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    東京まちかど通信

    留学生との交流などを通じて積極的な社会とのつながりを

    三井ボランティアネットワーク事業団 事務局長 山崎俊一(やまざき としかず)さん

    主に三井グループ企業を定年退職したシニアのボランティア活動を促進し、健康で生きがいのある生活を送ることを支援するとともに、同グループの社会貢献活動の一翼を担うことを目的に結成された三井ボランティアネットワーク事業団。現在は誰でも入会できるボランティア団体として、国際交流を中心に活動しています。その内容や手応えなどについて、事務局長の山崎俊一さんや事務局員・会員の方々にお話をうかがいました。

    三井グループ出身者でなくても、どなたでもご入会いただけます。

    三井ボランティアネットワーク事業団事務局長の山崎俊一さんにインタビュー

    ――三井ボランティアネットワーク事業団(以下、事業団)の設立の経緯をお教えください。

    当事業団は、三井グループの高齢化問題委員会において、グループ各企業のOB・OGのシニアたちが豊かな生活を送るために何かできることはないか、という問題意識から生まれた組織です。豊かな生活には社会との積極的なつながりが不可欠ということで、そのためのボランティア活動を支援する組織をつくろうということになりました。また、この活動を通じて三井グループの社会貢献を果たすことも目的とされました。趣旨に賛同してくれた三井グループ34社の共同出資で活動資金をまかなうことになりました。本部は東京にあり、大阪と広島に支部があります。

    ――ということは、入会できるのは三井グループの出身者だけなのでしょうか?

    当初はそうでしたが、現在はどなたでもご入会いただけます。会費などは無料です。そのあたりは、運営会員会社には鷹揚に構えていただいています(笑)。ちなみに会員は全国に約1200人おり、東京本部が約半数を占めています。三井グループ外の方は全体で約300人、東京本部には110人ほどの方が入会されています。三井グループ各社のOB・OGは定年退職する際に、OB会からの紹介や会員からのお誘いで入会される方が多いのですが、一般の方のほとんどはホームページを見て入会される方になりますね。

    留学生およびご家族と、日本語をベースに様々な活動を行っています。

    ――では、東京本部の活動内容をお教えください。

    大きなテーマとして、国際交流を掲げています。具体的には、東京大学や一橋大学、駒澤大学などで学んでいる留学生およびご家族と、日本語をベースに1対1で交流する活動を行っています。それ以外に、大学ごとのグループで日本の伝統文化鑑賞や三井グループ企業の工場見学などにも出かけています。現在、約6割の会員が携わっています。
    また、「国際海岸クリーンアップ」などに協賛し、多摩川や荒川の河川敷などで清掃作業を行う環境保全活動や、日赤病院、東大病院、三井記念病院などの医療機関で再来患者受付機および精算機の操作補助や院内案内などを行う医療支援活動、児童福祉施設である「エリザベス・サンダース・ホーム」の園内清掃や園児との交流を行う福祉活動、タイやラオスなどの児童を対象とする「ダルニー奨学金」に協力するため、書き損じハガキや未使用切手を収集する活動などを行っています。
    これらの活動は、それぞれの部会の世話人が音頭を取って進めています。また毎月の第一木曜日には幹事(会員の代表で構成)が集まり、情報交換や次の企画などを話し合う会を「一木会」と名付けて開催しています。さらには年4回、会員の皆様へ参加を呼びかけ例会を開催、講演会などの活動を行っており、これが当事業団の推進母体となっています。

    和太鼓の体験会
    富士山登山にて

    国際交流では1対1での交流のほかにもグループでの交流活動も行っています。

    行政やNPO法人と協働で多摩川の河川の清掃活動などを行う環境保全活動
    社会福祉法人である「エリザベス・サンダース・ホーム」とは様々な福祉活動を行いチャリティコンサートなども開催

    対象大学は、都内は前述の3校ですが、設立当初事務局及び会員が大学側に働きかけ決まったと聞いております。活動内容はボランティア会員と留学生による日本語での1対1の交流を基本とし、その中で、日本固有の文化を直接見学したり、実際に体験をしてもらいます。

    “少しでもどなたかの支え”にという当事業団の思いに共鳴し、参加しました。

    ――では、山崎さんが事業団に参加された動機をお聞かせください。

    私は2011年3月に三井住友海上火災保険を定年退職しました。実は、それまで当事業団の存在を知らなかったのです。人事部から紹介・斡旋され、ボランティア活動で少しでもどなたかを支えていければ、という当事業団の思いに共鳴しました。私は会社から言われたことには素直に従うタイプなので(笑)、迷うことなく参加することにしました。ちょうど前の事務局長が退任するタイミングで、入団と同時に事務局長を仰せつかったというわけです。

    ――留学生交流などにも携わっておられるのですか?

    いや、事務局長専任です。事務局長には一応3年の任期があるので、退任後は私も留学生交流をやってみたいと思っています。
    事務局長としての成果は、運営会員会社を3社増やしたことでしょうか。設立以来、運営会員会社が増えたのは初めてのことです。独自にCSR(企業の社会的貢献)活動を行っていない企業に対し、当事業団が、そういったグループ会社のCSR活動の受け皿になれるとお話しして開拓しました。

    社会に貢献できているという実感を持てることで、張り合いが生まれています。

    ――活動を通じて参加している会員や国際交流にどのような効果が得られると考えていますか?

    東芝科学館の見学会の様子

    やはり、会員自身が社会に貢献できているという実感を持てることで張り合いが生まれ、生きがいに繋がっているのではないでしょうか。留学生交流では、三井記念美術館や東芝科学館、さらに工場などグループ各社の施設を見学していますが、留学生が本国に帰国してから、「日本には三井グループという素晴らしい企業グループがある」という評判を広めてもらえる可能性があります。こうした草の根交流がもたらす効用は、大きなものがあるのではないかと思っています。

    ――最後に、今後の課題や方向性についてお話しください。

    私をはじめ、事務局員や多くの会員が在職中に当事業団の存在を知らなかったように、認知度が低いのが実情です。これを高めるため、ホームページを全面的にリニューアルして見やすいものにし、グループ各社のイントラネットにリンクしてもらうようにしています。それとともに、運営会員会社をさらに増やしていくことも課題ですね。そして、会員が高齢化していますので、新規会員を募っていく必要があります。任期中はこの課題に取り組んでいく所存です。

    続いて、会員の方に、活動に参加した経緯と内容、手応えについてうかがいました。

    鈴木徹夫(すずき・てつお)さん

    10年前に定年退職しました。当時、妻を亡くして半年間ほど”引きこもり”状態でしたが、たまたま会社から送られてきたニュースレターに当事業団の「ボランティア急募」という告知を見つけ、「いつまでも引きこもっているわけにはいかない、一歩出てみよう」と思って参加することにしたのです。
    現在まで、駒澤大学などの留学生のサポートを続けています。これまで、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、オーストラリア、台湾、韓国、タンザニアなどからの学生と1年間ぐらいずつ交流しました。「日本を好きになって帰ってもらう」ことをモットーに、こちらから押し付けず全面的に学生たちの希望に応じています。
    印象的だったのは、ドイツ人の女子留学生。日本のアニメ、特に忍者ものが大好きで、「アニメフェアに行きたい」ということで会場まで連れて行きました。しかし、私は最近のアニメなどチンプンカンプン。会場に入るや一転、彼女にリードされる始末でした(笑)。また、台湾からの男子留学生は日本の戦国武将を知りたいと言うので、図書館で本を借りてあげるというお手伝いをしました。彼は1年間で100冊ほども読み、私よりはるかに詳しくなって帰国しました(笑)。
    このように、自分のほうも世界が広がり刺激を受けることが多いのです。とても楽しく、生きがいになっていますね。

    廣瀬邦彦(ひろせ・くにひこ)さん

    55歳で早期退職しました。その後5~6年は野菜づくりなどをして過ごしていたのですが、3年ほど前、会員になっていた先輩からたまたま誘われて入会しました。
    現在は、東大、駒澤大、一橋大、そして横浜国大の4人の留学生と交流しています。駒澤大の部会では、世話人として歌舞伎や能楽、文楽などの古典芸能の鑑賞会の企画催行も手がけています。留学生たちは、口々に「キレイ」「スバラシイ」と言っていますが、日本文化の良さが少しでも伝わればいいと思っています。何を隠そう、こうした古典芸能は私も見たことがありませんでした(笑)。私のほうこそ楽しんでいるかもしれませんね。
    上海から来ていた駒澤大の留学生から、昨年、「上海万博に来て、お母さんの料理を食べてほしい」と誘われたので行きました。日本ですき焼きを食べさせてもらったお返しがしたいということでした(笑)。今は日中間が難しい状態になってしまっていますが、そんな時代だからこそこうした草の根的な交流はますます重要になっていくと思いますね。また、私にとってはあちこちに出かけて歩く機会が増えて、健康にいいと思っています。

    稲葉常春(いなば・つねはる)さん

    2011年9月に定年退職しました。事業団のことは知りませんでしたが、元の会社の先輩から紹介されて入団しました。
    活動としては、駒澤大、横浜国大及び湘南倶楽部の部会を担当しています。主には各部会の後方支援ですが、ボランティア会員の方々が留学生との交流や各種イベントに取り組む姿勢を拝見していますと見習う部分、勉強させられる部分が多々あります。
    昨年入団してから1年が経過しますが、これからも自分自身の修行の場としてイベントにはできる限り参加して会員の皆様との交流を増やすと共に、会員皆様の活動に少しでも役立つ支援ができるよう努力したいと思っています。

    高橋勝栄(たかはし・かつえい)さん

    7年前に定年退職しました。知人が事業団の事務局にいたので、彼と一緒に活動するのもいいと思って参加しました。
    活動は、東大、一橋大、埼玉大の部会に加わるとともに、荒川および多摩川の清掃活動の案内役を務めています。清掃活動では、会員に案内を出し、当日の集合管理と回収したゴミの分別管理、そして処分までを責任もってやっています。事業団に参加するようになって、家では失くした居場所ができた思いがしています(笑)。また、それまで会社人間でしたが、留学生や大学の先生、自治体職員などいろいろな人と知り合える機会ができ、人間の幅も広がったように思っています。とても刺激的ですね。

    大橋誠治(おおはし・せいじ)さん

    2012年3月末の定年を前に、退職後は何をして過ごそうかと思案していた時に、たまたま会社の先輩だった山崎さんとゴルフをご一緒する機会があり、その時に「入れ!」と命令され(笑)、私も山崎先輩同様、言われたことには素直に従うタイプですので迷うことなく入団しました。
    千葉大学留学生の工場見学に参加したのですが、彼らの向学心のすごさに感心させられました。また、先輩方の熱心なボランティア活動ぶりにも驚かされましたね。千葉大、東大柏の部会を担当するとともに、「一木会」という会員の発展や親睦を図る会で3カ月に1回の割合で行っている例会における講演会の企画や準備、会場の手配などを行っています。将来、事業団を退職した後は留学生との交流をやってみたいと思っています。楽しくなりそうですね。

    事務局長の山崎さんと事務局員・会員の皆さん
    ■プロフィール

    三井ボランティアネットワーク事業団
    設立/1996年10月
    代表者/理事長 飯尾紀直(三井物産株式会社 顧問)
    活動内容/国際交流、環境保全、医療支援、福祉支援、文化・教育の諸活動

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