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    東京まちかど通信

    第8走者 中島篤さん

    第7走者
    賛育会病院 地域連携室
    冨永千晶さん
    第8走者
    杉並区社会福祉協議会
    中島篤さん

    杉並区社会福祉協議会の地域支援課地域福祉推進係長として、住民の方たちと一緒に汗をかきながら、 住民主体の取組みをサポートしています。

    ——ふだんの仕事について教えてください。

    杉並区社会福祉協議会(以下、「杉並社協」)において、「住民主体の地域づくり」を目指し、小地域福祉活動の推進の一環として、主に、サロン活動の展開、団体支援(助成金)、募金活動の事務局、車いす短期貸出、地域のネットワークづくりなど、住民が主体的になって行う地域活動の支援を行なっています。

    杉並区は、住民の意識がすごく高い地域で、高齢者支援だけでなく、子育て支援や障害者支援などの分野でも様々な地域団体が活動しています。住民の方たちの自主性を大切にしながら、資金の助成を行ったり、一緒に会場探しや「仲間をどのように増やしていったら良いか」といった運営上のサポートを行ったり、地域の社会福祉資源との橋渡しをしたりして、住民主体で立ち上がった動きが継続できるよう支援しています。

    杉並区では、区内の地域のうち、和田掘をモデル地域として試験的な取り組みを行い、その成功事例を基に、他の地区を順次開拓していっています。住民が住民の相談を聴く「よろず相談所」や、お寺の中で「寺子屋学習会」をやったりしました。「きずなサロン」という、現在、区内に37か所ある居場所・たまり場の第一号もここで始めました。これらは全て「自分たちが住む地域をもっと良くして行こう」という住民の方たち自身の思いから始まったものなんです。

    こうした地域活動を継続的に行うためには、長期的なビジョンが不可欠です。今年度からは、地域のNPOとも協働しながら、「私たち生活者にできることは何か」といったことを、講座の企画などを通して考えていく試みも始めました。

    ——この仕事についたきっかけは何ですか?

    元々は、教育現場に関わりたいという思いがありました。しかし、大学で学校教育とは違う社会教育という領域を知り、強く惹かれたのがきっかけです。福祉系の大学に通っていたので、社会福祉協議会という組織の存在は知っていたのですが、就職活動を始めた当時は、公民館の職員になりたいと思っていました。

    公民館が住民たちの思いを吸い上げて、いろんな活動を生み出していく拠点だったんです。けれど、ちょうど公民館という施設が停滞する時期でもあったため、私が挑戦したいと思っていた頃には、ほとんどの地域でそういう仕事がなかった。そんな時に、社会福祉協議会やボランティアセンターの存在を思い出しました。ボランティア活動や住民の意志によって行う活動をコーディネートする機関ということで、公民館の仕事ととても似ているなと思いました。それで、杉並社協の門を叩いたんです。

    ——中島さんにとって、この仕事のやりがいは何でしょうか?

    私は社会福祉協議会の中でも異例で、ボランティアセンターの仕事に20年関わってきました。偶然が重なった結果でしたが、この期間が自分の成長の糧となりました。地域福祉の現場は、人と人との関わりのなかから学ばせていただくことが本当に多い。様々な「人」を知り、一緒に汗をかきながら、住民の方たちと目的意識を共にして歩むことができるのがやりがいですね。

    ——逆に辛かった経験はありますか?

    現場の仕事が好きなので、総務部署で予算・決算や組織管理に関する仕事をしていた5年間が辛かったな(笑)地域住民との接点がなくなったという苦しみもそうでしたが、組織運営に当たって、かなりシビアな調整が課せられた時期でもあったので、精神的にもきつかったです。一方で、組織としてのガバナンスやコンプライアンスなど、軸となる部分がしっかりしていないと、住民の方たちの声を吸い上げていくこともできない。そういう意味で、経営的な視点を学び、管理系の仕事の重要性が理解できたことは、現場の仕事をする上でも役に立っているし、今となっては良い経験でしたね。

    ——地域福祉の担い手の方や、この仕事を目指している方へのメッセージをお願いします。

    社会福祉協議会やボランティアセンターなど地域福祉の仕事に携わる以上は、ボランタリーな精神を持って職務に当たることが不可欠です。ワーク・ライフ・バランスももちろん大切ですが、「正規の時間、正規の業務以上のことはできません」といった杓子定規な対応では務まりません。

    杉並区社協では、若手を育成するため、震災等が発生した場合は、優先的に被災地へ派遣しています。東日本大震災の際も、杉並区が提携を結んでいる福島県南相馬市へうちの若手を何人か派遣したんですが、目に見えない原発の脅威もあるし、津波で家族を亡くした人たちもいる。そういう福祉の原点とも言える現場を経験した職員は、やはり一回り成長して帰ってきましたね。

    また、いろんな主体が一体となって実行委員会をやるような試みがあれば、どんどん参加したほうが良い。東京都社会福祉協議会や東京都ボランティア・市民活動センターなども、様々な主体が協働してフォーラムを一緒に作っていこうという取組みを行っていますが、とても良いことだと思います。とくに若い人たちには、どんどんそういう場に出て行って、立ち位置や領域が違う人たちを相手に、どのように自分たちの考えやビジョンを伝えていくかということを経験から学び取ってほしい。一つのプロジェクトを共にやるためには、まず、協働する相手のことを知らなくてはいけないので、そこから学べることはすごく多いと思います。

    地域福祉の仕事は、本当に雲をつかむような仕事だと思います。自分だけ、自分の組織だけでは、達成できるものではありません。地域内の中間支援組織、NPO、ボランティアグループ、セルフヘルプグループ、地域団体など、様々な価値観、考え方、バックグラウンドを持った方々が同じ土壌で、同じビジョンやミッションに向かって取り組んでいかなければなりません。いかに互いの信頼関係を築き上げていくかが重要です。人と人との関係性は一朝一夕では築けないので、私はとくに一緒に汗をかくというプロセスを大切にしています。そうして苦労を共有して、出来上がった組織はとても強固なものになりますよね。地域のニーズが複雑化しているので、ニーズをニーズとも思っていない人たちから、いかに潜在的なSOSを引き出していくかという技術がなにより重要です。そのためにも、地域福祉コーディネーターや生活支援コーディネーターをはじめ、人と人、組織と組織を結びつける役割を果たす人材が、今後ますます重要になってくると思います。この仕事を目指している方には、「ぜひ地域福祉の仕事の奥深さを一緒に体感しましょう!」と言いたいです。

    職場の方から見た中島地域福祉推進係長

     兵藤課長

    中島さんは、杉並社協のなかでも、地域福祉の分野では一番のベテラン。ここ2年は、現在の係とボランティアセンターを兼務していて、とくに多忙を極めていたと思います。中島さんとは、彼が入職した当時から机を並べて仕事をしてきた仲なので、かなり長い付き合いになります。プライベートでは、2人の娘さんがいて、とても良いパパなんですよ。いつも率先して、地域の現場へ出向いて行って、地域住民の方たちと精力的に調整をしてくれていますが、今後は、そのスキルを後進にもどんどん伝えていってくれたら良いなと思います。

    インタビューを終えて

    謙虚で誠実ななかにも、熱い思いと志を持ってお仕事をされていることがとても伝わってくるインタビューでした。杉並のまちのため、住民自らの主体性を大切にしながら、今日も現場で、地域の皆さんと共に汗を流していらっしゃるのではないでしょうか。

    中島さんの職場はこちら

    杉並区社会福祉協議会

    杉並区社会福祉協議会は、社会福祉法に基づき設置される社会福祉法人です。行政とは別に民間の立場から社会福祉を推進していく「かなめ役」を果たすため、設けられている組織です。誰もが安心して暮らすことのできるまちを目指して、役職員一丸となって地域福祉の推進に取り組んでいます。

    (公開:2016年8月4日)

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