• サイトマップ
  • 都庁総合トップ
    • 大きいサイズ
    • 標準のサイズ
    • 小さいサイズ

    レポート:第2回ケース勉強会「地域を巻き込む居場所づくり-運営のポイントと情報発信への挑戦-」

    地域包括ケアの構築に必要不可欠な「多様な主体との協働」について、地域課題の解決や、地域活動の活性化に結び付いた実例からヒントを学び、参加者同士での共有を行う「ケース勉強会」。第2回は、地域活動への多様な主体の巻き込み方や、活動を知らない住民への認知・興味の深め方などについて、仕事の経験や知識を活かしたボランティア活動「プロボノ」との協働事例とともに考えました。
    本レポートでは、その内容の一部「事例紹介」パートについて抜粋してお伝えします。

    プログラム
    ・はじめに ケース勉強会とは・プロボノとは
    ・事例紹介 ゲストトーク・グループワーク
    ・今年度進行中のプロボノプログラムのご紹介
    ・オンラインプラットフォーム「地域参加のトビラ」のご案内

     

    事例紹介 ゲストトーク・グループワーク

    地域を巻き込む居場所づくり -運営のポイントと情報発信への挑戦-

    ゲスト:杉並区地域包括支援センター ケア24西荻 生活支援コーディネーター 黒松利砂さん
    伴走されたプロボノプロジェクト:2022年度「まちナカ・コミュニティ西荻みなみ」ウェブサイト制作(及び、SNS活用)

    ―― 「まちナカ・コミュニティ西荻みなみ」について教えてください

    黒松さん:西荻窪駅前にコミュニティスペースを構え、40~70代の地域住民さんがボランティアで運営しています。活動は多岐にわたり、サロンやカフェ、子どもや赤ちゃんの時間、季節のイベントやレンタルスペースなど様々な活動をされています。

    ―― 黒松さんは、団体さんとはどのようなご関係性ですか?

    黒松さん:私は、生活支援コーディネーターであり、地域づくりの担当でもあります。「まちナカ・コミュニティ西荻みなみ」(以下、西荻みなみ)とは、立ち上げ時から居場所づくりの作業を手伝ったり、イベントに参加したり。また月一回、西荻みなみのスペースで、西荻みなみでの出来事や訪れた方についてなども含めた、地域福祉コーディネーターさんとの活動内容のシェアなどもさせていただいています。

    ―― プロボノプロジェクトは、若い方にも活動を認知していただくためのウェブサイトやSNSの活用ということでした。応募時の背景を教えてください。

    黒松さん:2018年10月に活動がスタートして以来、地域住民さんには少しずつ知っていただいていましたが、なかなか事務局や広報という機能まで、手が回らないように見えました。また、ちょうど子育て中のお母さんたちに向けた事業を拡大したい思いもあり、情報発信を強化したいと考えておられたようです。

    ――同じような課題を抱えておられる団体さんも多いのではと思います。プロボノプロジェクトの成果物としては、ウェブサイトの整理とSNS活用のサポートです。ウェブサイトはすでにあったサイトを、ヒアリングをしながら多岐にわたる活動を整理し、分かりやすく伝わるよう構築しなおしました。SNSについては、媒体ごとの役割とターゲット層を明確にし、活用につながるよう整理しました。またSNSを見てもらうための案内チラシも制作されました。

    ワーク① あなたなら成果物をどう活用しますか?

    成果物:ウェブサイト・ウェブサイト/SNS操作マニュアル・各種案内チラシ
    成果提案時の声:
    • ウェブサイトと各種SNSの役割や使い分けについて整理できてよかった!
    • まずはできるものから取り組みつつ、操作できる人を増やしていきたい

    プロボノプロジェクトが完了し、成果物が納品された後の次なるステップについて、成果物の横展開、新たな協働も視野に入れて、コーディネーターとして成果物をどう活用するか、というグループワークを行いました。

    ワークのシェア

    ・団体だけでなく、包括や社協でSNSを使って拡散することや、市役所のメール配信サービスで紹介いただよう、多くの人の目に触れてもらえるとよい。
    ・高齢の方たちのデジタル活用の難しさもありつつ、こうしたサイトやSNSに参加することを目標やモチベーションとしてスマホ教室を開催するのもよい。
    ・SNSを地域掲示板として機能させていく。SNS活用は起点になる人が必要なので、例えば学生の協力を得られれば、使える人を広げていける。そうした新たな層の巻き込みのきっかけにもできるかもしれない。
    など、各グループからさまざまなアイデアが挙がりました。

    黒松さんのシェア

    ―― 実際にプロボノ支援後、西荻みなみさんの情報発信の様子などに変化はありましたか?

    黒松さん:ウェブサイトはわかりやすくリニューアルしてもらいましたが、さらなる活用という点ではスケジュール更新にとどまり、新しい情報発信はこれからという現状です。更新に強い方を増やしていきたいと話しているところです。
    SNSは、媒体ごとに適したターゲット層をレクチャーしてもらい、使い分けについて整理してもらったことがとても助かりました。支援後の具体的なアクションとしては、LINEオープンチャットを開設し、100人以上が参加されています。団体の予定やイベント情報、防災などちょっとした地域の話題を発信できています。Facebook やX(旧Twitter)は支援前から引き続き活用していて、特にXは毎日発信されています。

    ―― 第三者であるプロボノと協働してよかったことは?

    黒松さん:西荻みなみについて、多くの方に関心を持っていただくために、団体内外の関係者に話を聞いて、マーケティング視点から提案をしてくださったことは、自分たちではできないことでした。
    また、今回支援くださったプロボノチームが育休中・離職中のママさんで構成されたチームでしたので、団体内のママさんが、同じママさんからヒアリングされたことにとても刺激を受け、視野が広がったようでした。

    「まちナカ・コミュニティ西荻みなみ」運営のポイント

    ―― ここからは、「西荻みなみ」代表の秋山様が、昨年度の東京ホームタウンプロジェクトの取り組みを総括したイベント「東京ホームタウン大学2023」の際にご提供くださった資料を抜粋してご紹介しながら進めてまいります。(以下、囲み箇所は資料より抜粋)

    資料全文はこちら

    まちナカ・コミュニティ西荻みなみのリンクワーカー(お当番)さんは現在32名ほど。それぞれ都合のよい曜日に数時間、交代で、西荻みなみを訪れる方をお待ちしています。リンクワーカーをされているのは、次のような方々です。
    ・西荻みなみで何かをやってみたい人 (みなみの理事やボランティアさん)
    ・近隣の民生児童委員さん
    ・地域住民のみなさん

    ―― リンクワーカーさんは具体的にどんなことをされているのでしょうか?
    黒松さん:イベントや催しのない時間帯に鍵を開けて「西荻みなみ」のスペースにいてくださり、足を止めていただく方への声掛けや、ご案内、要望へのご対応などです。

    ―― どのように持ち回りを決めておられますか?
    黒松さん:ご都合に合わせて、だいたい曜日を決めて、複数人で担当されているようです。

    ワーク② ボランティア募集は、どんな時にどんな声掛けをすると効果的?

    「西荻みなみ」のリンクワーカーになっていただくボランティアさんへの声掛けを例に、どんな時にどんな声掛けをすると効果的か、グループワークを行いました。

    【まちナカ・コミュニティ西荻みなみの活動内容】
    • 多世代が集う地域の居場所
    • 平日13~17時、高齢の方向けのサロンや相談会、赤ちゃん、子どもたちが自由に楽しめる時間など、対象者を分けてさまざまな活動を実施。
    平日の午前中は、地域の方にレンタルスペースとして貸し出し。
    • 季節に合わせてハロウィンイベントなどの楽しい企画も。
    • 地域の提供者から集まったもったいないものをシェアする「もったいな~いマルシェ」も開催(年4回程度)

    ワークのシェア

    ・イベント中の会話からさりげなくお誘いする。その時、活動イメージを可視化したチラシなどがあると、考えてもらいやすい。楽しさや魅力をメンバーから話してもらうのも説得力がある。
    ・新しく引っ越してこられた方は地域やつながりに関心がある方も多い。目につくところで告知するなど周りから伝わる仕組づくりできるのでは。
    ・個人よりもグループに声掛けしたほうが圧力をかけない場合も。
    ・小さな地域の課題をきっかけに声掛けしていく。
    ・ボッチャなどのスポーツや川・畑での活動アクティビティなど人が集まる場では、声掛けしやすい雰囲気がある。
    ・ママコミュニティから横のつながりで広げていく。
    ・ボランティアしたいけれど活動の場がないという人のために、関係機関に協力体制をもらうことも重要。
    ・一番大事なのは、いろんな参加者の声に耳を傾けて、彼らの考えやアイデアも活用しながら工夫していくこと。

    など、参加者のみなさんの地域での取り組みの知見のシェアも含め、さまざまなアイデアや意見が挙がりました。

    「西荻みなみ」の工夫・黒松さんのシェア

    <イベントボランティアへの参加からリンクワーカー、ボランティアへ>
    ボランティアの募集は、ハロウィンやクリスマスなど、声を掛けやすい大きなイベントの際に。
    声を掛けるときは、負担を軽く、楽しさ共有、参加しやすい声掛けを心がけています。
    たとえばハロウィンの場合は、
    ・子どもにお菓子をプレゼントしてもらうボランティアです。
    ・仮装するので顔がわかりにくいから、初めてでも参加しやすいですよ!
    ・仮装の小物や衣装は、こちらでも用意できますよ。
    ・初めから最後まででなくても、準備や片付けだけでも大歓迎。今回だけでももちろんOK。
    ・子どもたちに楽しい時間を提供したいので、ご協力ください。

    <楽しい経験の共有が、ボランティア活動のやりがいに>
    実際に参加した方は、「楽しい!人に喜んでもらえた!」と喜んでくださいます。
    中には、「自分でもできることがあるんだと気づきました」とおっしゃる方も。
    「参加して楽しい、うれしい」こういう気持ちがあれば、その後に続きやすいですし、お誘いもしやすいです。
    SNSでの呼びかけに応えてくれた方、社会福祉協議会さんとつながりのある方、学生でボランティアしてみたいという方など、地域住民でない方から、ボランティアへの参加の申込をいただくこともあります。
    このような場合は単発がほとんどですが、継続的でなくとも、そのボランティア体験がその人にとっての経験の一つとなり、次の機会に繋がることになればうれしいのでお願いしています。

    <ムリなく楽しみながら、地域の日常を応援していただいてます>
    ・まちナカ・コミュニティ西荻みなみにふらっと立ち寄り、「コロナ禍で一人自宅にこもりがち」と話された地域住民の方に、「ここでみなさんと一緒にお話してみませんか」とお誘いしたことがあります。
    ・お子さんが西荻みなみに来ていたりイベントに参加する中で、西荻みなみを知ってくれた子育て中のママたちが、短時間ならと関わってくれています。
    そのほか「ボランティアやってみませんか」と貼り紙したり、関係者から直接お誘いすることもあります。
    いろんなことをしていると、「大変そう」、「自分には無理」、「引き受けたら当番の日は必ず出なくては」と思われがちなので、「どこまでの範囲のお手伝いなのか」、「来られない日は無理してこなくてOK」など、参加のハードルは低くして、訪れる方との会話を楽しんでもらうくらいの気軽さでと、お伝えしています。

    <活動の目的とリターンを、前向きな言葉で>
    町会⾧をしていた時から心掛けていたことですが、マイナスな言葉を使わないことも大事だと思います。
    「もう大変なのよ~、誰か引き継いで~。」「困っているから何とかしてくれる人いない?」「人がいないよね。」そんな言葉をよく耳にしますが、初めからマイナスな情報が入ってくる中で、「やります!という奇特な人はなかなかいません。むしろ近づきたくなくなるのではないでしょうか?
    それよりも、自分たちが何を目的に活動し、こんな楽しい面白いことが起きている。健康に関する活動なら健康増進につながっている、町会なら、知り合いが増えて住んでいて安心など。
    「参加することで、自分がどんなよい結果を得られるか」を感じてもらうことが大事だと思います。
    町会の活動で人がいなくて困った・・・そんな経験はありませんでした。

    ―― 広くボランティアを募集されていると見受けられます。実際にはどのような声掛けをされていますか?

    黒松さん:町会や民生委員さんといった今までのつながりを活かして参加してくれる方などに、活動を一緒に楽しんでもらうところからお誘いすることが多いです。
    リンクワーカーさんは、まずは活動に参加されて地域のことを知ってもらったり、イベントの楽しい居心地のよい中でご案内していくと自然な流れができます。

    ―― やはり、まずは楽しみながら活動のことを知っていただき、そこからステップを踏んでリンクワーカーさんに、という流れなのですね。

    黒松さん:人との出会いやふれあいなど、それぞれに活動の中で楽しみを感じてもらえると、無理なくボランティアにつながるように思います。「長く住んでいても、活動によってはじめて、今まで接したことのなかったような人との出会いがあった」と言われることがありました。

    ―― 知っていただける、まずは楽しさを感じていただける体験機会としてのイベントやきっかけづくりも大事になりますね。
    事前の情報で、SNS担当は男性とのことですが、男性の方の巻き込みは課題に感じられている地域も多いと思います。その方は、どのように活動されるようになったのでしょうか?

    黒松さん:お勤めされていた会社で長年ボランティアに関わるお仕事をされていた経験がおありでした。退職された後、偶然、当時の地域福祉コーディネーターと再会し、活動を紹介されたという経緯です。今もさまざまなボランティアに呼ばれてお手伝いしておられます。

    ―― 今は、企業でもCSRや社会活動の担当部署も増えているので、関心がある方も増えていらっしゃるかもしれませんね。ますます、地域での活動の場を知っていただくための、接点づくりの大切さを感じます。

    <“巻き込み方”まとめ>
    ● 地域の人が運営している「居場所」を手伝ってくれませんか、一緒にやりませんかの声掛け。
    ● イベントに参加してもらう、またはお喋りに来てもらうなど、「楽しい時間を体験してもらう」と、興味を持ってもらいやすい。
    ● ボランティア参加のハードルは低く。(来れるときに、できることを。1人ではない。わからないことはいつでも聞いて)

    質疑応答

    Q:負担をできるだけかけない心がけはよく伝わりました。リンクワーカーとして活動してもらう上で研修や審査など、意識していることはあるのでしょうか?

    黒松さん:地域を知ってもらっているなど、人となりが分かったうえでお願いしていると思います。また、活動する上で困らないようにマニュアルは作っています。
    また、振り返りの会で、ちょっとした気づいたことを共有してもらうことや、分からないことや事務的なことを確認してもらうようにしています。

    Q:リンクワーカーさん同士や利用者さんとのトラブルはありますか? 対処法は?

    黒松さん:居心地のよい場所を求めて来られると、実際にはさまざまなご要望があることは確かです。対応はリンクワーカーさんや団体さんがされています。住民ボランティアの限界はありますので、都度、団体の理事や私たちコーディネーターとも、対応を検討しあったりしていますが、それだけ居心地が良いと思われているのだな、と前向きに捉えています。

    ページトップへ戻る
    Copyright © 2015-2024 Bureau of Social Welfare, Tokyo Metropolitan Government. All Rights Reserved.