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    東京まちかど通信

    ビジネスマンの社会参加を促進させるために「名刺両面大作戦」を展開

    公益財団法人さわやか福祉財団 社会参加推進事業 人間力再生プロジェクトリーダー 大畠政義(おおはた まさよし)さん

    弁護士でテレビ番組への出演も多い堀田力氏(元・検事)が設立し理事長を務めるさわやか福祉財団。人々のボランティア活動による「新しいふれあい社会」の創造を目指し、さまざまな活動を続けています。中でもユニークな「名刺両面大作戦」について、リーダーの大畠政義さんにお話をうかがいました。

    日本人の4人に1人が65歳以上の高齢社会。地域の人々がボランティアで支えることが求められています。

    ――まず、さわやか福祉財団の設立趣旨についてお教えください。

    「日本の社会は、少子高齢化、核家族化、女性の社会進出などにより、独居老人のケアや親の介護、子育てなどを近親者だけでは対応し切れず、第三者による支援が必要となっています。ところが、日本人の4人に1人が65歳以上の高齢社会ともなると、従来のように行政に依存しているだけでは支えきれないのは明白で、地域の人々のボランティアで支えることが求められているのです。しかし、人間関係がすこぶるドライになってしまった現代社会にあっては、なかなかその気運が高まりません。けれども、ボランティア活動を通じて地域社会と積極的にかかわることで、人々の結びつきを深めることができる。このことに問題意識と役割意識を感じた理事長の堀田が、地域で活動するボランティア団体の設立・運営や身近な近隣活動を全国的に推進させようと1991年にさわやか福祉推進センターを発足させました。それが母体となり、95年に財団法人として設立したのが、さわやか福祉財団です」

    ――どういった活動をされているのでしょうか?

    「大きく3つの活動があります。1つ目は、当財団のさわやかインストラクターによる地域のネットワークづくりと、そのための基盤づくりとして、ボランティア団体の設立・運営のための研修会です。これまで500以上の団体の誕生に結び付けています。
    2つ目は、企業などに従業員のボランティア活動を促進してもらうための仕組みづくりや具体的なモデルプログラムの提案、働く人などがボランティア活動に参加しやすい環境づくりです。『名刺両面大作戦』は、この事業の中心的な活動です。
    3つ目は、情報誌『さぁ、言おう』の発行や、時代にふさわしい政策・制度づくりへの提言・働きかけを行っています」

    リーダーの大畠政義さん

    名刺の裏面を利用して、仕事だけではなく社会参加も行っていることをアピールしてもらおうという活動です。

    ――では、「名刺両面大作戦」の内容ついてお教えください。

    「名刺の裏に自分が所属するボランティア団体や町内会、趣味の会などの社会参加活動を印刷してもらおうという運動です。名刺の表には会社名や部署名、肩書きなどが書かれていて、その人の仕事の属性を表しているわけですが、その裏面を利用して、仕事だけではなく社会参加も行っていることをアピールしてもらおうというわけです。そうすれば、ビジネスの場で名刺交換した際にその活動の話題で話がふくらんだり、自分の人間性の意外な一面が伝えられたりといったメリットがあると思います。また、もしかするとそのボランティア活動に興味を持ってくれる人がいるかもしれません。それで輪が広がれば、こんなに素晴らしいことはありませんね」

    ――始められた経緯は、どういったことでしたか?

    「当財団設立の際に、2500万人~3000万人の高齢者を支えるには、全国に5000のボランティア団体をつくり、1200万人の人に参加してもらうことが必要だろうと見積もって、この『5000団体』と『1200万人』の2つの数字を活動目標に定めたのです。そして、19年間ほどその目標に向かって、活動をしてきたわけです。1つ目の目標については、NPOや団体が全国で4万ほども設立されましたので、達成されていると思っています。ところが、ボランティア活動への参加者はまだ約200万人にとどまっています。特に会社員の数が少ない。厚生労働省等の後押しもあって、当財団も各地で積極的にセミナーを開催するなどし『ワーク・ライフ・バランス』の重要性はかなり浸透してきてはいるのですが、まだまだ地域活動への参加には結びついていません。そこで、会社員の地域活動を促進するため、堀田が一計を案じ、『名刺両面大作戦』を思いついたというわけです。さっそく当財団のスタッフが実践したところ、案の定名刺の裏面で話が盛り上がり、効果が実証できたので本格的に展開しようということになりました」

    山手線の全29駅で2週間ずつ“辻立ち”をしてPRに努めています。

    ――「名刺両面大作戦」はどのように広めているのですか?

    「会社員に直接働きかけるしか方法はないだろうと、駅前で選挙活動のような“辻立ち”をすることにしました。そこで、2010年6月1日から2週間、まずはサラリーマンの街として有名な新橋駅前で試験的に活動を始めました。のぼりを立て、スタッフがチラシを配り、堀田や私などがメガホンを持ってこの活動の意義を訴えるというものです」

    辻立ちの様子(多くのボランティアの方に支えられて、続けています)

    ――やってみて、いかがでしたか?

    「ちょっと勇気が要りましたが、やってみていろいろなことがわかりました。まず、通りがかる会社員の表情はみな暗いんですね。下を向いて歩いている人が多いのです。我々の活動など眼中に入らないという感じです(笑)。ところが、2日目になると『おや?』『何だろう?』といった反応を示す人が現れ、3日目頃からは『やってるな』という受け止め方が伝わってきました。そして『何しているんですか?』と声をかけられたり、あるいは選挙のための売名行為や名刺会社のPRと間違われたり、『税金の無駄遣いではないか』などと言い寄ってくる人もいたりと、具体的な反響が現れ始めたのです。さみしいことですが、チラシを渡そうとしても無視して通り過ぎる人が大半ではありますが、もちろん中には『がんばってください』と声をかけてくれる人もいます。そして、2週間でかなりのチラシを渡すことができました。そこで、これは続ける価値があるだろうと、思い切って山手線の全29駅で2週間ずつやることにしました。約1年2カ月で1周し、2011年8月に新橋駅に戻る予定です」(現在は、“辻立ち”は終了しています。)

    賛同して実践する会社や、資金提供して応援くれる人が現れました。

    ――どういった成果があったのでしょうか?

    「『会社の顔である名刺に勝手に印刷できない』『コストがかかるから無理』といった反論も寄せられましたが、『会社の顔ならば、会社が行っている社会貢献活動をまずは印刷したらどうでしょう』と逆提案したり、個人的にシールを作成して貼るといったアイデアが生まれたりと、作戦自体が進化していきました。また、『辻立ちはできないけれども、資金面で応援しましょう』と言ってくださる方がいて、『辻立ちファンド』が創設できました。
    そういった中で、賛同してくださる会社も2社ほど現れました。株式会社高齢社という高齢者の人材派遣を手がけている会社は、名刺裏面の上段に会社が行っている社会貢献活動を、下段に従業員が個人的に行っている社会活動を印刷しているのですが、個人の活動内容を提出しないと名刺はつくらせないという徹底ぶりです。社員の反響はおおむね好評のようです。
    もう1社、オフィス機器の販売などを手がける富士ゼロックス北海道株式会社は、2010年に30周年を迎え、これを機により魅力のある会社を目指そうと社員が地域貢献活動をすることを推奨し、これを継続させるために『名刺両面大作戦』を実践されています」

    ――ところで、大畠さんがさわやか福祉財団に参加された経緯をお教えください。

    「会社勤務時代は、『この会社を背負っているのはオレだ』というぐらいの意識で取り組んでいて、まあ典型的な会社人間だったわけです(笑)。しかし、50歳頃になると、あと10年で定年になった後どうするのだ、このままではまずいのではないか、と思うようになりました。定年後は地域に戻って生活することになるから、今のうちに地域デビューしておこうと、山登りや勉強会などをする団体に参加し始めたのです。さわやか福祉財団は、そんなネットワークで知り合った人から勧められて、面白そうだと参加することにしました。目下、さわやか福祉財団のほかに4つの地域の団体に参加して、ボランティア活動などを楽しんでいます」

    ――今後の目標や抱負についてお教えください。

    「財団としては、引き続き従来の活動を継続して一人でも多くの人にボランティア活動に参加してもらい、新たなふれあい社会を築いていくことが目標です。名刺の裏が白いと恥ずかしくなる世の中にすることが夢ですね(笑)。個人的には、子供から高齢者までが自由に利用できる地域の居場所づくりを手がけたいと思っています。

    クリックするとチラシが拡大できます
    ■プロフィール

    公益財団法人さわやか福祉財団

    設立/1995年(平成7年)4月1日

    所在地/〒105-0011
    東京都港区芝公園2-6-8 日本女子会館7階
    電話/03-5470-7751

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