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    東京ホームタウンSTORY

    2025年の東京をつくる 東京ホームタウンSTORY

    東京ホームタウン大学講義録

    データから読み解く、地域参加が豊かにするライフキャリア
    「東京ホームタウン大学2022」
    オープニングセッションレポート


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    ですので、日本でボランティア文化を広げていくときにとっても大事なのは、ビジネスパーソンが、希望したらボランティアができるようにすることです。
    そしてもう一つ、みなさんと一緒に考えたいのはボランティア文化というのは放っておいたら育たないということです。

    都道府県別のボランティア行動者率の表を見ていただくと、ボランティア行動者率が全国で最下位なのは大阪府です。
    今日は東京都のイベントなので、東京都から参加されている方が多いと思うんですけれども、「東京都じゃないからいいじゃない」と今、みなさん思われましたよね。いやいや違うんです。
    日本のボランティア元年は、1995年の阪神淡路大震災で138万人が活動した時です。なので、大阪や関西はボランティア元年を牽引した地域です。けれども今は行動者率が低い。つまり、一時期的にボランティアに対する関心や行動が盛り上がっても、放っておいたらそれは広がっていかないということです。


    今東京はどうかというと、オリンピック・パラリンピックを経て従来とは違うボランティア活動にスポットライトが当たり、その経験者達が様々な活動を始めてています。東京都も、東京ボランティアレガシーネットワークという、ボランティアをしたい人達を後押しするプラットフォームを整備しました。オリンピック・パラリンピックで生まれた萌芽が育って、花開くかは、ここからにかかってるんです。ボランティア経験者ひとりひとりのなかに生まれた思いを大切にするだけでなく、行政や自治体がボランティアが広がるよう取り組んでいくことが大切です。
    最後にお伝えしたいのは、「人生100年時代」の「地域参加」において、ボランティアはとても相性のよい活動です。ありのままの自分でいられる、共通の目的がある仲間を得られる、そして人生に、4つのLという彩りをもたらす。
    なので、まずはボランティア活動に飛び込んでみてください。そして、楽しかったら仲間を誘ってください。企業の方々は、日本社会の中でボランティアを奨励するように、ポジティブなメッセージを積極的に発信していただきたいです。そして、東京都や自治体のみなさんには、今生まれている様々なボランティアに対する前向きな思いが長く広く、広がっていくような支援策を行っていただけるといいなと思っています。

    嵯峨:ボランティア参加率を世界で見ると日本は少ない。さらに日本の中で見ると東京が少ない。しかも会社員の参加が少ない…と、畳み掛けるように分かってきましたね。

    木下:私がスナックをやっているなかでも、ありのままで話せる関係性というのが実は大事だし、一方でそういう人のつながりが少ないって仰っていた部分は、実感します。本音で話してるだろうなと思うことを話している人に「それ会社や家族とか周りの人に話してるんですか?」と聞くと、「周りの人なんかに言えるわけないじゃないですか」みたいに言う人が凄く多くて。周りの人に話せないのに赤の他人に話すんだ! という驚きがあったりするんですけど、それだけ近い人とつながりづらいっていうのがあるんだなと。やっぱり数字で見るとびっくりしますね。

    地下:私は関西人で、阪神淡路大震災の時に中学生で、その時にボランティアの方が活動をしている場面を本当にたくさん見ていたので、関西のボランティア行動者率がすごく少ないということに衝撃がありまして…やはり社会全体で働き掛けていかないといけないんだなと思いました。

    嵯峨:東京オリンピックをきっかけにボランティアを始めたという人はかなり多いと思いますけれど、この基準をしっかりと次に繋いでいくことが、非常に重要ということですね。
    さて、次は、木下さんの出会った人々の “ひきだし”から、いろいろなエピソードをいただければと思います。

    社会人に必要な「3つの居場所」、ライスワーク、ライフワーク、ライクワーク

    木下:はい、私は、昼間だけ開店してる「昼スナックひきだし」というのを、5年ぐらいやってるのですが、お酒飲みたい、飲ませたいとかじゃなくて、思いがけない人と人とのつながりを作れないかなと思ってお店をやっているんです。最近は「セレンディピティ」とかって言い方もしますが、やっぱり会社内でのつながりしか持っていない方が多いなと感じます。「副業とか兼業とか、そういうことをやっていきたい」「やりたいんだけれども、どうすればいいかな」みたいな話もよく聞きます。でも、本当に会社と家の往復しかしていない人にとって、ここに来るっていうのも大きな一歩だとは思うんですけれども、いきなり副業や兼業っていうのも、やっぱり難しいだろうなって思うことがあります。
    実は私も、もう少し若い時でしたけれども、サービスグラントを介してプロボノを何回かやったんですよね。その時の経験がすごく面白かったし、普通に生活してたら絶対繋がらないだろうなって思うような人とつながる機会があったりして、すごく自分の中に残っています。なので、まず副業とか兼業とか言う前に、一番手っ取り早いのはそれこそボランティア活動で、「ボランティアに参加をして、人とのつながりをまず作ってみたらどうですか」みたいな話をしたりすることが多いですね。最近はそういう活動をされてる方も多くなってきており、例えば「実は私、三鷹でおじいちゃんおばあちゃんにスマホを教えたりしてるんです」とかっていう方がいらっしゃったりするんです。すると、「面白そう。私、三鷹に住んでないけど行ってもいいですか?」みたいな話になったりする。一度行ったら、「もしかしたら自分の自治体でもやってるかもしれない」と、つながりが少しずつ広がったりしてるんですね。
    ボランティアって他者のためにもなるし自分のつながりも増やすし、すごく有効な手立てだなと思ったりしてるんです。
    で、私はスナックのママとしての仕事だけじゃなくて、ミドルの世代に向けて、企業で研修をやらせていただいたり、個人的なセッションをさせていただいたりもしています。人生100年時代をいきいきと暮らせるように考えよう、みたいな話です。
    その中でもよくお話ししているのが、『3つの居場所』を持とうっていうことです。先ほど、中村さんのお話にも『4つのL』というのが出てきましたけど、私の方は3つです(笑)

    まず「ライスワーク」ですが、みなさん“やれること“や“やるべきこと”の場所ってありますよね。お金を稼ぐっていうだけじゃなく、いろいろな役割がみんなあって、生活のメインになる場所です。それ以外に、あと2つ居場所があるといいよね、と思っていて、その2つ目が「ライフワーク」です。
    まさにこの辺にプロボノとかボランティアが入ってくるかなと思っていますが、収入にはその時点ではつながっていなくても、いつか、もしかしたら何かのきっかけでつながるかもしれないところです。自分の学びたいこと、興味があること、貢献したいこともあるかもしれません。
    もう1つの「ライクワーク」は、単純に自分が楽しいとか好きとか思えること。例えば私くらいの世代だと、おやじバンドを始めたりする男性がいたり、ツーリングとか。そういう本当に好きなもので集まるコミュニティです。
    この3種類のコミュニティを持と始めると、それぞれが繋がっていって、相乗効果が生まれていくんじゃないですか?という話です。
    でも、やっぱり一番見つけづらいのがこの「ライフワーク」だと思うんですよね。本当にちっちゃいきっかけでいいと思うんです。副業や兼業となると、どうやったらこれお金になるかとか考えて、なかなか動けなくなっちゃう人が多いと思うんですけれども。例えば、「子どもが好きだから子どものために何かやってあげたい」とか「子育てをしているお母さんが大変そうだから何かできないかな?」とか。ほんのちっちゃいきっかけと、「もうちょっとこういう風に良くなったらいいのに」といった、ほんのちっちゃい課題意識をきっかけに、そういうことをやっている人のお手伝いをするところから始めたら良いんじゃないかなと思っています。
    そういう場ができてくると何がいいかと言うと、自分の新しい発見ができることです。
    例えば、1つ目の場所では、教える側だけれども、2つ目の場所ができたら、教えてもらう側になったり、ある場所では助ける自分だけれど、ある場所に行けば助けてもらう自分になったり。自分の多面性が、場所をたくさん持つことで広がっていくんじゃないかと思っているんですね。
    異なる領域とか人とか、今までのベースになっていたものと違うテーマとつながると、新しいチャンスが広がるんだと思います。

    私のお店に来る人見ていても、わらしべ長者みたいな感じで人やコトが広がっていく事があるんですよね。

    “ちゃんとやんなきゃいけない病”から抜け出そう

    話が戻りますけれど、副業しなきゃ、兼業しなきゃ、探さなきゃ、キャリアに繋げなきゃ、なんていう風に、眉間に皺を寄せて一生懸命考える暇があったら、自分が興味あることでちょっとだけお手伝いして、ありがとうっていう言葉をもらってみる。それをやり始めると自然にその後どんどん色んなことがつながってくるんじゃないかって、周りを見ていても思います。

    東京ホームタウンプロジェクトの支援先、参加者、協力団体などをご紹介します。

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