東京ホームタウンSTORY
東京ホームタウン大学講義録
いくつになっても、いきいきと暮らせるまちをつくる
2015年度総括イベント開催レポート
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来るべき超高齢社会に向けて、いまできることは何か?
牧野氏:少し視点を変えて申し上げると、東京都さんが2025年問題でロードマップを作ったりしていますが、互助という点でもうちょっと力強い体制づくりがあったらいいと感じています。大企業への啓発や、分かりやすいインセンティブ、NPOに対してのサポートなどです。そして、大企業は、どう高齢化社会をマネタイズしていくかを真剣に考えていくべきですし、地域に入って活躍されている皆さん対しては、地域づくりは人づくりですから、リーダーを育成していくことが大事な部分だと思いました。
堀田氏:共有された理念のもとで、それぞれの役割が柔軟にシフト・分担されていくのがNPOや地域活動団体の強みのひとつだと感じています。他方、変わりゆく社会のなかで、ビジョンやそれを実現するための戦略は常に進化の余地があり、また持続可能なものにするためのたゆまぬ努力も必要なのだと思います。固定したメンバーでやっていると滞ってしまうこともあるでしょうから、そこに企業を含め、異なる文脈、よそ者の風が吹き込むことは重要です。「私たちはなぜこれをやっているの?」「なぜいつもどおりにやっているの?」といった、シンプルな問いが沸き上がるきっかけにもなるからです。
個人も同様です。「住み慣れた地域で自分らしく」などと言われますが、自分らしさって何なのでしょうか。変わりゆくもの、もちろん正解もないものです。時々立ち止まってこの先の見通しを考えて、大切な人たちと話してみる。そして会場のなかに、ケアの仕事に就いておられる方がいらしたら、この終わりのない問い、変わりゆく「本人にとっての最善」を本人とともに問い続けていっていただきたいと思います。
ねじめ氏:ずっと考えてたんですけど・・・、上野さんが書いた「おひとりさま」の本に書かれていたことは、もっとじっくり検証したほうがよいのではないかと思ってるんですよ。ただ面白がるんじゃなくて。あそこには役に立つことも、しっかり議論したほうがいいところも、たくさんあるんじゃないかと。
―― たしかに、上野先生の本には、いくつも興味深いところがあります。そこで書かれていることを実現するにはどうしたらいいだろうか、と思うこともあります。じっくり吟味して、議論すべきような、数多くのヒントがあると思います。
上野氏:最後にふたつ申し上げたいのですが、ひとつは、プロボノとNPO、職場と地域の二足のわらじは、ずっと早い時期からどなたもお持ちになる方がいいと思います。そのためには、燃え尽きるまで働かせる日本企業のありかたは問題でしょう。早い時期から職場と地域のバイリンガルで生きるのはとっても大事だと思います。
ふたつめは、NPOの世代交代の課題はとっても大きいという点です。次の世代がなかなか出てこないのは、金にならない仕事をやっている団体の共通の課題。私もNPOの理事長などをやっているので悩みは共有しています。そうした中、第一部で事例発表のあった「要町あさやけ子ども食堂」(豊島区)が、子どもに目を付けたのはえらいなと思います。いまの子どもは居場所がないのです。学校でも監視され、家庭でも管理され、行き場のない子どもに、子どもの“赤ちょうちん”が必要なんです。そこのホスト、ホステスをやっておられるわけですよね。子どもが来ると親が来て、子どもの親は若いので、そこに祖父母の年代の人がいて、多世代の交流できるのがすごく大事。施設はなんで年寄りばっかり集まって暮らさないといけないのか、納得いきません。地域は多世代の多様な人の暮らしがあって当たり前。世代交代の可能性が高いところで、多世代型の展開があるといいなと思います。
▼ご案内:パネルディスカッションの内容全編を動画でご覧いただけます。長編ですが、ユーモアに満ちたやり取りの中に示唆に富んだ言葉が多数飛び交います。ぜひご高覧ください。
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