東京まちかど通信
「宅急便」集配の仕事をさせてもらっている“地域社会”のためになりたい
「クロネコヤマトの宅急便」でお馴染みのヤマト運輸は、都心においては1つの町内に複数の集配車を巡らせているほど、地域に根付いた事業を行っている会 社。それだけに、地域により愛され、社会とともに発展するという企業理念を持っています。そんな同社の地域貢献活動についてうかがいました。
地域のご要望を汲み取りながら地域特性に応じた活動を展開することを目指しています。
――社会貢献、とりわけ地域への貢献についての全社的な考え方についてお教えください。
高橋 「集配車など約4.5万台の自動車を保有し、公共の道路を利用して事業をさせていただいているヤマト運輸は、「交通安全」と「地球温暖化防止」を重点事項として常に考え、具体的な活動として取り組んでいます。
また、地域への貢献に関しても同じく重視しています。犯罪が多発している世の中にあっても、セールスドライバーがドアフォンで「ヤマト運輸の○○です。宅 急便のお届けです」と告げると、玄関を開けて荷物を受け取っていただけます。それだけ、私どもは世の中から受け入れていただけているのです。これに対し て、お返しをするのは当然の義務という認識があります。 そこで、地域社会により愛される存在となるために、地域貢献活動にも積極的に取り組んでいるわけです。 」
――どのように取り組んでおられるのでしょうか。
高橋 「配達や集荷時にお客さまと直接コミュニケーションができることを生かし、全国各地の営業拠点であるセンター が地域のご要望を汲み取りながら地域特性に応じた活動を展開することを目指しています。現在は自治体や地域の警察や町内会などの要請にお応えする取り組み を主に行っています。
例えば、北海道の釧路・根室などを担当する道東主管支店では、急病人や事件に巻き込まれている人を見つけた場合に病院や警察に連絡したり、高齢者宅で一声 掛ける、振り込め詐欺防止のパンフレットを配布したりするといった「見守り隊」を発足させました。同様の取り組みは、鳥取県を担当する津山主管支店などで も行っています。
また、全国の警察署が主体となって行われる、毎年春と秋の「交通安全運動」への協力もしています。」
地区を担当しているセールスドライバーが日頃運転中にヒヤッとしたり、ハッとした体験を集めて、それを再現
――では、南東京主管支店で行われている「原宿シニア交通教室」についてお教えください。
山口 「当社では、全国の幼稚園や保育園、小学校などで「こども交通安全教室」を開催していますが、それをご覧に なった原宿警察署の方から「シニア層の自転車事故が多発しているので協力してほしい」とご要請いただき、2008年の春から毎年春と秋に取り組んでいま す。原宿警察署が地域のシニアの方にご案内したところ、50人ほどが参加され、渋谷区の明治公園を会場として実施しました。そこに当社が集配車とセールス ドライバーを派遣して、自転車の乗り方や車の死角についてデモンストレーションを行ったのです。」
――どういった内容でしょうか。
切通 「この地区を担当しているセールスドライバーが日頃運転中にヒヤッとしたり、ハッとした体験を集めて、それを 再現するというものです。例えば、運転席のドライバーからは、ミラーや窓から見えない“死角”があるのですが、そこに人が入り込んでしまうと事故の元にな ります。そこで、実際にシニアの方に運転席に座っていただいて“死角”の存在を確認していただきます。また、実際に自転車を使って安全な乗り方を指導しま す。」
――参加したシニアからの反応はいかがでしたか。
切通 「「本当に運転席からは見えないね~」と納得していただけましたね。また、当日は私が司会進行を務めています が、「商店街の道路の反対側の店に安いものがあると、つい飛び出してしまいませんか?」「道を横切るときは、いったん自転車から降りずにいきなり曲がった りしていませんか?」などと声をかけると「あるある~!」との答えが返ってきます(笑)。皆さん、心当たりがあるようなので、危険な行動だったとご理解い ただけたのではないでしょうか。原宿署の方からも、「この内容で今後とも協力をよろしくお願いします」とおっしゃっていただけました。」
地域に役立っているということを直接感じることができて、モチベーションが高まる機会となりますね。
――御社にとってのこの取り組みに対する思いをお聞かせください。
山口 「参加したセールスドライバー自身にとっても、例えば死角の存在を再認識したり、実際にシニアの方の交通安全 に対する意識を知ることができて、いい勉強の場となっています。こうしたイベントがあると、参加した者をはじめ、支店全体でも地域に役立っているというこ とを直接感じることができて、モチベーションが高まる機会となりますね。帰ってきた時の表情を見ると、いつもと違う高揚感があります(笑)。」
高橋 「各地での取り組みは、本社で情報を集めて全国の営業所にフィードバックしていますが、この取り組みも全国に紹介しています。「うちの営業所管内も高齢者が多いので参考にしたい」といった声が届いていますね。」
――こうした取り組みを通じて、地域に貢献しているということをどのように評価していますか。
切通 「当社では、1つの町内に複数ので集配車を巡らせています。それぞれの地域には、小さなお子様から高齢者ま で、さまざまな方が暮らしているわけです。それぞれの方々と交通安全について認識を深め合うことで、地域の事故の発生を減らすことができると思います。こ うした地域貢献活動は当社の重点事項である交通安全の推進のための貴重な機会であると受け止めていますので、今後とも力を入れて取り組んでいきます。
■プロフィール
ヤマト運輸株式会社
(YAMATO TRANSPORT CO., LTD.)
設立年月日 2005年(平成17年)3月31日
本社所在地
〒104-8125
東京都中央区銀座2-16-10
電話:03-3541-3411(大代表)