんとサポート中瀬の関係性や地域の様子を教えてください。

長嶋さん:サポート中瀬は地域包括支援センターを活動の場としていることもあり、地域包括支援センターのもとで活動しているという意識が強い団体です。杉並区は多数の地域活動団体がありますが、情報交換する機会があまりなく、独自の運営方法・スタイルでやってきている団体が多いことが特徴です。
また、下井草地域は中野と練馬の間に位置し、農家も多く、高齢化が進んでいる地域です。

どのような思いで応募されたのですか?

長嶋さん:サポート中瀬は、地域包括支援センターとの関わりは強いですが、あくまで地域の人たちが自主的に作った、規約も役員もない、まさに市民グループといった団体です。だからこそ、経年のなかで継続性の不安定さがあると感じ、課題を見つけ出してみんなでシェアできればと思い応募しました。
ただ、メンバーは「今まで自分たちでやってきたことに、なぜ、第三者に口を出されなければいけないの?」というように受け止められた方が多く、どちらかといえば支援は受けたくない、という印象でした。
そこで少し矛先を変え、ボランティア募集チラシの制作を提案したところ、「それならば」とのことで、プロジェクト実施となりました。

■ワーク①

70~80代メンバーが多い団体への支援プロジェクト実施にあたり、第三者が入ることへの抵抗感を示されていました。あなたなら団体のみなさんにどのように声をかけますか?

 

■ワークのシェア

・似た団体さんが作成されたチラシを見せて、こんなふうに活動を発信できるといいねと話をする。
・「これまで活動してきた実績をあらためて地域に伝える手段や、地域の声を拾い上げる機会としてプロジェクトを捉えてはどうか」と提案をする。
・「プロジェクトに参加しても皆さんの活動自体が変わるものではない」と安心していただけるよう伝える。
・「決める主体はグループの皆さん、サポートする立ち位置として私たちがいますよ」と、後ろで支えている安心感をお伝えするような声がけ。
・団体さんのこれまでの活動に敬意や共感を示しながら、困りごとなどのニーズを引き出すことが大事。
・困りごとや悩みごとを引き出す、情報共有の場を作ることが突破口になる。

 

■長嶋さんのシェア

では、長嶋さんはどんなふうに声をかけられたのでしょうか。

長嶋さん:私たち生活支援コーディネーターは、団体が継続していくためには課題があると感じていましたが、団体の方たちに継続に対しての課題認識はないようでした。そこで、メンバーの誰もが口にしていた「メンバーが増えないから、たくさんの要望を受け入れられない」という悩みに対し、「活動をPRする案内を作るのはどうかな?」と持ちかけると、賛同を得られました。

切り口を替えられたのですね。皆さんの反応はいかがでしたか?

長嶋さん:プロボノチームの方に申し訳ない言い方になりますが、「それだったらいいか」「どんなものを作ってくれるのか見てみよう」という感じでした。

意思決定はどのくらいスムーズにいきましたか?

長嶋さん:チラシについては、みんなが「ないからあったほうがいい」と思っていたようで、反対する人はいませんでした。

>>次ページ:ケース②「成果物がイメージと違う」

プログラム紹介

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