2025年の東京をつくる 東京ホームタウンSTORY

「楽しい」から始める東京の地域づくり
2017年度総括イベント「東京ホームタウン大学」開催レポート

基調トークライブ
山崎 亮 氏
2018年4月6日

開催日:2018年 2月 24日(土)
会 場:明治学院大学 白金キャンパス(東京・白金台)
登壇者:
山崎 亮 氏
studio-L代表/東北芸術工科大学教授(コミュニティデザイン学科長)/慶應義塾大学特別招聘教授

 

●各分科会レポートはこちらからご覧ください

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山崎氏:それから、今日この資料は初公開なのですが、最近僕が考えていることについてお話したいと思います。

僕たちがモノやサービスを手に入れている方法って、大きく分けると、3種類あるのではないでしょうか。

1つ目は、「見知らぬ人」から「貨幣を介して」手に入れる。お店やインターネットで買うのは、見知らぬ人と、値段で勝負して買い物しています。

2番目は、「顔見知りの人」から「貨幣と信頼」を介して手に入れる。僕は賃貸住宅に住んでいて、大家さんが隣に住んでいます。僕は大家さんに毎月家賃を払っていますが、ある時期になると大家さんが庭の木からとれた柿をくれる、これに対価は払っていません。あるいは、いつも行く美容室では髪を切ることに対価は払っていますが、美容師さんが時々くれる旅行のお土産に対価は払っていない。これが貨幣と信頼の両方でやり取りする相手です。

そして3番目は、「家族や友達、知っている人」から「貨幣を介さずに信頼関係だけで」やり取りをする。困っている時に助ける、大根がたくさんとれたからと持ってきてくれるなどです。

この3種類を、1カ月の間に、僕らはどのくらいの割合でやり取りしているでしょうか。

東京のような都会に住むということは、1番のやり取りが圧倒的に多くなる生活を、ある種強いられていますよね。その方が企業の売上も上がるし、国が所得税や消費税を取れるからです。一方、地方で暮らす人たちの間では、おすそわけとか3番がけっこう多い。2番の顔見知りの店で何か買う、サービスを受ける、これも多いですね。どうせなら知っているところで買おう、どうしても手に入らないものだけネットで買おうかな、という暮らしです。

1番、2番、3番の割合をどうするかは、「僕らがどのやり取りを人生の土台にしたいと思っているのか」という価値判断の問題だと、僕は思っています。

身近な支え合い、ボランティア、プロボノといったことを含む、3番のやり取りを軸にした生活を東京で作っていこうと思った場合、1番のやり取りに一生懸命になりすぎないような方法を、我々は発明しないといけないんじゃないでしょうか。どの方法を土台にするのが、安心して長生きできる人生かを考える必要がある。3番を土台にしたいのに、その割合が少ない人生は、ちょっと揺れたらもう崩れそうですよね。

いくら貯金があれば老後が安心か?には2000万円説と5000万円説があったりしますが、そうすると貯金が少ない人は、地域活動なんてやっている時間はなくて、とにかく働いてお金を貯めないと安心できない。副業したりインターネットで稼いだり。でも将来的にもしかしたらインフレになってお金の価値が下がり、2000万円稼いだつもりが200万円の価値になることもあり得る。結局、どこまでやっても不安はつきないですよね。

それなら、お金を稼ぐ時間をちょっと少なくして、地域活動やボランティア活動をやってみる。地域の中に“ホームタウン”と思えるような自分の場所を作っておくのが大事なんですよ。「私に何かあった時は、あの人とあの人は絶対助けてくれる」と信じられる人を5人、身にまとっているかどうか。逆に、「あの人に何かあったら私絶対助けるよ」と思える人を、これも5人持っているかどうか。そういう人たちを持つための時間を、生活の中にちゃんと位置づけてあれば、その人間関係を続けることができることで、得も言われぬ安心感を手に入れることができるのです。

仮に、貯金が1200万しかなくても、周りの人たちとつながりながら一緒に生きていける老後が確定していれば、この1200万円をなんとか2000万円にするためにまちづくりの活動をやめてでも金儲けやろう、という必要がなくなるということだと思います。

3番のような、人と人の信頼に基づいたやり取りを、生活の中に何%までするか。少なくとも1番の、顔の見えない、温かくはないやり取りをあまり多くしない方が人生の安心感は高まるのではないでしょうか。3番は、もちろんいいことづくめではないと思います。大根と一緒におばちゃんの愚痴も聞かないといけない。でもそれでいいじゃないですか。このやり取りでもらっているのは、本当は愚痴でも大根でもなく、その関係性なんです。人生の不安的要素に対して、つながりでどう乗り越えていくのか、そして貨幣でどう乗り越えていくのか、それを意識して僕らは生きていく必要があると思います。


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