2025年の東京をつくる 東京ホームタウンSTORY

東京ホームタウン支援先レポート

高齢者に安心と生きがいを届ける
地域コミュニティとつながる商店街

NPO法人 街のお助け隊コンセルジュ
代表 青木弘道さん
2018年1月22日

2004年設立。品川区の中延商店街を拠点に、周辺に暮らす高齢者のちょっとした困り事をお手伝いする有償ボランティア活動を展開している。2015年度の東京ホームタウンプロジェクトでプロボノ支援を受け、その際、今後の目標の一つとして挙がっていたNPO化を2016年に実現。また、もう一つの活動として、希少価値の高いニホンミツバチの養蜂事業も独自に手掛け、その“幻のハチミツ”は中延商店街発の名物として商店街の活性化にもつながっている。

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好循環を生んだ有償ボランティアの仕組み

ボランティアは、無償でやることをボランティアといいますが、私たちは有償ボランティアという仕組みで活動を立ち上げました。ボランティアをした相手の方から、少しお金をもらうのです。例えばお庭の除草をしてほしい、という高齢者がいらっしゃったら、まずは私が実際にそのお宅に行って作業量の見積もりをして「奥さん、これは〇〇円ぐらいかかりますね」と、作業を引き受けます。その奥さんには、1,000円券が10枚つづりになっているクーポン券を買っていただきます。

実際に依頼のあった植木の剪定作業の様子

90人くらいいる有償ボランティア登録者の中から、依頼内容によって作業する人を選定し、作業が終わったら、金額に応じたクーポン券を依頼者から有償ボランティアの人に渡していただくという流れです。

有償ボランティアの人が、1,000円のクーポン券を、毎月15日に私たちの事務所に持ってきていただくと、500円の品川区内共通商品券に代えます。あとの500円は私たちの活動への寄付、運営費にさせていただくのです。

こうすることで、5つのいいことが出てきました。

ひとつは、利用する高齢者は助かり、作業した人は感謝されること。
2番目は、作業した人が、健康を取り戻すことができる。家庭が円満になっていく。会社勤めの時と同じように自分の存在感が出てきますので、再び生きがいを持つことができるようになるんですね。
3番目に、商品券を使うことによって、商店街の活性化の一助になっています。私たちが配る商品券の99%は、この商店街で使われています。
4番目に、より健康になってお医者さんに行かないで済む、となれば、医療費の削減にもつながっていると言えます。
5番目に、NPOを運営できる、ということです。補助金や助成金に頼らず、このNPOがいかに自立できるか、という仕掛けが、実はこの有償ボランティアシステムなのです。
あまり露骨にやると、なんだ、商売やっているのか、と言われますけど、こういう5つの利点があることを伝え、広めていくことが大切です。

いまは平均して、月30~40件のお手伝いの依頼があります。依頼が多いのは、除草、植木の枝払いや剪定です。網戸の張り替え、エアコンの掃除、お風呂の掃除、電球の取り替えなどもあります。業者が対応してくれなかったのをうちに頼まれるケースもありますが、すぐには断りません。やれるかどうか挑戦してみる。断るにしても、お話をよく聞いて、本当に納得してもらえるように努めています。

人生折り返しからの10万時間に、生きがいを

年齢というのは、単なる刻みのようなもの。長生きすれば幸せだ、ということではないと思います。いまや高齢者にとって、長生きすることは楽しみではなく不安なんです。少し体の具合が悪くなっても、誰かが面倒を見てくれる、安心して暮らせる、ということになれば、高齢者の人たちもお金を貯めなくてもいいわけですから、健全な社会になっていくのではないかと思うのですが、現実はそうはなっていません。

仮に、22歳で企業に入社して、定年60歳とします。その間で自由時間は約10万時間といわれています。60歳以後、平均余命までの自由時間、これも10万時間だそうです。定年後を「余生」といったりしますが、実は、働いていた期間の自由時間と同じくらいの時間を過ごさなければいけないのです。10万時間、ゴルフをしたりカラオケをしたりすることもできません。

企業によっては、退職の2年ぐらい前から、そろそろ地域へ戻って、どういう風に過ごすかという準備をさせてくれるようですが、そういう会社はわずかしかないそうです。

営業とか、人と付き合ってきた人は、コミュニケーションができるのですが、企業で偉かった人ほど、地域で何の役にも立たない。寄り合いに行っても、「おい、お茶持ってきて」と言ったりしている。女性と違って男性は地域社会で生きていく術をあまり知りません。

そういう時に、ボランティアなんですね。いかに、生きがいのある人生を過ごせるか。これからは非常に大事なことになっていくんです。どんなにお金を持っている人でも、学歴がある人も、生きがいのない人生はみじめなものです。高い志を持って、人が喜んでくれるようなことをするということです。

また、こうした活動を始めようと思われているみなさんは、その取り組みに「面白い」「楽しい」という要素をぜひ味付けしてください。これがみそです。私たちが養蜂事業を始めたのも、地域の人たちが面白がってくれそうな、新しい、中延商店街ならではのことをしよう、と思ったからです。直接的な高齢者支援だけではない、遊びみたいなことをやることも大事なことなのです。


東京ホームタウンプロジェクトの支援先、参加者、協力団体などをご紹介します。

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