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    東京まちかど通信

    初心者でも、わかりやすく、楽しくパソコンを学んで仲間づくり

    江戸川シニアパソコン・ネットワーククラブ  会長 深見祐弘(ふかみ すけひろ)さん

    60歳以上の江戸川区民を対象にパソコン教室を運営している江戸川シニアパソコン・ネットワーククラブ(通称:ふれあいネット)。会員相互の学習会の開催や区内で開催されるパソコン教室へのボランティア参加も行っています。活動内容やその手応えについて、会長の深見祐弘さんや役員、会員の皆さんにお話をうかがいました。

    受講者はほとんどが初心者です。仲間づくりをしたいという参加理由も多いですね。

    江戸川シニアパソコン・ネットワーククラブ 会長の深見祐弘さんにインタビュー

    ——活動内容をお教えください。

    大きく3つの活動をしています。1つ目は、江戸川区の後援による60歳以上の一般区民向けのパソコン教室の運営で、年6回開催しています。1回あたり6日間で、1日3時間です。内容は、①マウスを使って絵を描く、②文字入力、③ハガキづくり、④カレンダーづくり、⑤メール、⑥インターネット、の6講座です。定員20名ですが、この4月に開く2012年度の第1回目には169人の応募がありました。毎回、区役所の職員立会いのもとで抽選しています。区には、広報紙での案内や、会場として区の施設を借りるなどの支援をしてもらっています。

    抽選会の様子

    このパソコン教室の修了者のうち希望する方と会員から紹介された方が当クラブの会員になっているのですが、活動の2つ目として、現在423名いる会員向けのプログラムがあります。まず、年18回パソコン講習会を開いています。区の施設で区が所有するパソコンを借りて行っています。そのほか、会員が毎月第一火曜日や第二水曜日に集まって教えあいつつ懇親を深める「一火会」「二水会」や、年1回のバス旅行や花見、デジカメで撮影した写真やパソコンで制作した年賀状などの作品展を行っています。
    3つ目は、社会福祉活動として行われるパソコン教室へのトレーナーとしてのボランティア参加です。区の施設「子ども未来館」での月1回の小学生向けの講座や、虚弱などの理由で引きこもりがちなシニアに交流の場や趣味活動の場を提供する「熟年ふれあいセンター」での講座、就労移行支援事業所での精神障害者を対象とした講座を手伝っています。

    恒例の花見
    バス旅行
    自由に学ぶ「一火会」「二水会」

    ——パソコン教室への参加理由には、どのようなものが多いですか?

    ほとんどが初心者、もしくは始めたばかりという方ですね。一般的なパソコン教室は料金が安くはないですし、ついていけない心配もあるのではないでしょうか。また、仲間づくりをしたいという理由も多いですね。

    年寄りが年寄りを教えるわけですから、同じことを100回聞かれても、100回笑顔で教えます!(笑)

    ——トレーナーはどういう方が務めているのでしょうか? また、講座の特色は?

    手作りのテキスト

    設立当初の頃から参加していて比較的パソコンをマスターしている会員など、現在22人の方に役員になってもらっていますが、この役員がメイントレーナー、サブトレーナーを務めています。パソコン教室は、参加者2名にトレーナー1名がつきます。年寄りが年寄りを教えるわけですから(笑)、「同じことを100回聞かれても、100回笑顔で教えます」と言っています。また、テキストも役員の手づくりで、どなたでもパソコンが使えるようにつくられています。もっとも、教えるというのではなく、一緒に楽しむということをクラブの方針にしていますので、皆さん楽しくパソコンを覚えていっていますね。ブログを始めた会員も10人ぐらいいますよ。

    2人に1人のトレーナー。いっしょに楽しみながらサポートしています

    ——クラブの設立の経緯をお教えください。

    1998年に、江戸川郵便局の職員が主体となって、局内でパソコン教室をスタートさせました。その際、区の広報紙で区民に対して講師を募ったのです。それで12人が集まりました。その後、区民の受講者を募り、講座の修了者が増え始めた2000年に誰からともなく会をつくろうという話になって、100人ほどで江戸川シニアパソコン・ネットワーククラブを立ち上げました。2002年に、区からカルチャーセンターでのパソコン教室の運営を依頼され、区が主催を打ち切る2008年3月まで続けました。その後は、先ほどお話したとおり、区の要請で当クラブが主催を引き継いでいます。

    パソコンは視野を広めたり、人とのつながりを取り持ってくれる道具です。参加する人のシニアライフを豊かにしていると思います。

    ——活動の成果としては、どういったことが挙げられますか?

    内閣府表章-表章状

    江戸川区の推薦により、内閣府から「年齢にとらわれず自らの責任と能力において、自由で生き生きとした生活を送る高齢者や、社会参加活動を積極的に行っている高齢者の団体等を毎年広く紹介」するという主旨の「平成23年度社会参加活動事例」に選定され、2011年11月に表彰されました。選ばれたのは全国でも60個人、31団体で、活動の成果が認められて大変うれしく思っています。パソコンは視野を広めたり、人とのつながりを取り持ってくれる道具なので、参加する人のシニアライフを豊かにしていると思います。また、参加することでたくさんの仲間づくりができ、人間性が豊かになることも、大きな成果ではないでしょうか。

    内閣府のホームページでもクラブの活動についての動画が紹介されました!!
    平成23年度エイジレス・ライフ実践者及び 社会参加活動事例の紹介映像について

    ——深見さんが参加された経緯をお教えください。

    1999年に郵便局のパソコン教室に応募したら当選したのです。当時67歳で、役所を定年退職した後に就いた仕事も終えて、手が空いていました。仕事ではパソコンを使う必要がなかったので、それまで触れたこともなかったのですが、興味はありました。また、妻も興味を持っていたので、共通の趣味として始めることにしたのです。

    ——参加してみて、いかがでしたか?

    良かったですね。しかし、講座を修了してもものにならないので、講座で知り合った現副会長の三浦さんにパソコンに詳しい人を紹介してもらって、その人のところに夫婦で数カ月通いました。私は孫の写真を撮りためたり、妻は趣味のマンドリンの会の連絡にメールを使ったりしています。

    ——今後の展望や課題はいかがでしょうか。

    会員の年齢層の構成比は、60代が33%、70代が57%、80代が10%となっています。男性は42%、女性は58%です。設立当初から役員になってもらっている人も多くが後期高齢者となり、私もじき80歳ですから、そろそろ代替わりをしなければと思っています。しかし、なかなかなり手が現れません。そこが最大の課題ですね。

    役員・会員の方々に参加された経緯と活動に参加しての手ごたえを伺いました。

    三浦武(みうら・たけし)さん(副会長)

    1998年の郵便局のトレーナーとしての募集に応募し、当選しました。定年になって、これから何しようと考えていたところにその区の広報を見て、パソコンは仕事で使っていたのでいい機会だと思ったのです。また、銀塩写真の頃から写真撮影が好きで、当時出回り始めたデジカメにも興味があったので、これもいい機会に使い始めてみようと思いました。

    教室では、トレーナーも務めていますが、役員だけで固まらないよう、できるだけ会員の中に入っていって皆で楽しめるように心がけています。初心者の方たちは熱心に取り組む方ばかりなので、一緒になって楽しく学べますね。また、それまでは仕事上の付き合いだけでしたが、ここに参加して江戸川区全域の多くの方と友だちになれました。それも大変良かったと思います。

    寺田陽子(てらだ・ようこ)さん(役員)

    1999年の郵便局の第2回目の教室の募集に応募し、当選しました。ずっとある会社の経理として働いていましたが、使うのは専用の端末でパソコンは使ったことがなかったのです。前からパソコンでインターネットやメール、年賀状づくりなどをやってみたいと思っていました。パソコンで銀行振込ができるようになったのは便利ですね。教室が終了し、クラブ設立当初は数カ月お手伝いするつもりでしたが、楽しいのでずっと続けています。会社勤務時代は家と会社の往復だけで、地域にお友だちもいませんでしたが、ここでたくさんできました。また、テキストづくりにも参加したりと、充実した老後を過ごしています。

    竹田之紀(たけだ・ゆきのり)さん(役員)

    2003年に幕張メッセで開かれた「CEATEC」(シーテック)というITやエレクトロニクスの展示会に行った際、この「ふれあいネット」がブースを出してカレンダーづくりを教えていました。そこにいた会員の人に話を聞いて、このクラブに興味を持ったのです。会社でパソコンを使っていたので、その経験を役立たせたいと、副会長に「こういうことができる」とメールしたところ、入会させてもらえることになりました。
    私も暮らしている地域に友人がいませんでしたが、ここでいろいろなジャンルの方々と知りあいになれて、とても良かったと思っています。

    松崎悦子(まつざき・えつこ)さん(役員)

    深見会長の、役所時代の後輩です。会長から「役員の手が足りないから入ってくれ」と頼まれて2008年に入会しました。議事録を作成したり、教室への応募者リストをつくるなどの雑用を引き受けています。また、パソコンは子どもの学校行事で必要だったので、パソコンスクールに通ったりもしました。サブトレーナーとしても受講者に接しています。

    パソコンのふたの開け方から教えることもありますが(笑)、受講者から「カレンダーをつくったら孫に喜ばれた」と喜色満面で言われたりすると、本当に嬉しくなりますね。また、メールの使い方を教えた方に自分のアドレスも教えたら、後でメールを送ってきてくれました。それも嬉しかったです。就労移行支援事業所では、皆さん意欲的に取り組んでいて、実際に就職できた人が出た時はやりがいを感じましたね。

    小宮キヌ子(こみや・きぬこ)さん(役員)

    郵便局教室の5回生です。会社では専用機を使うだけで、パソコンは使ったことはありませんでした。前からメールを使ってみたかったので、個人的にパソコンを購入し家族に教わりながら使い始めましたが、それでは上達できないので受講することにしたのです。

    今ではサブトレーナーも務めさせていただけるようになりました。初心者にはマウスの持ち方から教えますが、手を添えて「こうやって優しく持って」と教えると、だんだんうまくできるようになるのに手応えを感じますね。修了時に「ありがとう」とお礼を言われると嬉しくなります。また、そうして接する方と友だちになれるのもいいですね。

    二瓶裕子(にへい・ゆうこ)さん(会員)

    4年前に友だちから区の広報紙に受講生募集の記事が載っていることを教えてもらい、応募しました。夫の仕事の手伝いで文字を書く必要があるのですが、歳を取ると手の震えで文字を書くのが難しくなるかもしれないので、パソコンで打てるようにしておこうと思ったのです。

    文字打ちだけでなく、今ではデジカメで写真を撮って加工するといったこともできるようになりました。いろいろできるようになって充実しています。

    伊藤昌子(いとう・まさこ)さん(会員)

    定年まで役所に勤めていましたが、パソコンは使っていませんでした。また、趣味はカラオケぐらいしかなかったので、パソコンでも始めてみようと思って2011年に応募しました。丸1年経ったところです。

    6回の講座は夢みたいに終わりました(笑)。それこそ、フタの開け方から教わって。修了後は、「一火会」に参加していますが、先輩はどんな初歩の質問にも答えてくださるので、続けられています。おかげさまでだいぶ使えるようになり、今年の年賀状をパソコンでつくって出したら、親戚などから反響がありました。また、お友だちも増え、退職後の世間が狭くならず、とても良かったと思います。

    役員・会員の方々(上段・左から:竹田さん、松崎さん、小宮さん、二瓶さん、
    下段:伊藤さん、深見会長、三浦副会長、寺田さん)
    ■プロフィール

    江戸川シニアパソコン・ネットワーククラブ

    設立/2000年4月
    代表者/会長 深見祐弘(ふかみ・すけひろ) 活動内容/区民
    ・会員向けパソコン教室の運営、パソコン教室のボランティア参加、会員相互の親睦

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