東京まちかど通信
地域密着型のケーブルテレビ会社が地域シニアの協力を得て地域に貢献
日本全国でケーブルテレビによる多チャンネル放送サービスなどを手がけているジュピターテレコム。地域に密着した事業を推進している同社は、地域のシニアの協力を得て「いきいきプロジェクト」を展開。地元企業として、地域に貢献しています。その活動内容についてうかがいました。
シニア層の方に「コミュニティ担当」になっていただき、長年のご経験を生かして、地域の方々に向けた講座を持っていただきます
——まず、「いきいきプロジェクト」の概要からお教えください。
石井 ジェイコムグループは、全国16社51局を通じて、ケーブルテレビによる多チャンネル放送サービス、固定電話サービスなどを手がけています。地上波と違い、ケーブルテレビのサービスエリアは各地域で限定されており、その特性を生かすためにも地域に密着した事業運営を心がけております。そうした事業運営の一環として、全局の統一プロジェクトとして2006年から「いきいきプロジェクト」をスタートさせました。これは、各局に加入いただいたお客様の中から60歳以上のシニア層の方を中心に地域住民の皆様との接点となる「コミュニティ担当」になっていただき、ご協力いただいて地域貢献活動を行うというものです。
——これまで、どれぐらいの方が参加しているのでしょうか。
石井 全国の「コミュニティ担当」登録数は約650人、一般参加者は年間のべ約1万2500人です。都内ではそれぞれ約120人、1800人が参加しています。評判が徐々に伝わって、増加傾向にありますね。
——活動内容は、どういったものでしょうか?
石井 加入いただいているシニア層に向けて、オリジナルチャンネルである「コミュニティチャンネル」やホームページなどで基本的にボランティアによる「コミュニティ担当」へのご応募を呼びかけています。「コミュニティ担当」の方には、ご自身の長年のご経験を生かして、地域の方々に向けた講座を持っていただいたり、イベントの企画・運営をしていただいたりします。「コミュニティ担当」の方はジェイコム加入者に限定していますが、講座・イベントにはどなたでもご参加いただけます。一部の活動は、ジェイコムが取材をして「コミュニティチャンネル」という番組でご紹介します。地域の方に地域の方によるこの活動をしっかりお伝えすることも、重要な地域貢献であると考えています。
——どういった講座があるのでしょうか?
石井 例えば、英会話がご堪能な方による「英会話レッスン」や、地元の歴史に詳しい方による「地域の歴史散策ウォーキング」、料理がお得意な方による「男の料理教室」といったものです。全体で年間800件ほどの講座が行われていますので、平均すれば1局あたり月1~2件の講座が開かれているということになります。
受講者の方には「ためになった」「わかりやすかった」と概ね好評です。こちらのほうが逆にエネルギーをいただいている感じですね。
——特に好評な講座は何かありますか?
小澤 高齢者向けのパソコン教室ですね。昨年は年3回の開催でしたが、希望者が多く、今年は9回に増やしました。高齢者のパソコンデビューを支援するという目的がありますので、講座についていっていただけるよう、受講者10名につき講師2名を当てています。受講いただけるのは1講座10名が上限となりますので、回数を増やすことでご希望にできるだけ対応いたしました。
——反響はいかがでしょうか?
小澤 どの講座も毎回必ず受講者の方にアンケートを取っていますが、「ためになった」「わかりやすかった」と概ね好評です。こちらのほうが逆にエネルギーをいただいているという感じですね。本当に開催してよかったと思っています。
——何か印象的なエピソードはありますか?
小澤 私が担当している東東京東エリア局(練馬区)は、2011年から「いきいきプロジェクト」が確実に定期開催できるようになりました。さらに講座のメニューを増やしていきたいと考えていたところ、英会話教室の「コミュニティ担当」の方からお琴の先生をご紹介いただいたり、また茶道教室に参加されたネイリストの方から、ご自分も「コミュニティ担当」をさせてほしいと申し出ていただいたりといったことがありました。そのように活動の輪が広がっていっています。来年度は講座を倍に増やす予定です。
パソコンは視野を広めたり、人とのつながりを取り持ってくれる道具です。参加する人のシニアライフを豊かにしていると思います。
——「いきいきプロジェクト」を始められた経緯をお教えください。
石井 2006年のことですが、「団塊の世代」の一斉定年退職が始まる、いわゆる「2007年問題」が話題となりました。当社の加入者はシニア世代が多いということもあり、定年退職後に地域に戻られる方々にご活躍いただく場をご提供することを通じて、何か地域に貢献できないかと考えたのです。定年退職される年代の方々は、これまで何十年も社会で貴重な経験を積まれてきています。そのご経験を地域に還元していただくことは、地域の方々にとって貴重な学びの機会になるとともに、ご本人の生きがいにもつながるのではないか。そうした考えが契機となりました。
——今後の課題や方針などはいかがでしょうか。
石井 スタートの経緯から、これまでシニア層を主体に取り組んできましたが今後はお子様向け、女性向けなどにも広げていきたいと考えています。一部では、地域の諸団体と連携して、「夏休み親子教室」などを行っています。この場を通じて世代間交流なども促進できればいいと考えています。また、地域の方が活躍する「いきいきプロジェクト」を放映し、その番組を見ていただくことで、地域の一体感を醸成させていただけると考えています。こうしたことも大いに活用しながら、地域の絆を深める幅広い活動を展開していきたいですね。
松本信子(まつもと・のぶこ)さん(コミュニティ担当)
——「コミュニティ担当」に応募された動機をお聞かせください。
大学の英文科を卒業後、英会話スクールに勤めました。幼稚園でも英会話を教えていましたね。その後、自宅で37年間、英会話教室を開いてきました。2006年にジェイコムさんの募集をホームページで見て、自宅以外でも違った層の方々に向けて自分の経験が生かせるのではないかと思ったのです。
——どういった活動をされているのでしょうか?
初心者向けに毎回テーマを決めて、簡単な英会話のレッスンを行っています。これまで7回行いました。テーマは、1回目は「トラベル・イングリッシュ」、2回目は同じテーマを違う局でやりました。3回目以降は、順に「道案内」「街で外国人に話しかけられたら」「お買い物」「電話のかけ方」、そして「Welcome to Japan」です。
レッスンは1回2時間で、受講者の方の人数は当初15名にしていましたが、ちょっと多すぎると感じて途中から10名にさせていただきました。やはりシニア層が中心ですね。教材は、毎回自分が作成してお渡ししています。
——この活動への参加は、松本さんにとってどういった手応えがありましたか?
皆さん誰でも学校で英語は勉強しているんですが、卒業すると話す機会がないんですね。それで、いざ海外旅行に行っても、英語で話してみたいのに結局一言もしゃべれなかったという方がほとんどなんです。そんな方が受講されて「今度海外旅行に行った時はぜひ話してみようと思った」などとおっしゃっていただけると、本当に嬉しくなります。また、「洋画を見ていて、それまで聞き取れなかったセリフがわかるようになった時は嬉しかった」とおっしゃる方もいます。また、スクールに通ったりすることに気遅れするシニア層は多いのではないかと思います。しかし、「いきいきプロジェクト」は講師も参加者も同年代が中心なので、皆さん気楽に安心して参加されているようです。私自身も楽しみながら皆さんをサポートさせてもらっています。
橋本 融(はしもと・とおる)さん(コミュニティ担当)
——「コミュニティ担当」に応募された動機をお聞かせください。
同会のメンバーにもお話をうかがいました。
45年間、練馬区で幼稚園の園長を務め、2006年に定年となりました。時間ができたので、何をしようかと考えていたところ、ジェイコムさんの募集を知ったのです。45年間培った経験やノウハウを無駄にするのはもったいない、これを生かした活動ができればいいと思って応募しました。
——どういった活動をされているのでしょうか?
1年目は、地元の石神井公園について知ってもらおうと、親子で参加するオリエンテーリングを思いつきました。楽しくなければいけないと、宝探しを加えることにしたのです。コースに4箇所ポイントをつくり、そこに石神井公園に関するクイズを置いて解答できたら通過できるというルールにし、ゴールに宝物を置きました。これは大変好評でしたね。
2年目も石神井公園で「夏休み親子見学会」を行いました。この公園は室町時代に豊島家の城があり、城主・豊島泰経の二女である照姫にまつわる伝説が流布されており、今でも練馬区では「照姫まつり」が行われています。そういった歴史をお話したり、区の施設である「石神井公園ふるさと文化館」を見学したりしました。それだけでなく、万華鏡づくりも行いました。
3年目は、私の経験をお話する「子育て支援講座」や、「夏休み親子見学会」として東京湾クルーズに出掛けました。操縦士の方に東京湾について教わり、夏休みの自由研究のテーマにもしてもらいました。冬には「楽しくあそぼう! J:COM 1日幼稚園」を開催し、紙芝居や親子英会話教室、クリスマスカードづくりなどを行いました。そして、最後はサプライズで私がサンタクロースになってプレゼントを配りました。みんな大喜びで、何よりでしたね。
——この活動への参加は、橋本さんにとってどういった手応えがありましたか?
元来が子供好きなので、子供の笑顔を見ているだけで楽しいです。目を輝かせて「楽しかった!」と言われれば十分です。若返る思いがしますし、生きがいになっていますね。 そして、私事ですが、この「いきいきプロジェクト」で2006年に松本信子さんと知り合い、その後一緒に活動させていただく機会が増えて、それがご縁で結婚いたしました。
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