元気スクールグループ
- 地域
- 東京都狛江市
- プロボノ支援内容
- 課題整理ワークショップ課題整理ワークショップ
- 支援時期
- 2016年度、2017年度
- 活動カテゴリ
- 介護予防
経験やスキルを活かしたボランティア活動=“プロボノ”との協働による
団体の運営課題解決の事例から、協働のポイントや、支援後に生まれた変化等をご紹介します。
・2016年度:活動拠点を増設し、会員も増加しつつあった体操教室の運営業務が、一部メンバーのみに集中していた。
・2017年度:高齢となった会長の職務の引き継ぎが必要。規模の拡大に伴い、無報酬を前提とした運営にも無理が生じていた。
・2016年度:以後の団体の規模拡大を見据え、運営の担い手の育成、増加を目的とした業務整理を行う。
・2017年度:2016年度の業務整理に続ける形で、会長職の引き継ぎを視野に入れながら、さらに業務整理を進める。
・2016年度:会長のなかでのみ整理されていた業務をすべて洗い出したうえで、「本部」と「支部(各スクール)」に分担して“見える化”を実現。この業務整理が、3ヵ所目のスクール開設の際に役立てられた。
・2017年度:すべての業務を「会長の意思決定の有無」を基準として仕分けしなおし、業務有償化の可能性の有無も検討。将来的な会長職引き継ぎ後のスムーズな運営移行を見据えた提案となった。
ある日の午前、
現在、市内五つの会場で開催されている、「
発足以来、会長を務めてきた山口正忠さんは、
このように徐々に活動を広げてきた「元気スクールグループ」が、
【2016年度】
プロボノチームがまず実施したのは、それまで山口さん、
ここで試みられたのは、業務のいわゆる“見える化”でした。
【2017年度】
翌2017年度、新たなプロボノチームが取り組んだ課題は、
プロボノチームは、
二度にわたるプロボノ支援を受けた山口さんは、
2021年、設立10周年を迎えた「元気スクールグループ」。新型コロナウイルス感染症パンデミック下では、年間の開催回数、のべ参加者数が一時的に落ち込んだものの、現在では回復し、活発な活動を継続しています。
当会の活動の主要な目的は、まず体操の実践と社会参加により、個人の健康寿命(健康上の問題で日常生活に制限のない期間の平均。令和元年で男性72.68年、女性75.38年<令和5年版高齢社会白書>)を延ばすこと。そして、その健康寿命延伸によって、介護給付費、つまり公費の削減に寄与すること。後者は、会を立ち上げた山口さん自身も当初は想定していなかった目的で、「元気スクールに通っている人たちの健康寿命は、確かに延びているんです。それは、この活動が個人の役に立ち、地域行政の役にも立っているということなのだと、後になって気づいた」と語ります。10周年を機に制作された冊子『元気スクール 10年間の道標』では、今後、同様の活動を立ち上げる人たちの参考となるよう、狛江市における介護給付費の総額などを具体的に示しながら、この新たな価値についても解説。会長代行として現場を支えてきた田岡さんも、「予防をきちんとしていれば、病気にならずに済み、要介護者にもならずに済む。予防事業がいかに大事かということです。日本じゅうで保健所が減らされるなどしてきたなかで、その逆を行く取り組みだと思っています」と、活動をとおして見出してきた意義を語ります。
それだけに、共に高齢となった山口さん、田岡さんがいまなお運営を担い続けている点は、解決の急がれる課題です。自らが立ち上げた事業を強い意志で確立させてきた山口さんは、「このままこの活動が消えてしまうのはもったいない」と本音を吐露。1スクールごとに世話役・事務担当がひとりずついる体制づくりを目指していますが、5ヵ所のスクールをつぶさに見てきた田岡さんは、「事務作業も、行政とのやり取りも、いまは山口さんがすべてパソコンでできていますが、これからは、高齢者は高齢者なりのやり方でやっていくことも考えなければならないかもしれない」と過渡期ゆえの難しさを語ります。まさにこれからの時代にこそ需要が高まるであろう意義ある活動を、地域のなかでどうつなぎ、持続させるか。打開策を探しつつの歩みが続いていきます。
(2023年7月取材)