東京ホームタウンSTORY
東京ライフシフト
【レポート】東京ホームタウン「地域活動アイデアソン」
2021年7月24日 オンライン開催
-ゲスト-
広石 拓司氏
<株式会社エンパブリック代表取締役、ソーシャル・プロジェクト・プロデューサー>
井上 温子氏
<NPO法人ドリームタウン代表理事、板橋区議会議員>
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東京ホームタウンプロジェクトでは、7月24日、東京ホームタウン「地域活動アイデアソン」をオンラインにて開催しました。
「人生100年時代」を迎えるにあたり、マルチステージ型の人生戦略を最も“積極的”に叶える選択肢は、自分自身で地域活動や居場所を立ち上げてみること、かもしれません。
「東京のまちで、何か新しいことを始めてみたい」
まだ具体的ではなくても、その思いや自分のできることを持ち寄り、お互いのアイデアを共有したり、ふくらませたりする場として、ワークショップ形式で開催した「地域活動アイデアソン」の模様をお伝えします。
<目次>
1.地域包括ケアシステムとは?
2.オープニングトーク① 広石 拓司氏「自分の思いから始まる地域の力」
3.オープニングトーク② 広石 拓司氏×井上 温子氏“
新たな地域活動の「立ち上げ」をめぐるあれこれ”
4.ワーク① やってみたいことの共有
5.ワーク② テーマ別ディスカッション
6.シェアリング
◆ 今後のプログラムのご案内
1.地域包括ケアシステムとは?
(認定NPO法人サービスグラント 代表理事 嵯峨生馬より)
「地域活動アイデアソン」前半は、地域活動の「立ち上げ」のヒントを学びます。はじめに「地域包括ケアシステム」の概念と、企画の主旨についてお伝えしました。
嵯峨:
これからの長寿社会を迎えるにあたり、医療・福祉を越えて、地域の方々がお互いに助け合う仕組み=「地域包括ケアシステム」の構築が推進されています。
その背景には、2025年問題と言われますが、団塊の世代が75歳以上となり、本格的な超高齢社会となるなかで、介護の担い手が圧倒的に不足しているという課題があります。そこで、
①活動的生活の継続による介護予防の強化
②専門職以外の生活支援の担い手の確保
への生活圏域単位での取り組みが必要とされているのです。
そこで、みなさまの視点やアイデアを持ち寄り、地域活動の在り方や、新しい活動の立ち上げについて考えてみよう、という企画が今回の「地域活動アイデアソン」です。
「自分」を主語に、「自分だったら何をやってみたいのか」と心の声に耳を傾けながら、ご参加いただければと思います。
2.オープニングトーク① 広石 拓司氏「自分の思いから始まる地域の力」
広石氏より、このプログラム背景となる「地域包括ケアシステム」についての実践的なエピソードや、新しい活動を立ち上げる際の最初の一歩について、お話しいただきました。
広石:
超高齢社会を迎えるにあたっての地域づくりとして「一人ひとりの暮らし方」を大切に考えていくなかでは、私は、無理して「地域にいいことをしよう」と思わずに、自分の心のなかにあるものを大切にすることが必要なのではないかと思っているんですね。
「地域包括ケアシステム」としては、医療・介護に加えて、生活支援・介護予防として、サークルやボランティア、NPO、町会自治会、老人クラブなどの活動が非常に重要視されています。「コミュニティ アズ パートナー」という考え方ですね。これは、専門職と一緒に、みんなで地域の健康を作っていくというものです。これから認知症800万人時代がやってくると言われているなかで、高齢者を「助けなくてはいけない相手」とする考え方では、もう難しくなってしまう。それに高齢者にも、まだまだ活躍できる、活躍したい方もたくさんいます。そうしたなかで、地域の人たちと一緒に情報収集、課題分析をして、これからの取り組みを計画していく必要が出てきたわけです。
住民の方々にとっても、地域への参画はいいことがたくさんあるようです。私が地域活動に参加されている方に伺った、あるエピソードをご紹介しましょう。
地域で体操の会をとてもアクティブに運営されている70代後半の男性なのですが、「大変ではないですか?」と聞くと「いやいや、俺はこの活動を死ぬまでやるよ」とおっしゃる。理由を聞くと、「5年ほど前に突然の入院を経験し、病気知らずだった自分も年老いてしまったんだ…と気落ちもして、退院後も寝込みがちになってしまった。でも、友人から『退院したなら、いつ活動に戻ってくるんだ』という電話をもらったのをきっかけに、『やっぱり一緒にやりたい』と活動を再開したことで、すごく元気になった。だから、自分のためにもずっと続けていきたい」と言うのです。
この電話は、お医者さんではできません。日頃からつながっている人が声をかけてくれたことが、この方の運命を変えてくれたわけです。社会参加しなくなると、活動量が落ち、食欲も落ち、筋力も低下してしまう。そうすると外に出たくなくなり…という悪循環になることを「フレイル=虚弱」と言いますが、高齢者だから支援される側、ではなく、一人ひとりが地域の中で活動・活躍の場を持つことが大切なんですね。
とはいえ、介護予防、認知症予防のために何かしなくては、と考えなければいけないわけではありません。専門職の人は、専門の視点でアドバイスをし、地域の皆さんは、いかに日々楽しく暮らすかを考えていけばよいと思うのです。その時に、少し先のことを想像して、仮に自分が要支援、要介護となったときに、今どうしておけば、社会とつながっていられるんだっけ?ということを考えてみられるといいですね。
そうしてアクティブな人たちがつながることによってネットワークが広く深くなっていくと、取り残される人が少なくなります。そういう意味では、顔の見える関係からつながっていけると良いのだと思います。
杉並区の取り組みで、「健康を取り入れた遊び」を考えようとしていたら、「それは楽しくないんじゃない?」という声が上がりました。じゃあ、どうすれば楽しいかと団塊の世代の方々に聞いたら、「例えば、地域でビートルズの会があったら行きたいかも」と言うのです。そこで実際にやってみると、20人くらいが集まり、それぞれの昔の思い出話で盛り上がりました。一人が「イエスタデイを歌おう!」と言うと、皆さん歌詞も見ずに歌い始めるんです。運営側が高齢者だからといって「ケアをしなくては」と何から何まで準備をしなくても、好きなこと、興味があること、やりたいこと、話したいことなら、自ら、継続的に活動ができることを目の当たりにしました。
ですから、みなさんもまずは自分の「欲しい場」を考えてみましょう。今ないものなら、作ってしまってもいいかもしれない。自分で作るのが大変だったら、一緒にやってくれる人を見つければいい。ぜひ、ご自分をパブリックに開いてみてほしいと思います。その時、規模とか、「ねばならない」は考えなくていいんです。まずは、楽しいと思えることを考えてみましょう。
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