2人の娘さんを育てながら、市役所職員組合事務局、社会福祉団体の「老人憩いの家」などで働いてきたが、65歳で定年退職したのをきっかけに、好きな料理ができるおでん屋開業を決めた。起業塾に通うなどして準備を進め、2014年5月に三鷹駅前に「おでん屋えがお」を開業する。夫や娘さんをはじめ多くの方々の協力を得ながら、毎日割烹着姿で厨房に立ち、サラリーマンや女性、若者、シニアなど、お客様が楽しんでもらえるお店づくりを心掛けている。
東京まちかど通信
VOL.08
地域のお元気さん
お元気なシニアをクローズアップ!健康の秘訣や趣味などをご紹介します。
定年退職をきっかけに、60代半ばでおでん屋を開業‼
石原 郁子(いしはら いくこ)さん
(満68歳 三鷹市在住)
〈プロフィール〉
──「おでん屋 えがお」の立ち上げについて教えてください。
定年退職後、飲食店を開業しようと考えて三鷹商工会議所に相談に行くと、「みたか身の丈起業塾」を紹介されました。起業塾の先生に事業計画や開店計画の作り方を教わり、国の創業補助金を申請し、審査をパスしたのが2013年の夏です。起業塾の先生が紹介してくれた飲食店で修業したり、都内の有名なおでん屋さん巡りもしました。店舗の物件探しは、ネットで情報を集め、現地調査にも行きましたが、決めたのは修業した手作り料理店の店主の方が紹介してくれた古書店だった今の場所です。「起業」と聞いて驚いていた夫も、今では毎日手伝ってくれていますよ(笑)。
──なぜ「おでん屋」を開こうと考えたのですか。
「老人憩いの家」という高齢者のコミュニティ施設で働いていた時にヒントがありました。居場所を求めている地域の方や高齢者の方のために、人々が集まって温かいご飯を食べられる場所があればいいなと感じていました。料理を作るのは好きなので、おでん屋を開くことにしました。
──趣味や日課について教えてください。
毎日、午前中からお店の準備や片付けで忙しく動いていますが、 カルチャーセンターで月に2回カンツォーネを習っています。あとは、ビートルズの音楽を聴くのが好きで、お店のBGMもほとんどビートルズです。昔、武道館のライブに観に行ったときのチケットも額縁に入れて店に飾ってあります(笑)
──最後に、シニアの方へメッセージをお願いします。
年をとってもできることは沢山あると思います。迷っていてもいざやってしまえば、周りが助けてくれますので、思い切って踏み出してみることが大切だと思います。高齢者には、「きょういくときょうよう」が必要だと思っています。自分から行動して、今日すべき用事「今日用(きょうよう)」と今日行くべき所「今日行(きょういく)」をつくってみませんか?
〈インタビューを終えて〉
素敵な笑顔と持ち前の行動力で、未経験の飲食店の開業にこぎつけた石原さん。割烹着姿の小柄な姿からは想像できないバイタリティーにあふれた方でした。インタビューにご協力いただきありがとうございました。今後も、ますますお元気にご活躍ください。
団体のお元気さん
地域で活動している高齢者団体を紹介します。
ビジネスお助け隊
〈団体プロフィール〉
幅広い分野に人脈を持つ経験豊富な企業OB、専門知識を持つ公認会計士や中小企業診断士、社会保険労務士などが、自らの経験や知識を地域産業の活性化に役立てるためにボランタリー精神で中小企業にアドバイスを行う任意団体
──「ビジネスお助け隊」設立の経緯を教えてください。
八王子市と八王子商工会議所の連携により設立された産業活性化組織である「サイバーシルクロード八王子」の実行部隊として平成14年4月に発足しました。現在は、八王子商工会議所中小企業相談所の連携団体としての位置づけです。会員数は66名で、60・70代の方が大半ですが、下は40代から上は80代の方もいます。
──どのような活動をしていますか。
会員は、自らの経験・スキル・人脈等を活かして、地域の中小企業者や創業希望者に対して相談・支援・セミナー活動を行っています。セミナーとしては、受講者一人一人に会員が伴走支援につく「本気の創業塾」と、中小企業の各層のリーダーを育成する「リーダー育成塾」が代表的です。また、人材開発や福祉ビジネス支援などテーマごとの分科会活動も活発で、会員は自己研鑽につとめています。毎月1回定例会を開催し、支援活動や分科会活動の報告や情報交換を行い、会員相互の交流を図っています。さらに、毎年4月には総会を、年末には市役所や商工会議所の関係者も交えて全体集会を開催しています。
──ビジネスお助け隊の特徴を教えてください。
ポイントは3つあります。1つ目は、「ボランタリー精神」です。すべて無償というわけではありませんが、報酬をいただく場合も会員の自己実現という意味合いもありますので、支援先が支払える範囲でお支払いいただくことになります。2つ目は、「相手の目線に合わせた伴走支援活動」です。上から目線で指導するのではなく、中小企業の社長さんの立場に立って悩みを共有し、一緒になって課題を解決していきます。3つ目は、「八王子商工会議所との連携」です。経営上の悩みや課題を抱えて商工会議所を訪れる中小企業の経営者に対して、ビジネスお助け隊が連携して相談・支援を行うことで会員の活躍の場が確保されます。
──最後にシニアの方にメッセージはありますか。
自分から一歩前に進むことが大事です。そうすれば地域や社会に貢献できる機会は沢山あります。現役時代の様々な経験や仕事の中で身に着けたスキルや能力は、そのままでは懐かしい思い出や自慢話のネタになってしまいます。それが中小企業の経営改善や創業を目指す若者の成功に役立ち、感謝されるのです。人に喜ばれる体験はクセになりますよ。人生二毛作・三毛作の時代です。自分の持っている能力を社会に還元する活動をしてみませんか。
〈インタビューを終えて〉
会員の方々は皆さん、生き生きと活動されており、自己実現と社会貢献を両立されている姿はとても素敵でした。インタビューにご協力いただきありがとうございました。今後も、ますますお元気にご活躍ください。
■お問い合わせ先
お元気さんの活動展
東京都老人クラブ大会の様子
今回は、昨年11月5日に新宿文化センターで開催された「第29回東京都老人クラブ大会」の様子をご紹介します。
第52回東京都老人クラブ芸能大会上位入賞チームの演技
杉並区の阿佐ヶ谷第二寿楽会(鈴木絹枝会長)は、今回の東京都老人クラブ大会で優良老人クラブ特別表彰を受けました。
会の役員は一人暮らしや寝たきり家庭を訪問し、見守り機能の強化に寄与しています。また、老人ホームでのボランティア活動も活発です。社交ダンスやカラオケなどのサークル活動も盛んで、会員間の親睦を図っています。
(公開:2016年3月7日)