東京ホームタウンSTORY
支援先レポート
健康寿命を延ばす、美容の魔法
美しい“プラチナ世代”を増やしたい
理事長 伊藤文子さん(中央)、河西喜美代さん(左)、 松枝由美さん(右)
設立 2014年
美容を通じて元気に輝く高齢者世代(プラチナ世代)を支援するNPO法人。活動を通して自らの美しさに気づく「学ぶ」、美容ボランティアを学んで活動の担い手となる「活かす」、セミナーの開催を通じて活動を広げる「つながる」3つを大切に、笑顔を多くの方に届けることを目標としている。2015年度東京ホームタウンプロジェクトの「プロボノ1DAYチャレンジ」では、2016年1月末開催の「プラチナフェスタ」の告知チラシ作成の支援を受けた。
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港区を拠点に2014年から活動するNPO法人、プラチナ美容塾。美容のテクニックを伝える講座や、イベント・セミナーを開催するなどして、輝く高齢者(プラチナ世代)を支援しています。
長寿国である日本は、残念ながら、元気に生活できる健康寿命が長いとはいえません。健康寿命を保つ秘訣の一つは、出歩いて人とコミュニケートすること。そのためには、小ぎれいに身なりを整えるといった、広い意味での美容がカギを握るのです。
高齢者施設への定期的な訪問も行いながら、もっと知識を深めて質の高いボランティア活動を行いたいと、勉強にも取り組んでいるメンバーの皆さん。団体から3人の方をお招きし、活動についてお話を伺いました。
「プラチナ」世代と呼んでほしい
――団体設立が2014年。理事長の伊藤さんは、化粧品会社の出身ということですね。
伊藤 35年間、化粧品会社に勤務していました。大好きな仕事でしたが、仕事であるからにはノルマがつきものです。ノルマがなくてできることってなんだろう? と、退職後は一時的に美容から離れました。いろいろなことをやりました。消費者推進委員、介護予防リーダー、シルバー人材センターの広報関係の仕事もしてみたんですよ。
あるときリポートを書く機会があり、自分について振り返りました。そのとき、やっぱり自分の好きなこと、できることは35年間関わった美容なのではないだろうか、と気づきました。
――そして団体設立に至るのですね。プラチナというネーミングが印象的です。
伊藤 高齢者といえば「老人」「シルバー」という、昔ながらの名前が気になっていました。シルバー人材センターも名前を変えたほうがいい、と提案したくらいです。「全国的に使っているので無理です」という結論でしたが(笑)人生の中で楽しんでほしいのは、リタイア後、第二幕じゃないですか。輝いているというイメージから、プラチナという言葉を選びました。
精神面も含めた「美容」でケア
――具体的には、どんな活動なのでしょうか?
伊藤 活動は3本柱で進めています。活動を通して自らの美しさに気づく「学ぶ」、美容ボランティアを学んで、高齢者、障害者施設などで活動の担い手となる「活かす」、セミナーの開催を通じて活動を広げる「つながる」です。例えば施設に伺うなどして行う「活かす」活動で私たちがやりたいことは、通常の美容というイメージからすると、もっと幅が広いんです。
――ただメイクをするだけではない、という意味でしょうか?
伊藤 はい。お話をする、傾聴する、「触れてもいいですか」と聞いて、嫌でなかったら触れる。クリームなどを付ける、さする、の前に、短時間のコミュニケーションをすることで心がほぐれていくことがあります。これも広い意味で美容なんです。
河西 ボランティア活動を担当している、理事の河西です。
港区を中心に7カ所の施設を、理事を含めた12人が定期的に訪問しています。1施設2人の体制です。20~30人と多くなる場合もありますが、平均すると10人くらいの方に、メイクやハンドケアを行っています。
――時間をかけて行うのでしょうか?
伊藤 具合があまりよくない方、認知症の方もいますので、どんなに長くても10分です。短い場合は3分といったこともあります。短い時間でのサービスです。
でも、お会いして30秒くらいの間に、何となくわかるんです。「手に触れていいですか?」「また伺いますね」など、伺うごとに、徐々に長いコミュニケーションができるようになっていきます。
ネイル(マニキュア)を塗るだけで「私、お嫁にいけちゃう」などと言って喜んでくださる方もいて。そんな発言で、周りの人もつられて場がわっと盛り上がることもあるんですよ。
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