東京ホームタウンSTORY
支援先レポート
地域の課題発見にもつながる
子ども食堂の「続けかた」とは
店主 山田和夫さん
設立 2013年
「子どもにワイワイがやがや賑やかに食卓を囲んでもらいたい」「日頃忙しいお母さんに一食分でもゆっくりすごしてもらいたい」という思いから2013年3月に豊島区要町で始まった子ども食堂。第1、第3水曜日の17:30~19:30の間オープンし、大人1食300円、子ども1食100円で栄養バランスのいい食事が楽しめる。東京ホームタウンプロジェクトの「プロボノ1DAYチャレンジ」の支援でFacebookを立ち上げ、同じメンバーによるホームページも完成した。
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豊島区・要町の住宅街にたたずむ、築50年の一軒家。2013年から月に2回、主の山田和夫さんは自宅を開放して「要町あさやけ子ども食堂」を開いています。
山田家の玄関先は、25年間、山田さんの奥さんが主婦仲間と立ち上げたパン店でした。ところが奥さんに病が発覚し、闘病の末に突然の他界。店を閉め、何も手につかなかった山田さんは、かつての仲間から、子どもの貧困問題の話を聞きます。
とにかく始めよう、と思い立って3年。パン店時代のスタッフが調理ボランティアとして参加し、全国から善意の食材も届くようになりました。昨年は東京ホームタウンプロジェクトの「プロボノ1DAYチャレンジ」で支援を受けて、Facebookを立ち上げました。
あえて「打ち合わせも、反省会も行わない」のが山田さん流。孤食の高齢者と子どもたちが集う“子どもじじばば食堂”もいいんじゃないか、と語る山田さんの言葉には、高齢者や子どもの支援を行いたい人へのヒントも詰まっています。
一般名詞化してきた「子ども食堂」
山田さんが店主を務める「要町あさやけ子ども食堂」は、この春3周年を迎えました。今「子ども食堂」が全国的に増えていますね。
山田 始めた当時は「子ども食堂?何それ?」という感じで、私たちもどうなるのか予想がつかなかったのですが、今は一般名詞化してきています。北海道から沖縄まで、全国に子ども食堂ができたようです。
山田さんは、本業では何をされているのでしょう?
山田 60歳で会社を退職して、現在68歳。年金生活者です。パートで魚屋の手伝いをしています。魚をさばけるんですよ。もう働いて5年になって、それなりのことができます。子ども食堂の活動費を、年金から持ち出すのは大変なので。
飲食の仕事をやっていらした?
山田 おもちゃの製造販売です。なぜ魚屋かというと、買い物に行ったときにアジを買って「さばきましょうか?」と聞かれて「自分でやります」と言ったら、「さばけるんですか? さばける人がいないので、働きませんか」と誘われたんです。
家に帰っても一人ですから、さびしいですしね。働き始めました。最初の1年くらいは、魚がかわいそうなくらい、よくできませんでしたね。でも、もう5年になりますから。
弁当作りがこうじて調理師免許を取得
では料理は趣味なんですね?
山田 かみさんがパン屋をやっていたんです。25年続いたパン屋で、私は、スタッフのまかないを作る担当で、魚もさばいていました。
スタッフは家庭の主婦で、朝は忙しいんですよ。うちのかみさんも忙しい。息子たちは弁当がほしいというので「暇な人が作る」ことになり、私が3年間作りました。弁当は、焼きそばだけ入れればいいってものでもない。料理の腕を磨いて、ついでに調理師免許もとりました。
お弁当を作るのに調理師免許!
山田 好きなんですね。
高校3年間の息子さんのお弁当をお父さんが作るって、ステキですね。
山田 息子は大学に進学し、「学食がまずいから、また弁当作ってよ」と。それは断りました。「知らないよ」ってね(笑)
それだけおいしいお弁当だったんですね!それに、パン屋をやる主婦の方に出すまかないって、高いレベルが求められそうです。
山田 パン屋で売る、カスタードクリームパン。黄身を使うと白身がやたらと残るんです。「これで何か作って」と頼まれて、白身だけで軽いお好み焼きを作ったりもしました。あれは評判がよかったですね。
おもちゃの会社に勤められ、何か作る、遊び心でとらえる、そうした暮らし方をされていたのでしょうか。
山田 おもちゃの製造販売では「去年の売り上げの何パーセント増」といったことを言ってもつまらないよね、「売れたときが売れたとき」。そんなスタンスで仕事していましたから。普通のサラリーマンとは考え方が違っていたところは、あったかもしれません。
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