団地タクシーや行事や催しでシニアも楽しく暮らせる団地へ

館ヶ丘自治会 会長 高瀬智規さん 副会長 村上浩一さん 事務局長 塚田賢一さん 会計 田上光子さん 広報 水上裕之さん シニアクラブ銀星会 会長 加藤暁美さん

JR中央本線の高尾駅からバスで一本。高尾山に近い緑豊かな館ヶ丘団地は、全54棟、約2800戸からなる超大型団地です。館ヶ丘自治会は、高齢化の進む団地で住民が快適に楽しく暮らせるさまざまな提案をしてきました。自治会の運営スタッフのみなさんに活動の内容や、国内外から注目されている「団地タクシー」についてお話をうかがいました。

会長 高瀬智規さんにインタビュー

自治会の各種活動によって住民相互の交流の場を提供します。

――館ヶ丘団地のご紹介をお願いします。

館ヶ丘団地は1975年に入居が始まった大規模開発団地です。かつては1万人近い住民が暮らし、団地内に小学校も2つありました。

広々とした敷地に豊かな緑が生い茂る光景は館ヶ丘団地ならではの魅力でしょうね。

現在は2200世帯、3200人が暮らしています。全国の例に漏れず高齢化率54%と65歳以上の居住者が増え、高齢者のひとり暮らしも目立ちます。

――館ヶ丘自治会について教えて下さい。

昔は団地全体の自治会と、団地内は街区と呼ばれる4つのエリアに分かれているのですが、1~4街区の自治会がそれぞれ共存し、活発に活動していたそうです。その後、活動が停滞し、ほとんどの自治会が解散する中で、住民から「やはり、団地全体の自治会が必要だ」という声が上がって、現在の館ヶ丘自治会が2010年2月に設立されました。加入は任意で会費は月100円です。自治会の運営は役員やサポーター約30名が中心になって運営しています。私は今年4月に会長に就任しました。任期は1年となっています。

――自治会ではどんな活動をされていますか?

特徴的なものは団地タクシーでしょうか。電動アシスト付き三輪車を団地内に走らせて、高齢者の足として自治会が運営しています。珍しいという事で取材や見学も多いですね。 もうひとつ、主な活動として「団地の縁側」というコミュニティスペースを運営しています。

団地の縁側自治会が運営するコミュニティスペース「団地の縁側」
入り口には無料の飲み物やベンチがある
手書きのお知らせや案内手書きのお知らせや案内
無料の貸し出し図書や作品展示無料の貸し出し図書や作品展示

これは持ち込み自由の無料休憩室で、カフェも併設、多機能便座の洋式トイレも完備しています。また、住民の寄付による図書の無料貸し出しや演奏会、地元学生と地域住民による作品展示をしたり、来客用駐車場の受付といった自治会窓口の機能も果たしています。定期的に行われている催しとしては、「健康体操」や「健康吹き矢」があります。運動不足の解消になるだけでなく、団地住民同士が顔を合わせ、会話を交わすコミュニケーションの場でもあるので毎回盛況です。

健康吹き矢健康吹き矢
2018年8月に行われた防災の集い2018年8月に行われた防災の集い
実際に体験することが大切実際に体験することが大切

団地内の商店街主催の夏祭りに自治会として模擬店を出したり、バザーやフリーマーケットを企画したり、冬には餅つき大会をして地元の学生がつき手をやったり、つきたて餅を販売したりとイベントの参加・企画ともに活発です。

2017年 自治会の模擬店はやきそば2017年 自治会の模擬店はやきそば
毎冬恒例、もちつき大会毎冬恒例、もちつき大会

また、自治会の会報にも力を入れています。以前は年4回の『自治会便り』だったのですが、2017年から『マンスリー 自治会からのお知らせ』を年8回発行し、毎月情報発信が出来るようにしました。自治会便りは全戸配布、マンスリーは会員配布としていますが、今後は両方とも全戸配布する事を検討しています。FacebookやTwitterでの情報発信も事務局長や広報が定期的に行っています。

――自治会に参加することのメリットはなんでしょうか。

自治会への参加は任意で、現在は480世帯ほどが加入しています。約2200世帯が暮らす団地なので参加率は決して高いとはいえません。参加しない理由は「自治会に入るメリットがわからない」といった固定概念や決めつけが大きいのではないかと思います。

しかし、団地内で高齢者のひとり暮らし世帯が増えている今、「孤立」はなによりも避けなければいけないものです。自治会に入ることで同じ団地に暮らす住民のみなさんと顔を合わせる機会が増え、それによって「団地の縁側」に顔を出しやすくなったり、さまざまな行事に参加しやすくなったりします。そうして顔見知りが増えていくことが防災や減災、ひいては孤立死の防止につながるのです。ひとり暮らしだからといって孤独でもなければ孤立もしていない、その手助けをできるのが自治会だと思っています。

自治会の活動を支えてくれている運営メンバーは、さらに住みやすい館ヶ丘団地を共に目指す大切な同志です。住民の方々に「館ヶ丘団地に住んで良かった」と言ってもらえるよう、自治会ができることを今後も行っていきたいですね。

事務局長 塚田賢一さんにインタビュー

さまざまな協力のおかげで団地タクシーは成り立っています。

――団地タクシーについて、詳しくお聞かせください。

館ヶ丘団地は広いうえに敷地内高低差が約15mもあるんです。バス停や商店街のある所がわりと低くて標高203m、居住区で最も高い標高が215m、バスで帰って来ても団地内で買い物をしても、みんな坂道を登って帰ることになります。

団地内には高齢者の相談を受ける八王子市シルバーふらっと相談室があるのですが、その相談室の方が高齢住民の足として海外の「ベロタクシー(自転車タクシー)」を団地内に導入できないか?と考えられたそうです。団地内は、工事車両や引っ越し業者などの特別なもの以外は車両の通行はできませんが、自転車なら通れます。そこで、2013年東京都地域支え合い事業補助金を活用して2台の電動アシスト付き三輪車を170万円で製作、団地タクシーとしたのです。

ふらっと相談室と自治会が協力して運営し、同年5月から運行をスタートしました。毎日11~13時、14~15時で運行しています。

補助金申請まで時間がなかったせいもありますが、団地内の合意については、高齢住民の相談を色々受けてきたふらっと相談室の方と自治会が検討して「これは必要だ」と判断し、進めていったようです。また、自転車タクシー導入に際してリスクを心配する声は特に無かったようですが、自治会の活動すべてを対象にした保険に加入していて対人・対物、万一の時に備えています。団地タクシーの駐車スペースは団地の運営と管理をしているUR都市機構が提供してくださいました。囲いもあるから安心ですし、発着場所の「団地の縁側」からも近い場所で助かっています。

運行が始まって間もない頃は物珍しさで利用する方もいたようですし、逆に利用するのが照れるというか恥ずかしいというか、「世話にはならねえよ」などと言う方もいたそうですが、団地タクシーがスタートして5年、人もそれだけ年を取りました。そのため、新たに利用する方も増えてきています。運行当時は30%台だった高齢化率が今は54%ですから、団地タクシーのニーズが減るということは考えにくいですね。利用者は年間延べ約1900人、2018年の4月は1 日当たり6.6人。5月は8.8人、6月は7.7人が利用しました。自宅とスーパーマーケットとの往復に利用される方も少なくありません。

団地タクシー買い物帰りに団地タクシー
たくさん買っても大丈夫!

――団地タクシーの維持・管理費はどのくらいかかりますか?

修理の時には、静岡の車体制作会社の方がこちらに出向いて、修理が必要な部分を持ち帰り、再び来て組み上げるという工程になるので、時間もお金もかかります。先日、2台ある団地タクシーのうち緑色の車体の修理が終わりましたが、修理費用の事もあって約半年も運行ができませんでした。そんな現状をテレビで知った方から「団地タクシーの修理にお使いください」と、3万円の寄付が送られてきて、本当に有難かったですね。タイヤが小さいこと、車体と人間2~3人とかなり重量があること、坂道と小回りを利かせる運転が多いことなどが重なってパンクは日常茶飯事です。そのたびに自転車店に修理を頼んでいたら費用がかさんでしまうため、団地住民の中で修理のできる人がやってくれていますが、まったく無償というわけにはいかないので些少ながら有償ボランティアという形を取っています。

団地タクシー駐車スペース屋根付き、囲い付きの団地タクシー駐車スペース UR都市機構から提供

平日の漕ぎ手はふらっと相談室の方やボランティアの方々に担当してもらっています。土日の漕ぎ手は自治会が担当していますが、こちらは1日500円の有償ボランティアです。些少な額とはいえ、毎日有償ボランティアだったら大変でしょうね。団地タクシー利用者には寄付をいただいていますが、集まるのは年間8万円ほどなので、足りない分は自治会費から補填しています。

漕ぎ手はふらっと相談室の方とボランティアさん、そして自治会の有志と、それぞれ異なる団体に所属している人達が担っているため、統一の漕ぎ手マニュアルを作成することなどが今後の課題と言えます。現在は、新たな漕ぎ手には先輩がコミュニケーションを取りながら指導しています。安全管理の点では団地タクシーの車体管理も大切です。導入当時は新品だった車体も5年の間にはブレーキが利きにくくなったり、バッテリーが弱くなった事がありました。先日バッテリーを新しく買い換えましたが2台で約7万円しました。充電はUR都市機構の防災施設である太陽光発電を使わせていただいているので無料で済んでいます。団地タクシーはたくさんのご協力をいただいて成り立っています。

副会長
村上浩一さん

1981年に入居して以来、1街区の自治会に加入していました。館ヶ丘自治会の会員になったのは3年前で、副会長の職には前年度から継続して就いており、行政機関や多摩地区の同じ団地自治会などとの交渉等を担当しています。40年近く団地の変遷を目の当たりにしてきましたが、20年ほど前から空室が目立つようになったと感じています。今では5階建ての4~5階は空き家が多くなっている状況です。

団地住民の高齢化も年々進んでいます。子どもたちにとって館ヶ丘団地は緑豊かな暮らしやすい環境だと思うので、若い世代がもっと増えてくれるとうれしいですね。若い世帯が増えて自治会に加入してくれることで若い人の意見が反映され、それによってさらに若い世帯の増加につながるという良い循環が期待できます。

また、この団地は坂が多いので、高齢者の中には日常生活を送るだけでも苦労されている方も少なくありません。そこで団地を一周するマイクロバスを運行できないか現在模索中です。さらに自動運転のバスを運行できないかという案も出ており、高齢者のみならず小さいお子さんがいるお母さんもサポートできるような体制を整えていきたいというのが目下の目標です。

会計
田上光子さん

館ヶ丘団地には1次入居から半年遅れて入居したので、ここで暮らして43年になります。私は当初から団地自治会に所属して関わっていたのですが、次第に役員のなり手が少なくなり運営が困難となってしまいました。そこで団地自治会の加入者は4つある街区自治会に移動して解散したんです。街区自治会はそれぞれ活動の内容が異なり、活発に活動しているところもあったのですが開店休業のところもあって、形ばかりの自治会では住民のよりどころにはなれず、再び、現在の館ヶ丘自治会が全ての街区(1~4街区)を対象に発足したのです。

自治会の活動でうれしいのは、いろいろな方と出会って顔見知りになれることです。これだけ長く暮らしていても新たな出会いがたくさんありますし、人生の先輩からお話を聞かせてもらうのも楽しいものです。

館ヶ丘団地は緑豊かな環境で落ち着いて暮らせるのが魅力です。そして団地タクシーが国内外から取材を受けるほど注目されるなど、自治会の積極的な活動が住民のみなさんのお役に立てているのではと感じています。

広報
水上裕之さん

4年前から館ヶ丘団地に暮らすようになりました。自治会に関わるようになったのは、自転車タクシーを漕いでみたくて漕ぎ手に応募したことがきっかけでした。実際に漕いでみると意外に力が必要でしたが、運転は楽しいですし、利用者に「ありがとう」と言っていただけるのは大きな励みになります。土日の漕ぎ手は会長の高瀬さんと私の二人でやりくりしていますが、力が必要といっても女性でも扱えますから、漕ぎ手がもっと増えてくれるとうれしいですね。

また、私はTwitterを担当しています。私たちの年代は何か知りたいと思った時はまずネットで検索するので、館ヶ丘団地自治会として、定期的に、そして継続して情報を発信することに意義があると考えています。SNSとほかの企画や策を組み合わせたりすることによって館ヶ丘団地の住民のみなさんに自治会に興味を持ってもらい、さらに自治会員になってもらう一助になれば幸いです。

シニアクラブ銀星会 会長
加藤暁美さん

杉並区から移り住んで10年以上経ちます。趣味で長く続けてきたフォークダンスを館ヶ丘団地でもできないかと探したところ、銀星会で開催されていたので参加しました。そのうちに役員を務めるようになり、現在は会長を務めています。会員は60名ほど、会員数が増えたことを東京都の老人クラブ連合会から表彰されたこともありました。

活動はフォークダンスをはじめ、ペタンクやグランドゴルフ、輪投げなど、体を動かすものが多く、シニア世代の運動不足解消に一役買っています。麻雀をやっている人もいますし、カフェをのぞいて顔なじみがいればおしゃべりを楽しみます。先日は集会所で納涼会を開催して大変盛況でした。毎年2回、バスをチャーターして1泊旅行にも出かけるなど活動は活発で常に和気あいあいとしていて、会員以外の人から「銀星会はいつも楽しそうでうらやましい」と言われることもあります。自治会の催しに銀星会が参加することもしばしばで、今は夏祭りで行う盆踊りの練習を自治会の皆さんと一緒にやっています。これからも、毎日元気で、みんなで楽しくやっていけたらそれが一番だと考えています。

納涼会盆踊り本格的にやぐらを組んで納涼会盆踊り
踊り手にシニアクラブ銀星会の方も参加

(取材:2018年7月27日)

■プロフィール

館ケ丘団地自治会

設立/2010年2月

自治会長 高瀬智規


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