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    地域づくりの台本

    多世代交流の場をもっと身近に!
    ソーシャルプログラム開発委員会レポート

    地域住民が主体となって取り組んでいるユニークな活動をクローズアップし、その活動を支える理念や価値観と、実際の現場の活動における具体的な作業手順や活動の進め方などを描き出していく「多世代交流プログラムの開発」。

    2018年度は、東京都内の多世代交流の拠点である、文京区「こまじいのうち」、板橋区「地域リビング プラスワン」、小金井市「地域の寄り合い所 また明日」の3団体にフォーカスし、『地域づくりの台本』としてそれぞれ5~7名からなるプロボノ*チームがまとめ上げていきました。(*仕事で培った経験・スキルを活かすボランティア活動)

    この『地域づくりの台本』によって見えてくる3団体の特色はどのようなものなのか。そして地域活動の実践にあたって、ここに抽出されたエッセンスをどのように活用していただきたいか。本事業の委員3名にお話しを伺いました。


    [委員紹介]

    浅川澄一氏(福祉ジャーナリスト)
    日経トレンディ創刊編集長。日経新聞の記者として40年勤務。元日経新聞編集委員。現在は福祉ジャーナリストとして執筆・登壇等活動中。

    坂倉杏介氏(東京都市大学 都市生活学部 コミュニティマネジメント研究室 准教授)
    慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所特任講師を経て現職。「芝の家」や人材育成事業「ご近所イノベーション学校」運営のほかコミュニティ形成プロジェクトに多く携わる。三田の家LLP代表。

    広石拓司氏(株式会社エンパブリック 代表取締役)
    シンクタンク、NPO法人ETIC.を経て、2008年株式会社エンパブリックを創業。環境省SDGs人材研修事業委員・講師、慶應義塾大学総合政策学部、立教大学大学院などの非常勤講師も務める。

    嵯峨生馬(認定NPO法人サービスグラント* 代表)
    *東京ホームタウンプロジェクト事務局

     

    『地域づくりの台本』の読み解き方

    浅川)地域コミュニティについて深堀りしていくうえで「地域特性」は重要です。
    それぞれの町の歴史が、今もその場所ならではの特性として残っている。「地域リビングプラスワン」は高島平団地の空き店舗を利用しており、これは住民が減少した古い団地だからこそできた居場所。一方で、「こまじいのうち」は、町内会など伝統的な町の組織が機能している住宅地という特性を生かしている。「また明日」も、地域への愛着が強い昔ながらの地主の所有地ということが、あの場所での立ち上げのきっかけとなっている。地域の特性が、それぞれの活動を生み出しているという見方もできます。

    広石)例えば、「地域で子育てを応援する場をつくりたい」という想いがあっても、どう運営したらいいか分からないという人も多い。そういった人には理屈よりも、ここに書いてあるちょっとした声の掛け方などのイキイキした知見が現場で使える知恵として使えると思います。
    地域の活動を、普段は会社という組織で働いている事の多いプロボノの皆さんの視点でみるからこそ気づき、抽出できる部分も多くあります。

    嵯峨)この「地域づくりの台本」は、育休・離職中のママから成る「ママボノ」も含めた「プロボノ」のメンバーが、日々の限られた時間のなかで、それぞれ現地に赴いたり、様々な人から情報収集をしながら、地域づくりに日頃携わっている人とは異なる新たな視点でまとめあげたものです。
    団体の活動のすべてを吸い上げるのではなく、フォーカスすべきポイントを絞り、活動の中から地域づくり実践者の方々に活用できそうなポイントを掬いあげていっています。
    団体パンフレットやマニュアル等にはない、プロボノならではの新鮮な目でこそ得られた情報をぜひ、読み拾っていただきたいと思います。

    「地域リビングプラスワン」の日常から見える“関わり“のヒント

    浅川)高島平団地はかつてニュータウンだったが、今では40年前から住む高齢住民の街になった。そこに高齢者と子育て世代をつなげる新しい事業をやりたいとニューフェイスが現れ「地域リビングプラスワン」を立ち上げた。介護保険の総合事業、「通所型B」から地域活動に入ろうという人にも一つのモデルとして参考になると思います。

    広石)団体は住民の高齢化が問題視されがちですが、長年かけて培ったつながりや多くの人が集まって住んでいること、お互いの存在を認識しやすいことなど、高齢期の生活にとって良い面もあります。そのような団地の特性を「地域リビングプラスワン」はうまく活かしています。団地の持つ良さを見直し、それを活かした交流の場づくりを広げてほしいです。

    浅川)「地域リビングプラスワン」には“日常をシェアする”というコンセプトがあります。どんな事業にも、リーダーの掲げる理念や理想というものがありますが、実際の現場にはそれに対しての異論や反論、葛藤があるもので、それにどう対応していくかが大切です。
    利用者の親子や調理担当の高齢者などの具体的な様子を組織としてきちんと分析しているところがいい。日々の細かい状況で生じる様々な課題やその解決プロセスなどに取り組む姿勢から学ぶところが多い。

    坂倉)新規立ち上げをするときは、お芝居でシミュレーションをしたりしますよね。まさにその台本がここに書いてある。SST(ソーシャルスキルトレーニング)にも活用できます。
    例えば、「あの人には辞めてもらおう」となった時のエピソード(エピソード① 「料理に小さな不満がでたとき」)。きっちりやろうとすると「じゃあ辞めてもらおう」となるところですが、ここでは異なります。「料理はおいしくないといけない」という思い込みの壁をひっくり返し、更に代表井上さんが自己開示をすることで、スタッフを安心させている。細部のコミュニケーションが、実は理念になっているんです。

    広石)この場に来たことをきっかけに居場所を立ち上げた方の事例も触れられていますが、同じ活動を続けるだけでなく、集った人から新しい活動が生まれるのが、いいコミュニティだと考えています。

    坂倉)ちょうどこういった現象を研究していますが、ある人がある場所に行った事がきっかけとなって、多様な人との関わりからその人らしさを発揮し、元気になる。これはある程度モデル化できる、普遍的な現象です。ただ、単なる内的な意識の変化だけでなく、他者関係の成熟と併せて得ていくということが大切です。
    高齢者ボランティアのお話もありますが、高齢者も支える側になることで、元気になれる。ニーズと手段を上手く結びつけるための形ができつつあるという、その事例も見て取れます。

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