東京ホームタウンSTORY
支援先レポート
地域の課題発見にもつながる
子ども食堂の「続けかた」とは
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必要な人が「紛れ込んで」くれればいい
「要町あさやけ子ども食堂」は第1、第3水曜日の17:30オープン。大人1食300円、子ども1食100円です。毎回何人くらい集まるのでしょう?
山田 食事する人が50人、スタッフが15人くらいですね。玄関はドアが閉まらないくらい。通れなくなるから廊下の立ち話は禁止です。
来た人の滞在時間は1時間半くらいかな。30分で食事して、2階も開放しているので、子どもたちはボランティアの大学生と遊ぶ。お母さん方は、女子会っていうの?1階でおしゃべり、情報交換をしています。
母子家庭の方も多いからね「実は、私ね・・・」「そういう悩みは区役所のどこに行けばいいわよ」という会話があれば、子ども食堂が役に立っていると思います。子どもの貧困って、要は親の貧困だからね。ひとり親の家庭は大変なことが多いようだから。
子ども食堂を始めたい人に、先輩からアドバイスは?
山田 立ち上げにエネルギーを使いすぎない。続けることが大事です。それから、仕事のように費用対効果では考えない。
「こういう目的のためにやります」と絞りすぎない。貧困の子どもにごはんを提供する、は狙いだとしても、「貧困食堂」には来たくないでしょう? 頭で考えて来てくれる人を選別しすぎてはだめ。広く間口をあけて、必要な人が“紛れ込める”スペースを作る、でいいんです。
プロボノの支援でFacebook完成
昨年は東京ホームタウンプロジェクトの「プロボノ1DAYチャレンジ」で支援を受けて、Facebookを立ち上げました。
山田 技術のある人たちが、団体に足りない部分をお手伝いしますという活動です。実は そのちょっと前に、ガラケーの携帯電話を、洗濯機に入れて洗ってしまったんだよね(笑)。買い替えるときスマホに買い替えたのはいいが、使い方もわからない。スマホの使い方と、Facebookページの作成をお願いしました。
その後、プロボノメンバーの方々が子ども食堂にも手伝いに来てくれて、Facebookだけじゃなく、ホームページも作りましょうと言ってくれました。あっという間に作っちゃった。すごいよね。
Facebookで情報発信しようと思ったきっかけは?
山田 インターネットで発信をしたいと思ってはいました。印象的な写真が撮れると、みんなに見てほしくなるしね。「要町あさやけ子ども食堂」のFacebookには、「いいね」が1000、2000付くんですよ。
すごいですね。
山田 ホームページには問い合わせのコーナーがあり、見学や取材の申込みがあります。取材の人についてはお断りしています。見学希望の人には、見学だけは許さない、エプロン持参で手伝ってもらっています。
「子どもじじばば食堂」でもいいじゃないか
山田 「自分が役にたつことをしたい」人はたくさんいます。うちはあえて制服も作らない。みんなが同じエプロンをしたら、そうでない人がやりにくくなってしまうからね。ベテランか新人かわからないのがいいんです。
手伝いに来たい人、ものを寄付してくれる人。全部、ありがたくいただく。わざわざ「手伝いに行かれなくてごめんなさい」と欠席の電話をくれる人もいるんだけど、実は人数は足りているんだよね。でも、そういう気持ちがありがたい。
山田さんの柔軟さが、いろいろな人が来やすい環境を作っているんですね。
山田 高齢者が一人でごはんを食べに来て、後で電話がありました。「子どもの声を聞きながら、ごはんが食べたかった」とね。地域が期待するなら「子どもじじばば食堂」でもいいじゃない。型を決めないで、変わっていくのがいいと思う。
ボランティアの方々も、助けようというのではなく、楽しいから参加しているんですね。
山田 お母さんたちが、楽しそうに料理を作っている。それが子ども食堂のベースです。「あなたのために」となると重たいじゃない。楽しい雰囲気が、子どもたちを楽しくするんです。
豊島区にも子ども食堂が増えましたね。
山田 4カ所の子ども食堂ができましたよ。やりかたも形も違う。お寺を借りているところもあるし、おしゃれなバイキング形式もあれば、プライバシー保護のために写真も取材も見学も一切受け付けないところまで。
選択肢が増えるのはいいことですね。
山田 うちは月に2回だから、イベントですよね。子ども食堂の日をカレンダーに印つけをしている子どももいた。あの子にとっては楽しみなんだよね。
うちはにぎやかな6人家族でした。一人になって、またにぎやかになればいいなと思っていたけど、今はにぎやかすぎだよ(笑)。昨年の夏休みに、パン屋時代の業務用オーブンを使って、一人1枚自分で焼くピザのイベントをやりました。楽しかった。
(渋谷のラジオ「2025年部」2016年5月31日収録を元に構成)
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