東京ホームタウンSTORY
東京ホームタウン大学講義録
データから読み解く、地域参加が豊かにするライフキャリア
「東京ホームタウン大学2022」
オープニングセッションレポート
中村 天江氏
木下 紫乃氏
地下 有可里氏
嵯峨 生馬
開催日:2022年2月18日(金)<br>会場:オンライン<br>登壇者:<br>中村 天江氏(公益財団法人連合総合生活開発研究所 主幹研究員) <br>木下 紫乃氏 (株式会社ヒキダシ代表取締役社長)<br>地下 有可里氏(日野市役所の高齢福祉課)<br>嵯峨 生馬(認定NPO法人サービスグラント 代表理事)<br>動画:YouTubeにリンク
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「東京ホームタウン大学2022」1日目のテーマは「いまこそ地域へ-身近な場所でライフシフトを考える」。イベントの幕開けとなるオープニングセッションでは、「データから読み解く、地域参加が豊かにするライフキャリア」と題し、3人のゲストとともにお話をしました。
ボランティア等での「社会参加」を通じて、人は何に気づき、どう変わるのか。 身近な「地域」に関わることで得られる学びや経験とは――。東京五輪のレガシーとしてのボランティアや「プロボノ」という新たな社会参加のスタイルをめぐる最新の調査データ・実例をもとに、社会参加の価値を明らかにしていきます。
嵯峨:みなさま、こんばんは。東京ホームタウンプロジェクトの運営を担っております、認定NPO法人サービスグラント代表理事の嵯峨生馬です。
さて、「東京ホームタウンプロジェクト」は、“いくつになっても、いきいきと暮らせるまちをつくる”をスローガンに、来るべき超高齢社会において、身近な地域で様々な助け合いやつながりづくりが広がる東京の街を目指して、東京都福祉保健局高齢社会対策部 在宅支援課主幹のもと、2015年度(平成27年度)より続いている取り組みです。
このオープニングセッションでは、ゲストのお三方を迎えてお話をしてまいります。
それでは早速、登壇者の皆様から簡単な自己紹介をお願いします。
中村:公益財団法人連合総合生活開発研究所 主幹研究員の中村 天江です。2021年10月にリクルートワークス研究所から連合総研に転職をしまして、現在二つの研究所に籍があります。私自身は、普段は雇用の話をしていることが多いのですが、2016年のリオデジャネイロオリンピックで、ボランティアの人たちが本当にいきいきと活動しているのを見たことがきっかけとなって、ボランティア研究を始めました。東京2020大会でもボランティアに関する調査をさせていただいていて、まさに北京オリンピック真っ只中の今日、そのお話をさせていただける事をとても嬉しく思っています。
木下:株式会社ヒキダシ代表取締役社長の木下 紫乃です。私は、滑ったり転んだりの人生を送ってきていて、五十代真っ只中なんですが、このミドルシニア世代が楽しく生きてる姿をもっと若い人たちに見せたいなと思い、背中を押しいたなと、ここ7年ほど、ミドルシニア人材育成の仕事をしています。それよりも有名になっちゃってるのが「昼スナックひきだし」ですが、スナックと言っても昼間、しかも週に一日ですけれども、いろんな人と人とがつながる場を作りたいなと思いまして、「紫乃ママ」としてやっております。今日は多分イロモノ枠で呼んでいただいていると思うんですけれども、よろしくお願いします(笑)。
地下:日野市役所の高齢福祉課で働いております、地下(じげ)と申します。私は、市役所に入ったのが4年前で、元々は民間企業で図書館の立ち上げや、図書館情報学という図書館司書の資格を取る人の研修講師などをしていました。子どもができて、福祉とかに興味があった時に、たまたま日野市役所の求人を見つけた、という感じです。
地域協働課でコミュニティの活性化、その後、高齢福祉課で主に在宅で暮らす高齢者へ向けたサービスの政策をつくったり、ケースワークのようなこともやったりしています。
今日は、現場の話や、地域での活動についてお話ができるといいかなと思っています。
日本人のつながりは危機的。「地域参加」により幸福に
嵯峨:本日ご視聴頂いている方にアンケートを取ったところ、30~40代が28%、50代が32%、60代の方が21%、70代の方が12%、80代以上の方が4%となっています。
そして、地域活動に頻繁に参加しているという方が21%、時々参加しているという方が41%、あまり参加していない方が19%、全く参加していない方が19%。ということで、非常に多様な方にお聞きいただいているということかと思いますが、まずは中村さんから、日本のビジネスパーソンと社会参加の関係についての研究、また東京オリンピックのボランティアに関する研究結果などを踏まえて、お話をお聞かせいただけるでしょうか。
中村:今日は「地域参加」というキーワードが掲げられていますが、まさにその「地域参加」が、実は人生をとても幸せにするし、もっと言えばキャリアにおいて、例えば仕事を失うというようなリスクを乗り越えるときにも力になるということが、私たちの研究でも分かっています。人間関係って豊かであればあるほど幸福度が高いということは古くから知られているんですけれども、実は日本で働く人たちの危機的な状況というのは、その人間関係の幅が狭いことなんですね。
これを見ていただくと分かるように、日本、アメリカ、フランス、デンマーク、中国、どの国も、交流のある人間関係のなかで、赤の“家族”、水色の“職場”の関係が高いのは共通していますが、それ以外を見ると、なんとなく日本の棒が短いことにみなさん気付かれると思います。
結果から言うと、日本は交流のある人間関係が平均4.6種類で、アメリカやデンマークに比べると2種類ぐらい少ない。当然ながら黄土色の“地域やボランティアの仲間”も他の国の1/3から1/4ほどしかない。ところが、先程お伝えしたように、幸せに生きていく条件や仕事を失う時のキャリアリスクを乗り越える条件の中には「人間関係の幅が広い」というのがあるので、この状態って「ええっ?」という感じです。
じゃあどうやって人間関係の幅を広げていくの? つながりを増やしていくの? ということが、とっても大切な問いかけです。
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