東京まちかど通信
「互助の精神」で、高齢者の仲間づくりや健康増進に取り組む
概ね60歳以上の高齢者が地域の仲間づくりを目的に自主的に集い、スポーツや芸能、環境美化などの活動を通して明るい長寿社会の実現と高齢福祉の向上を目指す老人クラブ。東京都では、約32万人の会員が活動しています。老人クラブの活動について、練馬区の氷川台老人クラブ会長の尾形忠さんをはじめとした中心メンバーと、練馬区老人クラブ連合会会長の増田時枝さんにお話をうかがいました。
以前、この地区にも老人クラブがあったのですが、諸事情で解消状態に。皆さん、復活を望んでいたのです。
氷川台老人クラブ会長の尾形忠さんにインタビュー
——氷川台老人クラブの対象は、どのような方が対象ですか?
練馬区氷川台に仲町2丁目町会という組織があり、約3400世帯をカバーして います。そのうちの60歳以上の方を対象としており、現在までに148人が入会しています。最高齢は84歳の人ですが、元気に参加してくれていますよ。なお、年会費として1500円を頂きますが、入会金などそれ以外の費用は頂きません。
——2009年の発足とうかがいましたが、その経緯をお教えください。
私は当時、仲町2丁目町会の会長を務めておりました。その頃、練馬区老人クラブ連合会の会長から「仲町2丁目町会には3400世帯もあるのに、老人クラブがない」とご指摘いただき、ではつくらせていただきますと申し上げて、町会の皆さんに電話をかけて勧誘しました。2時間ばかりで140人が集まりました(笑)。そして、会の規約をつくり、第1回目の総会を開いたところ、大半の会員が参加してくれました。実は、以前、この地区にも老人クラブがあったのですが、諸事情で解消状態となっていたのです。皆さん、復活を望んでいたのだと思います(笑)。
——どういった活動をしているのですか?
ほかの老人クラブ同様、グラウンド・ゴルフや輪投げ、ウォーキングなどの運動、誕生祝いの会、友愛活動、地域の清掃などの社会奉仕活動、世代間交流、学習講座などを行っています。また、当老人クラブは、練馬区老人クラブ連合会の北地区に加わっているのですが、同地区の19の老人クラブ合同の演芸大会があり、それに向けた練習なども行います
会員に満足してもらえるよう、要望があれば即実行するようにしています。
——グラウンド・ゴルフについて、詳しくお教えください。
グラウンド・ゴルフとは、広いグラウンドで専用のクラブを使って行うゴルフ遊びの一種で、毎週火曜日と木曜日の午前中、近くの公園で行っています。みんな夢中になって楽しんでいますよ(笑)。グラウンド・ゴルフのいいところは、ボールを打つことは簡単なので、誰でもすぐにプレーできることです。車いすの人でもできますよ。公園のグラウンドの真ん中に通路が通っているのですが、そこを通る同年代の人から「楽しそうですね」と声をかけられることもあります。そんな時はお誘いします。外で活動することは、会員でない人に活動を見てもらい、会員になってもらう効果もあります。なお、東京都老人クラブ連合会主催のグラウンド・ゴルフの大会があるのですが、当クラブは設立して3年と日が浅いので、まだ参加していません。しかし、いずれ参加したいと思っています。
——誕生祝いの会とは、どういったことをされているのでしょうか?
年3回、地区にある区民館のホールをお借りして行っています。対象とする4カ月の間に誕生日を迎えた会員をまとめてお祝いするのですが、対象外の会員にも来てもらっています。みんなで食事をしたり、歌を歌ったりして楽しく過ごします。踊りや三味線の会の人たちに来て演じてもらうこともあり、いい発表の機会と喜んでいただいています。この会を楽しみにしている会員が多く、毎回80人ぐらいが参加していますよ。
——それ以外の活動についても内容をお教えください。
友愛活動とは、地域の一人暮らしの高齢者などを定期的に訪問し話し相手をしたり、誕生祝いの会に誘い出したりすることで、孤立化や閉じこもりを防止し、仲間づくりのお手伝いをするというものです。誕生祝いの会に参加した方から、「久しぶりにこういう場所に出てきた。もっと参加しないといけませんね」などと言ってもらえるとやりがいを感じますね。
また、9月20日の「社会奉仕の日」をはじめ、年に2~3回、地域の神社仏閣や公園の清掃活動もしています。それから、世代間交流としては、町会と地域の小中学校4校のPTAが共催する「盆踊り」や、「葉かげの会」という夏休み最後のキャンプファイアーを子どもたちと楽しんでいます。学習講座は、誕生祝いの会に保健所の職員をお呼びして、健康体操や口腔ケアについて指導してもらっています。「一人暮らしでは運動不足になりがちなので助かる」といった感想が寄せられますね。
――活動は盛り上がっているようですが、運営の工夫点をお教えください。
老人クラブの活動に熱心な福田元江さんと原田小夜子さんなどに役員になっていただき、プログラムの企画運営から会計などの事務までやっていただいているのが大きいと思います。また、グラウンド・ゴルフや輪投げなどは優勝カップを用意して4カ月おきに優秀者を表彰して盛り上げていますし、ディスカウントストアの会員になってお菓子などを安く買い、誕生会などで振舞っています。役員や会員から、このような、みんなに満足してもらえるような活動の要望があれば即実行するようにしています。そうしたことで老人クラブの人気が口コミで広がり、参加者が増えることを望んでいるからです。
老人クラブに参加している友達が、楽しそうに活動していてうらやましいと思いました。
氷川台老人クラブ役員の福田元江さん、原田小夜子さんにインタビュー
——氷川台老人クラブに参加された理由とは何でしょうか?
福田さん 私も、仲町2丁目町会に以前老人クラブがあったことは知っていましたが、当時はまだ参加していませんでした。他地区の老人クラブに参加している友達が大勢いて、楽しそうに活動していてうらやましいと思うようになっていたのです。さりとて自分で立ち上げるのは大変。そんな時に尾形会長からお電話いただいて、すぐ飛びついたのです(笑)。そして、芸能部長とスポーツ部長、それに会計をお手伝いさせていただくことにしました。スポーツ部長は、今はスポーツ好きの夫にやってもらっています。
原田さん ご近所に住む副会長から誘われました。私は在宅で夫と共に仕事をしているせいで、あまり外出の機会がなかったのです。けれども、出掛けるのは好きなので、近所の顔見知りが入っているならと、喜んで参加することにしました。
——活動していて、いかがですか?
福田さん 楽しいです。グラウンド・ゴルフはいい汗をかきますし、皆和気藹々で楽しんでいますから。尾形会長の気配りのおかげです(笑)。
原田さん 本当に楽しいですね。私も運動が大好きで、自宅にグラウンド・ゴルフの道具を預かるなどしてお手伝いしています。
老人クラブでは互助の精神が生まれ、皆さんの絆は強いです。
練馬区老人クラブ連合会会長の増田時枝さんにインタビュー
——練馬区老人クラブ連合会には、何か特徴はありますか?
練馬区の助成を受けて、本格的な歌やスポーツ、詩吟、太極拳、書道などを無料でお教えする「老人大学」を開いています。私は東京都老人クラブ連合会の会長も務めていますが、ここまで本格的にやっている老連はそう多くないですね。また、50代と若い人にも賛助的に参加してもらい、手伝ってもらっています。
——老人クラブの効用とは、どういったところにあるとお考えでしょうか。
団結力があるところですね。皆さんの絆は強いですよ。老人クラブでは、運動やお誕生会などのイベントのほか、対象地域の一人暮らしの高齢者への巡回訪問活動も行っています。定期的にもれなく訪問し、一声かけて安否確認をするほか、なるべく活動に参加してもらうように働きかけています。また、一人暮らしはさみしいでしょうから、「お茶のみにいらっしゃい」と誘って、お友達づくりの機会をつくるといったこともしています。体の不自由な方でも、手を差し伸べることで行動範囲が広がりますし、安心して暮らしていけるようになりますね。
——今後の課題はどういったことでしょうか?
スポーツでも芸能でも、もう少しレベルを上げることで参加者が増えることが考えられます。なるべく多くの人に参加してもらえるよう、活動内容が一方に偏り過ぎないようにしていきたいですね。
■プロフィール
●氷川台老人クラブ
設立/2009年10月
代表者/会長 尾形 忠
活動内容/グラウンド・ゴルフ、輪投げ、親睦会、友愛訪問、ボランティア活動など
●練馬区老人クラブ連合会
設立/1961年4月
代表者/会長 増田時枝
活動内容/練馬区内の老人クラブ(140クラブ)のとりまとめ
ホームページ/練馬区老人クラブ連合会
●東京都老人クラブ連合会
設立/1964年4月
代表者/会長 増田時枝
活動内容/都内の老人クラブ(3487クラブ)のとりまとめ
ホームページ/東京都老人クラブ連合会