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    東京まちかど通信

    第9走者 本多桜子さん

    中島篤さんの写真第8走者
    杉並区社会福祉協議会
    中島篤さん
     本多桜子さんの写真第9走者
    文京区社会福祉協議会
    本多桜子さん

    文京区社会福祉協議会で、地域福祉コーディネーター兼生活支援コーディネーターとして、住民のみなさんの思いを大切にしながら、地域の課題解決のお手伝いをしています。

    ——ふだんの仕事について教えてください。

    自転車で出勤の写真 私は、文京区社会福祉協議会(以下、「文社協」という。)の地域福祉コーディネーター兼生活支援コーディネーターとして、大塚地区を担当しています。大塚地区は、椿山荘や護国寺など、敷地内に緑が多いスポットが多く、閑静な住宅街も広がっている地域です。 私たちの仕事は、大きく二種類に分かれていて、支援を拒否している方や制度の狭間で支援が行き届いていない方への個別支援と、地域の方たちが自ら課題として捉えていることを解決するためのお手伝いをする地域支援を行っています。 個人支援では、「地域で孤立していて話し相手がいない」、「家族の介護に負担を感じている」、「子どもが不登校になっているので、外とのつながりを何とか作りたい」、「近所で一人暮らしのおばあちゃんが心配」といったご本人やご家族、近隣の住民の方たちの心配ごとやちょっとした気づきをきっかけとして、ご相談をお受けし、支援団体をご紹介したり、ハイリスクケースの方へは、専門機関へのつなぎ役になったりします。 地域支援では、「子ども食堂を開催したい」、「空き家を改装して地域の活動に利用してほしいが、どうしたら良いかわからない」、「サロンの立ち上げや見守り活動の基盤づくりをしたい」といった地域のニーズを受けて、それを実際の活動につなげるためのお手伝いをしています。文京区では、本駒込の「こまじいのうち」や千石の「風のやすみば」などの活動が有名ですが、私が担当している大塚地区でも、今年江戸川橋の多世代交流サロン「縁が和(えんがわ)」が始まりました。「子どもが地域のおじいちゃん・おばあちゃん世代と一緒に遊んでもらえる場所が欲しい」という住民の方の思いから生まれた取組みなんです。

    ——この仕事についたきっかけは何ですか?

    仕事場の写真 私は父の転勤が多くて、小さい頃から引っ越しを繰り返していたんですが、友人には当たり前にある地元が自分にはないことに寂しさを感じていました。そんなとき、学校の先生から、地域のボランティア活動として、当時住んでいた板橋区の「ジュニアリーダー」という青少年健全育成を目的とした地域活動を紹介してもらいました。小学生から高校生までの子どもたちが、年間を通して地域のいく つかのイベントを運営側のスタッフとして手伝うんですが、そのとき初めて、地域のおじちゃんやおばちゃんと言える方たちとふれあう機会がありました。このジュニアリーダーでの経験が地域活動の面白さを知った最初のきっかけでした。 大学では、総合政策学部で、地域の人が公立の教育に参画するコミュニティスクールの研究もしました。就職に当たっては、新卒で、何のスキルもなく地域活動に入っていくよりも、社会人としての経験を積みたいと思い、将来的に転職することを前提に、民間企業に就職して、会社の採用や人材育成の仕事をしていました。その後、20 代後半のときに、転職を決意し、2011年4月に非常勤職員として、文社協へ入職しました。 転職期間中、当初は、NPOを立ち上げたり、地域のコミュニティスクールに入ることも考えたんですが、ある就職相談窓口で対応してくれた職員の方が、「君がやりたいことができるのは、現場に近い区市町村の社会福祉協議会(以下、「社協」という。)の仕事じゃないかな」とアドバイスしてくれたんです。当時はまだ、社会福祉士の資格を持っていなかったので、入職したタイミングで資格試験の勉強を始めました。

    ——入職後はどんなお仕事をされてきたのでしょうか?

    最初は文京ボランティア・市民活動センターに配属され、そこで一年間勤務した後、翌年度は権利擁護センターに異動しました。その後、出産のため、産休・育休を経て、2013年度に社会福祉士国家試験と文社協の常勤職員試験を受けて合格し、2014年4月からは、常勤職員として勤務しています。2015年4月からは、大塚地区の地域福祉コーディネーター兼生活支援コーディネ―ターとなり、現在に至ります。 入職した2011年4月は、ちょうど東日本大震災が発生した直後だったので、文社協に入って2週間目には、「被災地を支援するためには、現地を知らなきゃいけない」と、先輩方に誘っていただいて、福島県の被災地支援に行きました。被災地から戻った後も、東京への避難を余儀なくされた方々への支援の一環として「おちゃっぺ会」という隔月のイベントを実施したり、HPで被災者に必要な物品を募集したり、被災地支援に行った人たちを集めたパネルディスカッションをしたり、文京シビックホールの 1階のギャラリースペースで写真展を開催したりと、毎月のように新しい企画を行っていて、そういう先輩方の活動を手伝いながら、「今、地域の方が困っていることから仕事を生み出していくのが私たちの仕事なんだ」ということを学ぶ、貴重な一年目になりました。 二年目には、権利擁護センターに異動し、高齢者の金銭管理支援を担当しました。判断能力に不安のある方を対象に支援をするんですが、そういう方たちの中でも、人とのつながりが少ない方が、詐欺などの被害に一番遭いやすいんです。実際に、支援対象者のお宅を個別訪問しながら、関係性を築いていく中で、気軽に相談できる相手がいなくて、騙されたり、困難に陥っているというケースが多いことを知りました。この権利擁護センター時代の経験が、現在、コーディネーターとして、後方支援をする上での基礎にもなっています。そんな中、娘が生まれて、子育てと仕事を両立するめまぐるしい日々が始まりました。

    ——子育てをしながら仕事にも精力的に取り組むのは大変だと思いますが、仕事を進める上での工夫などはありますか?

    子どもの関係で突然休まなければいけないこともあるので、職場のみんなとできる限り、公私ともに現在の状況、悩んでいることを積極的に共有することにしています。また、私はまだ福祉の分野の経験が浅いので、先輩職員や関係する専門機関で相談できる人を作るようにしています。 子育ては大変ですが、自分が母となったことで、地域を支援する上でも気づかされたことが多いです。子育てで孤立しやすい母親の気持ちや、親に余裕がないと子どもの尊厳を守る親子関係を築いていくことが難しいことなど、自身の経験からも実感を持って理解できるようになりました。そういう親御さんたちを孤立させないためにも、親子でふらっと立ち寄れて、ご近所の方たちと話ができて、「お母さん頑張ってるね」って言ってもらえるようなつながり、居場所が、地域には必要だと改めて思っています。

    ——本多さんにとって、この仕事のやりがいは何でしょうか?

    自分で計画を立てて、形にしていくことができる仕事なので、自由な部分にやりがいを感じています。地域の方との仕事なので、思ったようにスムーズに進むことばかりではありませんが、地域にまだない事例を扱うことが多いので、地域の方や職場の同僚と一緒に、どうしたら良いかをゼロから考えていくこと、地域の方とのつながりを新たに開拓していくことにも面白さがあります。

    ——仕事の上で難しさを感じることはありますか?

    難しさを感じるのは、個人支援において、ご本人が支援を拒否している場合ですね。例えば、ご近所の方が、「あのおばあちゃん、あのままじゃ死んじゃうんじゃないかしら」といった親切心から専門機関の窓口へ相談に行ったとしても、ご本人が支援を拒否している場合、権利擁護の観点から「ご本人がやると言わない以上、それは押し付けになることもあります。」と言われてしまうこともあります。そうすると、住民の方は「余計なお世話だったかしら…。」と、嫌な気分になりケースからは離れていってしまう。しかし、今後地域での緩やかな見守りが期待されている中で、ご本人の思いや希望を第一にしつつ、心配してくれている近隣の方の心配や苦情をエンパワメントしながら、専門機関の立場や見解と調整し、まとめていくことに難しさを感じます。

    ——この仕事を目指している方へのメッセージをお願いします。

    地域福祉コーディネーターや生活支援コーディネーターの仕事は、支援を求めている方や地域のニーズに耳を澄ませることがすごく大切です。自分がコーディネーターとしてやりたいことではなくて、相談を受けた相手が何を望んでいるのか、地域がやりたいことは何なのかという原点を忘れずに、活動を進めなくてはいけません。住民の方自身に主体性やニーズがなければ、どんなに良い事業を立ち上げたとしても続かないんです。だからこそ、地域の方と一緒に考えて、相手のニーズに向き合える人材が今の福祉の現場には必要だと思います。それから、地域で活動していくためには、自分を変に大きく見せたりせず、だからかと言って卑下することもなく、自分の弱さも含めてありのままを見せられることも大切だと思います。私自身、そうありたいと思いますし、ぜひそういう人と一緒に地域福祉の現場で働けたら良いなと思います。

    職場の方から見た本多さん

    佐藤係長の写真佐藤係長

    本多さんは、2015年4月に私たちの地域福祉推進係に配属されたんですが、住民の方たちの心を掴むのがとても上手いコーディネーターです。彼女は昨年度、初めて大塚地区の担当になったんですが、彼女の人柄もあり、地域の空気をどんどん掴んでくるんです。そういう技術は普通、経験がものを言うと思いますが、本人の努力の成果でもあり、プラスアルファとして、コーディネーターとしてのセンスが、すごくあるんだと思います。

    上村さんの写真上村さん

    本多さんは、社協歴でいうと私の1年先輩で、昨年度から一緒にお仕事をさせていただいています。一言で言うと、公私共にバランスがとれていて、仕事もバリバリ、子育てもバリバリやっちゃう頼りになる先輩。仕事上、調整相手に上手く伝わらないことがあって悩んでいると、すごく冷静に判断してアドバイスやフォローをしてくれますし、さりげなく進捗管理をしくれたりします。お子さんの都合で時間的に制約される部分もあるはずなんですが、実際は、こなしている仕事量も多く、質もすごく高い。学ばせていただく部分が多いので、同じ職場で一緒に働けて良かったと思える先輩です。

    インタビューを終えて

    若手が多く活躍する文社協の中でも、一際明るくいきいきと働いていらっしゃる本多さん。笑顔が素敵で、働く女性のロールモデルとなるような方でした。

    本多さんの職場はこちら

    文京区社会福祉協議会

    文京区社会福祉協議会は、社会福祉法に基づき「地域福祉の推進」を目的に組織されている非営利の民間団体です。「だれもが安心して住みつづけられるまちづくり」のため、様々な事業を通じて地域福祉の向上と充実に努めており、地域住民が主体的に取り組み支えあえるまちづくりを、住民、民生委員、児童委員、行政、地域福祉関係者・関係団体等と一緒に進めています。

    (公開:2016年10月21日)

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