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    東京ホームタウンSTORY

    2025年の東京をつくる 東京ホームタウンSTORY

    支援先レポート

    高齢者に安心と生きがいを届ける
    地域コミュニティとつながる商店街


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    高齢者にやさしい「商店主」とは

    先ほど言いましたように、高齢者は“使えるお金”を持っています。原宿の竹下通りで買われるものの1点の単価は800円だそうですが、同じ原宿でも、おばあちゃんの原宿と言われる巣鴨のとげぬき地蔵商店街では、3,000円だそうです。しかも、1点だけ買わず、たくさん買っていきます。

    高齢者は若い人たちよりもお金を使ってもらえる世代である、ということを商店街の人たちにお話しますと、君に言われなくてもそういうことはわかっているよ、とおっしゃるんです。でも、具体的にどういう風にやっていらっしゃるんですか?と聞くと、いやいやいや、大事にしてるよ、と返ってきます。気持ちはあるけれども、具体策はあまりないのです。店先で高齢者が転んだ時に手を差し伸べてあげるよ、と言います。それは、商店街としての親切ではなく人間としての親切ですよね。商店主としての親切とはどういうことでしょうか。

    いくつかヒントを見つけました。

    例えば、高齢者になると、30分か1時間、外を出歩いていると、催してくるんですよ。商店街の事務所にトイレが1ヵ所ありますが、和式で立ち上がるのが面倒、しかも寒い。郵便局でお金をおろしても、これじゃあ家の温かいトイレに入ろうか、とすぐに帰ってしまいます。商店街には、疲れてちょっと休みたいときにもベンチがありません。

    プライスカードはどうでしょうか。気取った店ほど小さくしますね。白い紙にグレーの文字で書いてあったり、裏返してあるお店もある。高齢者は、白内障などで数字が見にくくなっています。高齢者のためにはできるだけ目立つ色で、大きくして、高齢者にとって買い物しやすいようにしてあげることも、ひとつの親切だと思います。

    魚屋さんで、サンマがたくさん入荷したので3匹で500円。若い人だったら喜ぶけど、年寄りが3匹買っても仕方ない。1匹の魚を半分に切ったりして、別々の食べ方をするんです。そこで、レシピをつけたりすれば、割高にして売ることができる。大量に売ることばかりを考えるより、ひと工夫、親切にすることによって、商売が成り立っていきます。

    日常生活難民と、地域に役立ちたい人とを結ぶ活動

    私は、この活動をする前に、バリアフリー協会といいまして、どうすればバリアフリーな社会が作れるかということを研究する機関にいました。

    いまの時代、100人の高齢者がいたら、3割は介護を受けないと生活が難しいという人、4割は、去年までいろいろできたのに除草や電球の交換など、日常生活に不自由している人たちがいます。大げさですけど、そうした高齢者を「日常生活難民」と言っています。あと3割ぐらいが、健康な高齢者です。

    介護が必要な人は、国の制度で介護保険が適用されて、ヘルパーがつきます。一方、日常生活難民の人たちには、適用される制度もなく、ヘルパーもつきません。とくに都会では、お隣さんとの接触もしないという人が多く、高齢世帯は一人暮らしでも、結局、自分で我慢するしかなくなってしまう。そこでこうした方々が、円滑に日常生活を送れるようにするにはどうしたらいいかな、と考えたときに、元気な高齢者に着目しました。

    定年早々で、地域社会や人助けなどをしたいと思っているような人がいても、地域にはそうした人を受け入れる素地がありません。変わった人だな、とか、選挙に出たいんじゃないか、とか、変な目で見られてしまうこともあります。
    地域社会に役に立とうという気持ちがあるにもかかわらず、システムがないため、結果的に、健康的な人でも、日常生活難民や、ひいては、要介護状態になってしまっています。

    そこで、日常生活難民の困り事に対し、健康な高齢者がボランティアとして生活をお助けしましょう、という仕組みをつくったのが、「街のお助け隊コンセルジュ」です。

    東京ホームタウンプロジェクトの支援先、参加者、協力団体などをご紹介します。

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