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    レポート:第3回ケース勉強会「協働を継続するために –関係継続・新たな協働への挑戦–」

    地域包括ケアの構築に必要不可欠な「多様な主体との協働」について、東京ホームタウンプロジェクトにおいて地域課題の解決や、地域活動の活性化に結び付いた実例からヒントを学び、参加者同士での共有を行う「ケース勉強会」。

    2022年12月14日に実施した第3回は、実例を基に、プロボノプロジェクトによって得られた成果をどのように活用し、地域活動の活性化につなげていくのかを考えていきました。
    本レポートでは、その内容の一部を抜粋してお伝えします。

    プログラム

    ・第1部 今年度プロボノプロジェクトの実施報告・紹介
    ・第2部 プロジェクト完了から次のステップへ
    ・第3部 協働の継続に向けてできること

     

    プロジェクト完了から次のステップへ
    ~ 事例紹介&グループワーク~

    ゲスト:豊島区保健福祉部高齢者福祉課
    管理グループ係⾧(課⾧補佐)/生活支援体制整備グループ係⾧
    小嶋浩一さん

    2022年度、「豊島区高齢者クラブ連合会」へのプロボノ支援に伴走。
    (新規会員増に向けた施策検討プロジェクト)

    まず、小嶋さんの自己紹介と豊島区高齢者クラブ連合会さんとの関わりを教えてください。

    小嶋さん:豊島区の高齢者福祉課で6年目になります。高齢者クラブの支援等に加え、3年ほど前からは生活支援にも携わるようになり、2年前から生活支援体制整備グループを兼務しています。豊島区では、令和3年に第2層生活支援コーディネーターが配置されましたが、NPOや地域で活動している団体にコーディネーターを担っていただいているのが特徴です。
    豊島区高齢者クラブ連合会さんは、区内74の高齢者クラブをサポートしている団体です。管理グループとして支援をしており、区の補助金での支援に加えて、連合会さんは年間に多数の行事を実施されているので、その場所取りから始まり、さまざまな支援をしています。そうしたなかで運営の相談等も伺っている関係性です。

    プロボノ支援への応募の背景を教えてください。

    小嶋さん:豊島区の高齢者クラブは総じて高齢化が進んでおり、会員の平均は81.6歳、平成13年で13,000人だった会員さんは現在4,400人で、1/3に減少しています。そこで、運営について、会計処理や新しい企画などをサポートしてくれる存在が必要、また60代・70代の若手の高齢者がなかなか新規で入ってこない、とのご相談をたびたび連合会の方から受けていました。
    そこで、プロボノワーカーの意見を聞くことは、新鮮であるとともに、私たち行政職員の進言よりも納得性が上がると考え、連合会の役員さんに提案すると、ぜひやってみたいということでプロボノ支援に申し込みました。

    ケース1「60~70代の新規会員を増やしたい! 」(プロジェクト設定)

    ■ワーク① どんなプロジェクトを設定する?

    60~70代の新規会員増に向け、第三者の力を活用してどのようなプロジェクトを設定しますか?
    第1回ケース勉強会の「課題と解決策の考え方」をヒントに考え、グループで共有しました。

    ■ワークのシェア

    60代70代というとまだ働いている方も多く、他に楽しみがあるなど、高齢者クラブの必要性を感じづらいので、関心の高い活動や講座を開催してはどうか、などのアイデアが挙がりました。

     

    ■小嶋さんのシェア

    では、実際、豊島区高齢者クラブ連合会さんはどのようなプロジェクトを実施されたのでしょうか。

    小嶋さん:高齢者クラブに未加入の豊島区民の方、シルバー人材センターの方にヒアリングし、そこから会員増に向けた施策を検討、提案するプロジェクトとしました。
    ヒアリングには、生活支援コーディネーターに声をかけてもらった方が6名と、シルバー人材センターから6名、計12名に協力してもらいました。なるべく社会参加意識について「普通の人を」とは思いましたが、やはり協力してくれる方となると、どちらかといえば社会参加意識は高い方々だったのではないかと思います。
    ヒアリング会では、とても活発で、厳しい意見もたくさん出ました。高齢者クラブについては認知が低い一方、活動に興味がないわけではない。ただ、「高齢者」と付く名称についての拒否感が8割でした。「今後、入りたいか?」の問いには、知り合いがいない中に入りづらく、パンフレットの情報だけでは内容がわかりにくいといった声もありました。

    ヒアリング会の様子
    実際の成果物の目次

     

    ケース2「成果物をどう活用する?」(プロジェクト完了時)

    ■ワーク②「成果物をどう活用する?」

    プロボノプロジェクトが完了し、成果物として以下のような提案を受けました。
    この提案をどのように活用するか、横展開や新たな協働も視野に入れて、ブレイクアウトルームに分かれて共有しました。

    【プロボノチームからの提案】
    • クラブ名称:「高齢者」のキーワードに抵抗がある様子。公募しては?
    • 他団体との連携:活動が重複するサロン、シルバー人材センターと連携は?
    (共通点と差異を話し合い、交流や共同開催の場を持つ)
    • 活動内容:会員以外も参加できるイベントの開催、多世代が参加できる企画
    • 運営体制:60~70代の若手層のグループを作り企画を任せてみては?
    • 広報:他団体への説明の場をつくる、転入者への案内をしては?

    ■ワークのシェア

    ・形にして、次の一歩にするサポートが大切。具体的には会員外の方にイベントを打っていくことや、若い世代が集まる機関とのつながりがあるなら協働することで交流が生まれる。
    ・各クラブでトップダウンにならないよう、主体的にやりたい気持ちをもって実行してもらえるように、伴走することは大事。
    ・今回のプロボノのようなかたちでお仕事されているような60代前後の方に関わってもらうのも自然でよい。
    ・ステップバイステップで活動を進めていく。IT活用や子ども食堂などとコラボもよい。
    ・名称変更はインパクトが大きい。多世代が集まるお祭りやイベントでアンケートや公募を募っては。
    ・すでに実践されている例として、大学生と協働されている地域では、お弁当販売が良い交流の機会になっている。

     

    ■小嶋さんのシェア

    小嶋さんは次のアクションをどのように考えられていますか?

    小嶋さん:高齢者クラブ連合会にとって受け入れやすい提案かというと必ずしもそうではなく、アレンジを加えてお話しする必要があると思います。第1層、第2層生活支援コーディネーターも一緒に提案を聞いているので、サポートしながら盛り上げていけると思っています。
    名称については、連合会の中でも変化を望まない方はかなりおられます。変えるべきと言う方と分断しないよう、みんなが納得できるところを探っていきます。

    具体的に、何か一歩を踏み出せそうでしょうか?

    小嶋さん:まずは、連合会幹部職員30名で研修として提案内容を共有し、意見を言い合おう、という案が出ています。やりやすいこと、少しアレンジすればできることから、なるべく実現できるように、区と生活支援コーディネーターでサポートしたいです。区としても、予算をつけてでもサポートできることを伝えられるとよいと思っています。

    プロボノプロジェクト 伴走の感想

    1カ月間のプロボノプロジェクトの伴走、負荷はいかがでしたか?

    小嶋さん:プロボノチームからの提案を受けてみて、これだけの考えを自分たちでまとめるのはなかなか難しかっただろうと思います。プロボノワーカーさんは平日にお仕事をされている方が多いため、打ち合わせは土日に日程を合わせないといけないところもありますが、その大変さよりも得られた成果のほうが圧倒的に大きかったです。しっかり第三者の意見を聴けたという満足感が、高齢者クラブ連合会のみなさんにもあったと思います。

    プロボノワーカーとの協働の感想をお聞かせください。

    小嶋さん:プロボノワーカーさんに意見を聴けたことは私たち自身も刺激になりました。また50代、60代に差し掛かっているプロボノワーカーさんもおられ、地域活動に積極的な意識を持ってくれたこともあり、上手にアクションすれば、もっと会員さんを増やせるチャンスがあるんじゃないかと気づかせてもらいました。また活用させていただきたいです。

    まとめ(プロジェクト完了から次のステップへ)

    今回の事例では、プロボノチームのスキルももちろん活かされていましたが、このプロジェクトでのヒアリング会のように、第三者が入るからこそ、ターゲット層から忌憚のない意見を募ることもできます。第三者だからできることに、ぜひ目を向けてみていただければと思います。
    そして、次の一歩として取り組みたい目標を具体的にすることが大切ですね。

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