東京ホームタウンSTORY
東京ホームタウン大学講義録
「東京ホームタウン大学2024」分科会レポート
クロージングセッション
開催日: 2024年2月17日(土)
会場:東京大学 伊藤国際学術研究センター
分科会①の動画:YouTubeにリンク
クロージングセッションの動画:YouTubeにリンク
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「東京ホームタウン大学2024」テーマ別分科会では、孤立孤独・ダブルケアといった課題への取り組みや、デジタル格差解消、シニアの活躍、生活支援など活動の実例をヒントに、地域とつながり、地域で活躍する“これから”を語り合いました。はじめの一歩をぐっと後押しするセッションも。ご関心に合わせてご覧ください。
目次
–分科会①トークセッション「高齢化×○○」
–分科会②事例発表「仕事の経験を地域で活かす」
–分科会③講座「新たな一歩の踏み出し方」
–クロージングセッション「さぁ、地域に踏み出そう! 東京を“ホームタウン”にするための提案」
分科会①
トークセッション「高齢化x○○」
地域で活動する実践者の皆さんをゲストにお迎えし、複合的で複雑化する課題にいかに向き合うかについてお話を伺いました。
●登壇者
聞き手:堀田 聰子 氏(慶應義塾大学大学院 健康マネジメント研究科 教授)
【1】高齢化×ダブルケア
子育て×介護「ダブルケア」 ケアする人をケアできる社会へ
室津 瞳 氏(NPO法人 こだまの集い 代表理事)
【2】高齢化×居場所
子どもも高齢者も障がい者も 多様性に開かれた居場所づくり
井上 温子 氏(NPO法人 ドリームタウン 代表理事)
【3】高齢化×地域づくり
地域課題を捉え新たな活動を創出 地域づくりのコーディネーターの役割
浦田 愛 氏(文京区社会福祉協議会 地域福祉推進係 係長)
●当日レポート
分科会①では、登壇者3名それぞれから活動紹介をいただいた後、堀田先生のファシリテーションのもと、ダブルケア支援をするNPO法人こだまの集い 室津さんの「周りのみんなが(何らかの)ケアをしている人だったらどうしますか?」という問いから、ディスカッションがスタート。板橋区で地域の居場所を運営するNPO法人ドリームタウンの代表でもあり、自らも子育て中の井上さんは、「コンビニの数だけ地域の居場所を作りたい」と語ります。「自分たち家族だけで家庭を支えるのは無理がある。子育ても介護も、すべて地域でシェアしたい。親の帰りが遅い時に、子どもが地域の居場所に『ただいま』と帰れたらいいし、自宅のようにくつろげる縁側があったら、高齢の方にとっても楽しいはず」と、ご自身の描く理想と併せて、居場所づくりをする参加者にもエールを送りました。文京区社会福祉協議会の浦田さんは、「ケアの真っ最中の当事者の方は、逆に周囲にはケアのことを話せず、つながり合えないかもしれない。日頃から、人とつながる土台づくりが地域や職場でも必要」と語りました。
そして、話題は「居場所づくり」に。井上さんからは、参加する人の属性が違うからこそ生み出せることがあること、浦田さんからは、居場所づくりに注力するための予算獲得の経緯や、コーディネーター育成についても経験談を共有いただきました。また、室津さんからは、人とつながりサポートし合ううえで“誰とでも”は難しくても、子育てや仕事、介護など分野別に気軽に話せる人をプロを含めて3人つくることを意識すると安心、という具体的なアドバイスもありました。
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分科会②
事例発表「仕事の経験を地域で活かす」
デジタル格差解消、シニアの活躍、生活支援、地域のつながりづくり等に取り組む都内の地域活動団体の活動事例を紹介。また、経験やスキルを活かすボランティア活動「プロボノ」との協働の成果や、参加の入り口をご紹介しました。
●登壇者
NPO法人シニア大楽 森 隆直さん
ITボランティア虹の会 中村 晃久さん
新宿区地域包括ケア推進課高齢いきがい係 和泉 まことさん(新宿区高齢クラブ連合会)
東大和市高齢者ほっと支援センターしみず 岡島 明日香さん
さやま・しみず楽しみたい 五十嵐 真美子さん
瑞穂町東部高齢者支援センター 島崎 亜紀子さん
西部高齢者支援センター センター長 竹沢 美恵子さん
●当日レポート
NPO、ボランティア団体さんから区市町の自治体の方々から、それぞれの活動のご紹介と、プロボノ支援の事例紹介をいただきました。ITボランティア虹の会さんのプレゼン資料にはプロボノワーカーが成果物として納品した資料が素敵に織り込まれ、東大和市高齢者ほっと支援センターしみずさんと、さやま・しみず楽しみたいさんは、成果物のパンフレットを実際に会場にお持ちになってくださっていました。また、瑞穂町東部高齢者支援センターさんと西部高齢者支援センターさんは「ちょこっと支援旭が丘」を例に、プロボノ支援が団体さんに与えた変化などもご紹介いただきました。シニア大楽さんのプレゼンの最後にはプロボノ支援をきっかけに団体に入られた方の登場があったり、新宿区地域包括ケア推進課高齢いきがい係さんの発表後には高齢者クラブに納品されたチラシのひな形を自分のところでも使いたいので共有頂けないか、との声が参加者から挙がるなど、プロボノ支援の成果が会場を巻き込み、様々な形で発表されていました。
後半、分科会参加者が登壇者の皆さまへの質問を考えるグループセッションの時間も、各グループで話が盛り上がっていて、結果、回答しきれないほどの質問が集まりました。
具体的な事例から、参加者の多くが自分ごととして地域への参加について考える、とてもよいきっかけになりました。
分科会③
講座「新たな一歩の踏み出し方」
分科会③では、「新たな一歩の踏み出し方」をテーマに、前半は株式会社HIKIDASHIの木下紫乃さんと一般社団法人定年後研究所理事・所長の池口武志さんによる、キャリア講座「昼下がりのスナック×定年後研究所 ~地域デビューの背中押します~」を、後半はNPO法人シニア大楽さんによる実演講座「シニアにもっと笑いを ~ユーモアスピーチ実演&講師活動のすすめ~」を開催しました。
キャリア講座「昼下がりのスナック×定年後研究所~地域デビューの背中おします~」
●登壇者
木下 紫乃 氏(株式会社 HIKIDASHI 代表取締役社長、キャリア相談スナック「スナックひきだし」紫乃ママ)
池口 武志 氏(一般社団法人 定年後研究所 理事・所長)
●当日レポート
登壇者の木下さんと池口さんの出会いは、3年前に池口さんが赤坂見附にある昼スナを訪れ、紫乃さんと壁打ちをしたことがきっかけでした。トークセッションは、そんな紫乃ママと常連の池口さんのようなリラックスした雰囲気で進行しました。
池口さんは当時、関連会社に出向となり、その後の会社人生を考えるタイミングでした。そんな時に紫乃さんと壁打ちしたことをきっかけに桜美林大学大学院 老年学研究科の入学を決断。入学した時はその先にどんな道があるかわからなかったそうですが、大学院で執筆した論文が学術書に掲載されるなど、あらたな一歩を踏みだすことにより次の一歩の種につながるというお話を伺いました。
50代になったら次のステップに向けて、会社に在職している会社人の自分と、個人の自分を両立している状態がこの世代の在り方であること。なにかに興味を持ってもそれが本当にやりたいことかわからないと心配をしたり、年齢を理由に躊躇するのではなく、「おもしろそう!」と思うことがあれば、とにかく行動してみること。そして、失敗をしても、それはそれでいい経験となり次につながる、という紫乃さんの言葉の数々に参加者は聞き入り、最後の参加者同士の感想共有タイムでは、それぞれの立場や始めてみたいことなど、話がつきない熱気あふれる時間となりました。
実践講座「シニアにもっと笑いを~ユーモアスピーチ実演&講師活動のすすめ」
●登壇者
NPO法人シニア大楽
藤井敬三さん
長嶋秀治さん
森口成夫さん
中久木一乗さん
平井幸雄さん
須藤武夫さん
田中善次郎さん
●当日レポート
元気なシニアの社会参加を応援するシニア大楽。
まずは、藤井理事より、「笑い」の効用と活用のお話がありました。「笑い」によって、免疫力が向上したり、記憶力が良くなったり、うつ病予防も期待できること。また、対人関係が潤滑になり、組織ではチームワークが強化され、引きこもっていた人が外に出られるようになることもある、というお話を伺いました。その後は「シニアにもっと笑いを」の具体例の紹介です。
①首都圏5か所で活動しているユーモアスピーチの会のみなさんによる3分間スピーチの披露。笑わせるコツは自分の失敗談をいれことだそうです。
②日本の伝統話芸である小ばなし・落語入門の勉強会を開催している「小ばなし・落語入門サロン」のみなさんによる小噺の披露。天国で流行っている一番短い小ばなし「あのよ~」には会場に大きな笑いが起きました。
③シニアユーモア川柳。川柳は庶民の間でひろがり、俳句との違いは俳句は自然をよむもの、川柳は人間をよむもというお話を伺いました。「お辞儀して、ともによろけるクラス会」など、会場のみなさんが大笑いをするシニア川柳を藤井理事より数々ご紹介いただきました。その後、クイズのように虫食い部分を当てる、虫食い川柳も会場のみなさんと楽しむことができ、終始、笑いを通して会場が一体となる実演講座となりました。
クロージングセッション
「さぁ、地域に踏み出そう! 東京を“ホームタウン”にするための提案」
イベント全体を振り返るとともに、地域への参加に向けて具体的に実践できる次の一歩を登壇者それぞれの視点で提案していきました。
●登壇者
堀田 聰子 氏(慶應義塾大学大学院 健康マネジメント研究科 教授)
広石 拓司 氏(株式会社エンパブリック)
嵯峨 生馬(認定NPO法人サービスグラント)
東京ホームタウンプロジェクト事務局を務める、認定NPO法人サービスグラント 代表理事 嵯峨のファシリテーションで進んだクロージングセッション。まず、イベントを通して感じたこととして、堀田氏は「新しい一歩を踏み出したいという皆さんの熱気がすごかった。また、コロナ禍を経て、オンラインを含めたつながりの可能性の広がりが生まれてきたことも実感した」と語りました。それを受け、広石氏からは、「今の70代くらいの方々は、時代や産業の進化と共に、常に新しい機器との出会いの連続だった世代。今はスマホも手にしていらっしゃる。高齢の方はオンラインや新しいことは苦手などと決めつけず、見守り一つをとっても、オンラインやLINEなどを取り入れることも考えていかなければ」とのコメントがあり、会場の皆さんにも大きくうなずく様子が見られました。
また、「ホームタウンとは」として、広石氏からは「生まれ育った町、というイメージがあるかもしれないけれど、安心して老いていける場所もホームタウンなのではないか。仲間もいるし、ちょっと調子が悪くなっても支えてくれる人がいる。そんな安心な場所を作っていけたら」。堀田氏も「たしかに、生まれ育ったかどうかに関わらず、自分が自分の人生を生きていける場所、というのがしっくりくるように思う」と語りました。
そして、まちづくりとしては、広石氏は「これだけ価値観もライフスタイルも多様になったので、これまでのイメージや取り組みにとらわれず、『これがやりたい』『好き』を大事に、50周年を迎えた『宇宙戦艦ヤマト』を見るでもいいし、これからの60~70代の集いの場は多種多様であることが大切」と提案。堀田氏からは、健康の概念も変わってきているとして、「社会的・身体的・感情的問題に直面したときに適応し、本人主導で管理する能力としての健康(ポジティヴヘルス)」という考え方を紹介。自身が自分の状態と向き合うことが大切であると共に、そうした考え方は、企業が地域に貢献するヒントにもなるのでは」との提案もありました。
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