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    東京ホームタウンSTORY

    2025年の東京をつくる 東京ホームタウンSTORY

    東京ホームタウン大学講義録

    いくつになっても、いきいきと暮らせるまちをつくる
    2015年度総括イベント開催レポート

    東京ホームタウンプロジェクト 総括イベント パネルディスカッション
    パネルディスカッション
    パネリスト: ねじめ 正一 氏 上野 千鶴子 氏 牧野 益巳 氏 堀田 聰子 氏
    2016年5月30日

    開催日:2016年 2月 18日(木)
    会 場:日経ホール(東京・大手町)
    来場者数:460名
    パネリスト:
      ねじめ 正一 氏(作家・詩人)
      上野 千鶴子 氏(立命館大学特別招聘教授/東京大学名誉教授)
      牧野 益巳 氏(日本マイクロソフト株式会社 会長室業務執行役員)
      堀田 聰子 氏(国際医療福祉大学大学院教授)
    モデレーター
      嵯峨 生馬 (NPO法人サービスグラント代表理事)

    「東京ホームタウンプロジェクト」の2015年度の取り組みを締めくくる総括イベントでは、来るべき超高齢社会・東京に向けて、多様な主体の参画による地域づくり・社会の仕組みづくりをテーマに活発な議論が展開されました。4人のパネリストによる示唆に富んだ発言が飛び交ったディスカッションの様子をダイジェストでお届けします。

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    2015年度総括イベント・パネルディスカッション

    いくつになっても、いきいきと暮らせるまちをつくる


     

    自分が思うような生き方を、どこで実現するか?

    ―― 団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり、医療や介護のニーズが逼迫する状況、これを「2025年問題」と呼んでいます。これから向こう10年間、東京をはじめとする大都市部は、急速な高齢化という大きな課題を抱えています。この課題や背景についての認識共有から入っていきたいと思います。

    panel_top2堀田氏:年齢階級別の人口の推移を見ると、全国的には85歳以上がぐっと伸びていきます。複数の病気や障害とつきあい、介護や医療等のサービスを使いながら暮らす方々が増えることを意味しています。そして死亡者数のピークは2040年と予測されています。

    どこで人生の最期の時を迎えたいかと尋ねると、自宅やなじみある地域でという希望が多いですが、実際の死亡場所は、8割が医療機関。家で亡くなる人は10数%ぐらいです。自分が思うような生き方、納得できる生き切り方をどう実現するかということは、私たちすべてにとってチャレンジです。 

    上野氏:「年寄りは田舎に行こう!」と言われています。ですが、今の年寄りは田舎がイヤで出てきた人も多いのではないでしょうか。私は、年寄りが都会で生きていくメリットは非常に大きいと思っています。理由はいくつもあります。雇用者比率が高く、年金でそれなりの生活ができること。持ち家率が高いこと、婚姻率が高く、婚姻の安定性が高いこと。さらに、首都圏でも空き家率が11%と高いこと。これまでの高齢者とこれからの高齢者は非常に違います。

    高齢者は、フローもストックもあり、かつ、暮らしを支える医療、看護、介護、支援の選択肢が地方よりはるかにある。移動コストがかからない。そういう意味では、都市の高齢者の方がいろいろな意味で有利な環境にあります。

     

    高齢者の暮らしを、地域やNPOがいかに支えるか?

    ―― 都会で、在宅で、お母様の介護を経験されたねじめ先生にお聞きしたいと思います。 

    panel_mrNejime1ねじめ氏:自分自身が67歳になりました。弟が同居、私がよそから通っていましたが、10年ぐらい前におふくろに右手右足のマヒが始まったようで心配になって弟にいろいろ言ったら、大ゲンカになりました。「よそ者の兄が急にやってきて何を言っているんだ」と。まず、そこで弟やその家族との確執が始まりました。俺の言うことは全部正論に聞こえるらしくて、本当に嫌そうでした。

    介護というのは、家族とのぶつかりがこんなに激しいものかと感じました。だんだんモノが言えなくなっていくんです。そうしているうちにおふくろはだんだん悪くなっていく。そのうち、突然、認知症が現れました。

    堀田氏:日本とオランダで、中重度の認知症で一人暮らしの方が、自分と周囲でどのように役割分担して過ごしていらっしゃるかの調査をしたところ、日本は、多くの場合に家族関係がどこか壊れてしまっていました。オランダではそれはありませんでした。国際比較調査では、日本では、親の介護が必要になったらちゃんと見たいという割合が、オランダや北欧等より高いといわれます。子・家族として介護しなければという規範意識が高いからこそ、家族同士がぶつかるのかもしれません。オランダは18歳で親元を離れて自立する子も多く、親の面倒を子がみなければという義務感は高くない。でもその分、別居しても行き来しながら壊れることなく、大人の関係で人生の最終章まで対話と交流が続くのではないかといわれたことがありました。

    ―― 介護を家族だけが背負わないようにするためにも、NPOや地域活動団体の活動があると思います。実際のところ、ねじめ先生ご自身は、地域やNPOとの関わりはお持ちですか?

    ねじめ氏:物書きと同時にねじめ民芸店というお店をやっていますが、買い物をした後に、「私、どこに帰ればいいのかしら」という人が、ここ4~5年で増えてきました。どう対応していいのか。お巡りさんに頼んだりするんですが、そういう時、NPOの人がいて、対応の仕方を教えていただけたらと思うことがあります。でも、正直なところ、NPOの存在については、まだちょっと遠いかなという感じが私にはあります。これから商店街では、そういうお客様が増えてくると思います。商店街で小冊子などを作ってお客様の対応などちゃんとやっていかないとダメかなとも思います。

    上野氏:私、「地域」ってキライなんです。東京の人はそうつながりを深くしすぎない傾向があると思うので、お勧めしたい言葉が、選び合う縁(えにし)で「選択縁」。近くにいるからではなく、趣味や志によるつながりのことです。絆は縛るもの、縁は結んだりほどいたりできるもの。そういうゆるやかなつながりがいくつもあって、人とのつながりと支え合いができれば、「地域」と言わなくてもいいのではないでしょうか。

    堀田氏:国内外各地で、認知症に優しいまちづくりが始まっています。日本の認知症サポーターも世界的に知られていますが、最近新たに注目を集めているのが、英国の認知症行動連盟(ディメンシア・アクション・アライアンス)と呼ばれる取り組みです。地域の認知症の人とその家族の暮らしのなかでの経験をもとに、何がクリアできればその地域で認知症とともによりよく生きていけるのかを探り、具体的な目標を設定します。その「志」を共有する人たちが認知症の人を中心にアライアンスに参加して、それぞれアクションプランを立てて推進します。認知症の人を中心に、行政、企業、NPO、さまざまな主体が、一つの「目標共同体」を形成するわけですね。

    東京ホームタウンプロジェクトの支援先、参加者、協力団体などをご紹介します。

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