• サイトマップ
  • 都庁総合トップ
    • 大きいサイズ
    • 標準のサイズ
    • 小さいサイズ

    東京まちかど通信

    体操を通じて、地域の高齢者をいつまでも元気に!

    あすなろ 代表 村上和子(むらかみ かずこ)さん

    東大和市で、地域の高齢者向けに体操教室を開いている「あすなろ」。2003年にスタートして、8年間で8教室・参加人数約140名にまで広がっています。「体操を通じて、高齢者を元気にしたい」という代表者の村上和子さんはじめ、参加者に活動内容とその効用などをうかがいました。

    高齢者は転倒して骨折でもしてしまうと寝たきりとなりやすく、介護が大変になってしまいます。それを防ぐことが第一の目的です。

    ――「あすなろ」の活動内容をお教えください。

    「ボランティアで、東大和市内の8カ所で高齢者を集めて独自の体操教室を開いています。私がインストラクターを務めるこの清原市民センターでは、週2回開催しています。そのうち1回は、認知症や脳梗塞、頸椎損傷などによる重度の障害を持つ人に限定した教室を開いています。高齢ともなると、筋肉の衰えや平衡感覚の機能低下で転倒しやすくなりますが、転倒して骨折でもしてしまうと寝たきりとなりやすく、介護が大変になってしまいます。それを防ぐことが第一の目的です。それ以外にも、仲間づくりの場にもなっていますし、独居老人の安否確認という機能もあります。2週間休んだらこちらから連絡しますが、3カ月無断で休むと除名というルールにしているのは、そのためです」

    ――参加者はどれぐらいいるのですか?

    「8教室で140名ぐらいです。2003年に始めた時は4名からのスタートでしたが、最初は市のお知らせなどで広報してたくさん来てもらっても困るからと、特に何もしませんでした。けれども、口コミでどんどん広がっていきましたね。そして、熱心な参加者に「あすなろ」で私の指導のもと指導法を学んでもらい、リーダーになってもらって、場所を確保し、教室を増やしていったのです。現在、リーダーは14名います。全員女性です。新たな参加者は多く、場所さえあれば教室はもっと増やせるのですが、公的な施設はほかの団体との兼ね合いもあってなかなか確保できません。それが現在一番の悩みのタネですね」

    ――体操の内容は村上さんが考えておられるのですか?

    「プログラムはすべて前の日にきちんと考えて組んでおきますが、当日の天候や集まってくる人たちの顔を見て、合わないと感じたらその場で変えてしまいます」

    インタビューを受ける村上さんインタビューを受ける村上さん
    インタビューを受ける「あすなろ」の方々インタビューを受ける「あすなろ」の方々

    いつまでも元気でいられるようになるということが一番の効用だと思います。

    ――参加者にはどういった効用がありますか?

    「筋肉は、運動と栄養摂取、そして休養をすることで付いてきます。年齢は関係ありません。高齢者でも、栄養を摂ってトレーニングすれば筋肉はつくんです。筋肉がつけば転ばなくなるし、歩くのが楽しくなってもっと運動をしようという気持ちになりますよね。つまり、いつまでも元気でいられるようになるということが一番の効用だと思います。通っている人は医者に行かなくなったとよく聞きますね(笑)。それだけでなく、ここに通っている71歳のある男性は、69歳の時に脳梗塞を患って動けなくなったところ、通い始めて2年経った今は体操ができるまで回復しています。そんなリハビリの効果もあるんです。認知症の人も、『あすなろ』に来るのが楽しいと言っています」

    ――体操を通じてお年寄りを元気にしているんですね。

    「そうです。体操だけではなく、ボウリングもやっています。東大和ボウリング連盟にお願いして『あすなろ』として加盟し、インストラクターと役員をつけてもらい、10レーン借り切って月例会を行っています。老若男女が出場する市民大会では、『あすなろ』のメンバーが金メダル1つ、銀メダル2つ、銅メダル1つを獲得しました。さらに、あすなろの4人が日本ボウリング場協会から『長寿ボウラー』として表彰されたんです。年6回以上、大会に出ないと認めてもらえないので、なかなかすごいことだと思いますよ。ちなみに、『あすなろ』の最高齢は88歳ですが、全国には99歳の長寿ボウラーがいます。『あすなろ』としては、体操にとどまることなく、ステップアップも考えないといけないと思ってやっています。いろいろ交渉するのは大変ですけど(笑)」

    ――それはすごいですね。ボランティアの体操教室という範囲を超えた機能と役割も発揮されているように思います。

    「そう思いますね(一同、うなずく)。ここに通うことで、介護施設に行かなくても済んでいるという人も大勢いるのではないでしょうか」

    体操教室は週2回開催体操教室は週2回開催
    東大和市から書状を授与される村上さん東大和市から書状を授与される村上さん

    今後は(仲間と)連携してリーダーを育て、この活動をもっと広めていきたいと思っています。

    ――「あすなろ」を立ち上げた経緯をお教えください。

    「私は以前、製菓会社の健康事業部でプロテイン製品(筋肉を補強するサプリメント)の開発にかかわり、20年ほどスポーツ選手の筋肉のつくり方、運動の方法などの研究に携わっていました。筋肉を測定する機材を乗せた車で大学の運動部を巡回し、アスリートを育成したり、有名スポーツ選手やボディビルダーにアドバイスする仕事もしたことがあります。自分自身、長年ジムでの筋肉トレーニングのほか、太極拳やヨガなどに親しみ、総じて60年ほど運動にかかわってきました。リタイア後は、老人ホームを回ってお話しながら高齢者の体のケアをする仕事をしようと、整体の学校に通って資格を取得しました。そして、東大和市清原市民センター内の老人センターで体の具合の悪い高齢者を集めて、軽い体操の会を始めたのです。高齢者向けに転倒予防教室を開催している東大和市のスタッフが、そんな私に『転倒予防教室を卒業した人の受け皿がないので、自主グループを立ち上げてくれませんか』と声をかけたんです。それがきっかけになりました」

    ――では、今後の抱負についてお聞かせください。

    「私は、東京都健康長寿医療センター研究所(東京都老人総合研究所)介護予防区市町村サポートセンター認定介護予防リーダー・シニア研究員の2期生で、同期生が13名います。その人たちも、私同様、都内各地で活動しています。『二期会』として2カ月に1回、交流の場を持っていますが、今後は連携してリーダーを育て、この活動をもっと広めていきたいと思っています。それと、お茶を飲み、歌でも歌って楽しむサロンも開いて楽しんでいければいいですね。課題は、男性を引っ張り出すこと。昔の肩書がじゃまするようですが、声掛けしてもなかなか出てきてくれません。脳梗塞を患うと出てきてくれる方もいるんですが、健康のうちに病気や転倒の予防のためにも、もっと積極的に参加してほしいですね。私がもう少し若けりゃいいのかもしれませんが(笑)」

    村上和子さんとリーダーの方々村上和子さんとリーダーの方々 左から、村上栄子さん、田中さん、小林さん、村上和子さん、 青木さん、山本さん、菅さん

    参加者の方にお話をうかがいました。

    ●田中ムツ子(たなか むつこ)さん

    「以前、よくつまづいて、2回ほど骨折したこともあります。そんな私に、「あすなろ」に通う友人が「一緒にやりましょうよ」と勧めてくれ、それで体操を始めることにしました。続けていくうちに、シャンと歩けるようになって、つまづかなくなりましたね。また、月1回のボウリング大会も楽しみに参加しています。ガーターを出しても、みんなで大笑い。ストライクだと「まぐれ!」と(笑)。まるで童心に帰ったようで、元気になれるんです。1カ月が待ち遠しいほどですね」

    小林旦江(こばやし かつえ)さん

    「2005年に偶然、村上先生に出会って『あすなろ』を知り、すぐ参加しました。当時はまだ10名ぐらいの頃です。当初は戸惑いもありましたが、先生に筋肉のことなどを教わりながら体操を続けていくうちに楽しくなっていきました。そして、今年の6月に先生からリーダーに任命されて、別の市民センターで教室を担当しています。参加している人の中には、血圧が高かったのが下がったとか、心不全で病院に運ばれたけれども、思ったより早く回復して医師から『体操を続けてきたおかげ』と言われたとか、そんな話がたくさんあります。私ですか? 健康そのものです(笑)」

    青木公江(あおき きみえ)さん

    「3年前に、市の転倒予防教室でボランティアをしていたんです。その時、卒業後の受け皿がなくて、市にその設立を掛け合ってみたところ、『自分たちでグループをつくってほしい』と言われました。けれども、やっと来ているような人たちと自主グループをつくるのが難しく、体操の指導をしている事業者に頼もうとしたらやはり有料で、こちらも難しかったんです。そんな時に『あすなろ』の存在を知り、村上先生に聞いてみたら、無料で指導してくださると。すぐに参加しました(笑)。村上先生の体操のおかげで、腰痛が治ったんです。今後は、自分も東大和市が主催する『介護予防リーダー養成講座』を受講して介護予防リーダーになり、恩返ししたいと思っています」

    菅キク(すが きく)さん

    「運動が好きで、孫とバドミントンをやったりしていましたが、歳とともにだんだん追いつけなくなって、自分なりのレベルで運動する場を求めていました。また、介護予防リーダーになろうと勉強を始めたのです。その活動をするには、近所の人たちとの接点づくりから始めなければならないと、地元の『歩こう会』や市のいろいろな活動に参加していました。そんな時に『あすなろ』を知ってすぐ参加しました。体のあちこちにガタがきていましたが、体操を続けるうちに動きがよくなったのを実感しています。今後も勉強を続けていきたいですね」

    山本裕子(やまもと ひろこ)さん

    「私が住んでいるエリアは高齢者が30~40%もいて、『見守り声かけ活動』をしていたんです。そして、お年寄りに体操でもしてもらえればいいと考えて、いろいろ探していたところ、『あすなろ』を知りました。村上先生も高齢者なので、教わるほうも安心できると思って教室の開催をお願いしたところ、やってくださることになりました。私が住んでいるエリアでの最高齢者は93歳で、90歳以上のお年寄りが多くいるんですが、体操を続けると自信がつき、積極的になるんです。みなさんイキイキするので、とてもいいですね。自分自身は当たり前のように元気なので、普段は健康のことをあまり意識しません」

    村上栄子(むらかみ えいこ)さん

    「63歳まで仕事をし、在職中はよく山登りをしていました。退職後、1年ほど入退院を繰り返し、体が動かなくなったのです。そんな時、近所の人から『あすなろ』を紹介してもらいました。最初は老人が参加する会ということで、自分はまだという思いもあり、抵抗感があったのですが、行ってみると村上先生のパワーに圧倒されました(笑)。整体や指圧にも通っていましたが、なかなか手が上がらなかったところ、体操を続けていくうちにみるみる良くなったのです。それ以来、真面目に通うようになりました(笑)。自分も青木さん同様、介護予防リーダーになって、助けてもらった分のお返しをしたいと思っています」

    *平成22年度エイジレス・ライフ実践者及び社会参加活動事例の選考結果については、こちらをご覧ください。
    *「東京都老人総合研究所介護予防区市町村サポートセンター」は、2009年3月に終了しております。

    あすなろ

    • 電話番号: 042-563-7987
    ■プロフィール

    1930年、神奈川県生まれ。製菓会社に入社し、プロテイン製品を手掛ける健康事業部で20年以上スポーツ選手の筋肉のつくり方などの研究に従事。2003年、「あすなろ」結成。2007年に、東京都老人総合研究所介護予防区市町村サポートセンター認定介護予防リーダー・シニア研究員 に就任。2010年、内閣府「エイジレス・ライフ」実践者に選ばれる。

    ページトップへ戻る
    Copyright © 2015-2024 Bureau of Social Welfare, Tokyo Metropolitan Government. All Rights Reserved.