東京ホームタウンSTORY
支援先レポート
「プロボノは大きな力になる」
2度の支援を受けて「お助け隊」に生まれたハリと喜び
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1回目のプロボノ支援でNPO法人になる
「街のお助け隊コンセルジュ」は、これまで2回にわたって、プロボノ支援を受けてきました。
1度目は、2015(平成27)年に、「プロボノ1DAYチャレンジ」という枠組みで実施されました。5人のプロボノチームが、「街のお助け隊コンセルジュ」を訪問し、青木さんたちから団体の活動やプロボノへの期待などをヒアリングしました。青木さんからは、現在の活動を継続するとともに、「有償ボランティア」という活動の仕組みを、他の地域にも広めていきたいという目標が語られました。
プロボノチームでは、青木さんの目標を実現するために何をすべきかディスカッションを行い、団体の強みを活かしたさまざまなアクションプランを提案しました。
その中から、「世間的な評価を獲得するためには、NPOの法人格を取得することがいちばんの近道である」という提案が受け入れられて、プロボノチームによって、早速、法人格取得の手続きが進められました。
「プロボノ1DAYチャレンジ」開始から1年後の2016(平成28)年10月、「NPO法人街のお助け隊コンセルジュ」が認証されました。
NPO法人化した効果について、青木さんは、
「かねてから、NPO法人格は取得したいと思っていたのです。ただ、自分たちに取れるのかもわからなかったし、どうやって取ればいいかもわからなかった。なにより、取得に費やす時間も人手もなかったのです。それをプロボノ支援でお願いできたのはありがたかったですね。NPO法人と名乗れば、どんな方からも理解してもらいやすいし、単なる福祉団体という、わかりにくい存在でいるよりも、効果があることを実感しています」と語っています。
NPO法人となって以降、「街のお助け隊コンセルジュ」への社会からの注目は、ますます高まっていきました。多くのメディアからの取材、全国各地の商工会、地方議会議員、区市町村職員、企業、大学などからの視察や、青木さんへの講演依頼などが舞い込むようになりました。
反響は国内にとどまりません。2017(平成29)年には、カナダのドキュメンタリービデオ制作会社が、東京の現在を取材する中で、高齢社会の事例として取材に訪れ、「街のお助け隊コンセルジュ」の活動現場とインタビューを収録していきました。
また、2018(平成30)年には、タイの空港職員による「高齢社会研修」の一環として、50人の定年前の職員が2回に分けて見学に訪れ、小さな事務所は足の踏み場もない状態になりました。
こうした社会からの注目の高まりもあって、青木さんは、アクティブシニアの社会貢献活動を表彰する「第5回プラチナ・ギルド アワード」(2017年度)を受賞しました。
2回目のプロボノ支援でウェブサイトを作る
最初のプロボノ支援を受けてから3年。「街のお助け隊コンセルジュ」は再びプロボノ支援を受けることになりました。
青木さんが当初から掲げていた、「有償ボランティア」という活動の仕組みを他の地域にも広めたいという目標は、多くのメディアからの取材や、さまざまな機関からの講演依頼によって達成されてきた部分もあります。ただ、団体自らの情報発信は十分にできてはいませんでした。それを実現するために、団体のウェブサイトを立ち上げたいという要望が寄せられ、2018(平成30)年6月、5人のプロボノワーカーによる支援チームが結成されました。
チームは、青木さんたちからのヒアリングを行い、「街のお助け隊コンセルジュ」が実際に活動している現場を見学しました。さらに、この活動に関わる多様な関係者にヒアリングを行い、ウェブサイト作成に関するマーケティング戦略を練っていきました。
プロジェクトがスタートして5カ月後の11月には、チームから青木さんたちに、ウェブサイトの基本構成が提案された後、具体的な制作作業に入り、その年の暮れには、全体のデザインや大まかなコンテンツ内容が決まりました。
年が明けると、ウェブサイト掲載用の写真撮影が始まりました。プロジェクトのメンバーのひとりが、取材経験豊富な方だったため、質の高い写真が揃いました。そして、2019(平成31)年3月、ウェブサイトは完成しました。
青木さんは、制作のプロセスを振り返って、
「最初、お願いした時は、もっと簡便なホームページをイメージしていたのですが、動画も入っている立派なものが完成しました。途中の段階で、団体への来訪者リストとマスコミからの取材実績を入れると聞いたので、なんか誇らし気だからやめてくれと言ったのです。ところが、プロボノワーカーの皆さんが口を揃えて入れるべきだとおっしゃるので、残すことにしました。出来上がってみたら、取材に見える方たちが皆さんそのページのことを話題にされるので、ああ削らなくてよかったなと思っています。来訪視察団体のところに、東京大学大学院なんて出ているので、メンバーや街の人たちも『へえー』と言って驚いてくれます」と語ってくれました。
じつは、お助け隊の活動においては、「困りごと」のある人も、解決する側のメンバーも高齢者が多く、ネットを頻繁にチェックする人は少ない状況です。ただ、青木さんが書いているブログには、ウェブサイト開設後、テーマによってさまざまな反応がより多く寄せられるようになりました。また、相変わらずメディアからの取材や、視察の申し込み、講演依頼は後を絶たず、その際にもウェブサイトの情報が活用されている印象があるそうです。
そのことで、青木さんが興味深い話をしてくれました。
「私は、メディアの取材を受ける時は、できるだけお助け隊メンバーにも同席してもらうようにしています。メンバーは、仕事をすれば感謝されますから、そこで生きがいのようなものを味わえるのですが、長く続けていると、だんだんそれにも慣れてしまって、何のためにやっているのかわからなくなってくるのです。そんな時に、メディアに出るなどして第三者から評価してもらうと、また新たなやる気が湧いてくるものなのです。取材に同席をお願いすると、みんな『70歳を過ぎてテレビに出るなんて』と照れていますが、オンエアが決まると親戚中に電話したりしている。いかに活動を持続させるかということは、団体にとっても最大のテーマですが、働いてくれている個人にとっても大きなテーマなのです。ウェブサイトのお陰で、メディアからの取材が増えることが、じつはお助け隊の気持ちに、ハリを与えているのかもしれません」
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