東京ホームタウンSTORY
東京ホームタウン大学講義録
データから読み解く、地域参加が豊かにするライフキャリア
「東京ホームタウン大学2022」
オープニングセッションレポート
ページ:5 / 6
日野市に見る、地域の現状
地下:まず、日野市ってどこなの?って思ってらっしゃる方もいるかもしれないですが、東京都の大体真ん中あたりです。多摩川と浅川がありまして、緑と水が豊富です。夏は子どもたちが朝から川遊びをしていたり、用水路がいたるところに流れていたり、実は東京都で初めて未来都市に選定された場所でもあります。とても美しい市です。
私が日野市に来た時に感じたのが、1990年代から市民活動が盛んだったこともあり、地域の人と触れ合っていると、地域への愛着を持ってる方が本当に多いなということです。
ここからはちょっと硬い話になるのですが、2025年には団塊の世代が75歳以上になる事はよく知られているところなんですけれども、高齢者が本当に増加してきています。日野市は都心に通う方々が暮らすベッドタウンとして栄えてきて、特に丘陵地を開発して住宅を建ててきたんですけれども、その地域に高齢者がとても増えてきていて、一人暮らしや高齢者のみの世帯が増加しています。
老年人口はどんどん多くなってきていまして、生産年齢人口と年少人口は減少しています。我々は毎年、「はつらつ・あんしん調査」という高齢者の実態調査をやってるんですが、やはり地域性というものがあります。高齢者のみや一人暮らしの方も増えているなかで、1日に挨拶を交わす友人がいるか、家を行き来する友人がいるか、などを見ながら、じゃあこのあたりに地域活動を増やしていったらいいんじゃないかとか、支援施設を作ったらいいんじゃないかとかを考えているところです。
そして、介護保険制度についてですが、20年前と比べて要支援者要介護の方が5倍に増えています。
40歳以上の方がこういった高齢者の方を支えているというところで、喫緊の課題となっています。介護保険外のサービスとしても様々なことをやっているんですが、我々が重要視しているのが、住民主体の活動です。例えば今やっているのが、見守り支援員さん。住民の方にボランティアになっていただいて、無理のない範囲で、見守りたい、見守ってほしい人を定期的に訪問していただいたりしています。あと、地域でふれあいサロンという、高齢者の方がお話ししたりイベントをしたりするところの運営者になって頂いている方もいます。まさに今日参加していらっしゃる50代ぐらいの方が仕事の合間にお手伝いをしてくださったり、40代や30代の方が、サロンのホームページを楽しんで作ってくださったりもしています。
また、地域で認知症の方を支える「認知症サポーター」というのを聞いたことのある方もいると思いますが、そのサポーターの方の活躍の場を生み出そうという「チームオレンジ」という動きがあります。認知症になっても、施設に入るとか、ただ家にいるっていうだけじゃなくて、今までの暮らしを楽しみたい。例えば、町田市の取り組みなんですけど、すごくお酒が好きな高齢者がいて、飲みに行きたい。でも飲みに行っても道に迷ってしまって帰れないし、お金の精算もできないっていう時に、地域の方が、その人を支えるチームオレンジをつくって、一緒に行って精算するとか、そんな動きも始まっています。
「地域包括ケアシステム」ってみなさんよく聞く言葉かと思うんですけれど、高齢者を支える上で医療だけ、介護だけ、保険だけ、という縦割りじゃなく、インフォーマルなものも含めて包括的に支援を提供して支えていこうという地域のシステムづくりが「地域包括ケアシステム」です。その中でも、介護予防と生活支援というのを、住民の方が主体となってつくっていけるようにしようということを最近行っています。
必要なのは、ちょっとしたニーズにこたえる地域での支えあい
私たちもコロナウィルスの影響をすごく懸念していまして、影響調査を一年に一度ほどやっているんですけれど、高齢者の7割で外出の機会が減り、4割の方で歩く速さが遅くなったり体の変化を感じ取っていて、3割が不安やストレスを感じている。うつ症状になられる方とかも地域で多くなって、その相談も多くなってます。でもじゃあどんな場所が地域で必要なの?っていうところなんですけれども、困った時に相談できる場所や人、ふらっと行ってふらっと話したい、そこが本当に65歳から90歳まで、みなさん求められている。あとは買い物支援のニーズもとてもあります。
先日、地域活動デビューをした人などをお呼びして、地域の共助の大切さや楽しさを伝える「戦略的おせっかい」という講演会をしました。そこで取ったアンケートでは、サロンなどの交流や居場所作りをしたいという方が多くいらっしゃいました。
でも、やってみたいけどなかなか飛び込めないし、一緒にできる仲間がいなくて、お金もない、活動場所がない…といろいろな課題が出ていました。こういうところを解決していかないといけないと感じています。
- 「地域参加のトビラ見本市」レポート
- 「東京ホームタウン大学2024」分科会レポート
-
「東京ホームタウン大学2024」メインセッションレポート
2025年、そして、その先へ。超高齢社会・東京のこれまでとこれから - 【参加者の声】スキルに自信を持てた宝物のような経験。まちの見え方にも変化が
- 【参加者の声】異業種のチームメンバーから学び、楽しめたチャレンジ
- 【参加者の声】気軽に参加できて、新しい社会の一面も見られる機会に
- 「東京ホームタウン大学2023」分科会レポート
-
地域づくりの将来像を共有するために〜目標を言語化する方法
「東京ホームタウン大学2023」
基調講義レポート -
楽しみながら支え合う〜心を動かす言葉の力
「東京ホームタウン大学2023」
オープニングトークレポート - 【参加者の声】団体さんへのリスペクト×私だからできること