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    東京ホームタウンSTORY

    2025年の東京をつくる 東京ホームタウンSTORY

    東京ライフシフト

    【レポート】東京ホームタウン「地域活動アイデアソン」


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    3.オープニングトーク② 広石 拓司氏×井上 温子氏
      “新たな地域活動の「立ち上げ」をめぐるあれこれ”

    板橋区高島平で2013年に空き店舗を使った多世代交流の場「地域リビング プラスワン」を作り、さらに板橋区内で2拠点の立ち上げを今まさに行っている井上さん。広石氏に進行いただき、井上さんの経験談や感じてきた思いについて、伺いました。

    広石:井上さんというと、「地域の人のためにすごく頑張っている方」という世の中のイメージがあると思うのですが、実際のところどうですか?

    井上:20代の時は「地域のために頑張ってる子ね」とすごく言われて、実はそれがうれしくなかったんですね。そういうことじゃないんだけどな、と。オーストラリアに一年いたこともあり、地域で異文化交流ができたら面白いなと思って始めた“場づくり”が、結果的に高齢者や障がいをお持ちの方に広がっていったという感じなんです。

    広石:地域づくりをしなきゃ! と始められたわけではなかったんですね。とはいえ、続けられている動機はどんなところにあるのでしょう?

    井上:やっぱり地域の人があったかくて、楽しいんですよね。大学を卒業してからは、近所に知り合いがいなかったのですが、今は、自宅から高島平駅まで行くまでに、たくさんの知り合いに会います(笑)。ちょっと嫌なことがあって飲みに行きたいと思った時、電話したら来てくれる人が、ずっと年上の方も含めていっぱいいる。実家みたいに落ち着く居酒屋があって、そこに若者数人で押しかけると、すごくたくさんご飯を作ってくださったりもするんですよ。

    広石:なるほど。東京では人のつながりやコミュニティづくりが難しいと言われるなかで、工夫していることはありますか?

    井上:ボランティアの方を最初から労働力として見ないことでしょうか。私自身が若かったころ嫌だったのが、町会のお祭りの設営の時だけに駆り出されたこと。今なら力仕事も重要なことだと分かるのですが…。なので、一緒に仲間として考えたり楽しんだりする相手だと考えることを大事にしています。

    広石:人手が足りないから入ってほしい、と言われると足が遠のいちゃうんですよね。一緒に楽しもうというのが大事なところですね。井上さんは、地域で何か始めてみたいけれど、何をしたらいいか分からないという人に、どうアドバイスしますか?

    井上:とりあえず、やってみれば、という感じです(笑)。子ども食堂が広がった時、どうやったらいいかという相談がすごく増えたのですが、とりあえずご飯を出せる場所を月一回でもいいから借りて、とりあえずチラシを配ったら、そこから得られることもあるからと。まずやってみるタイプです(笑)。

    広石:その「とりあえず」を何からやれば? と聞かれたらどう答えますか?

    井上:まず集会所を借りて、日にちを決めて、やりたいことを一緒にやってくれる仲間、知り合いを作ること。私の場合ですが、知り合いが多ければ、例えば家賃を払わなくてはいけないというリスクがあっても、声をかければ10人くらいはご飯食べに来てくれるかなと、なんとかなる自信があったんですね。知り合いがいないなら、まず知り合いづくりから始めると良いかもしれません。

    広石:社会福祉協議会に声を掛けたら、仲間になれそうな人をつないでくれることもありそうですね。一人でもふたりでも、あの人は一緒にやってくれるだろうと思えると心強い。

    井上:そうですね。一緒に当事者としてやってくれる人がいると、強いです。やっぱり一人だと大変なので。そして、仲間ができたら、動き出しまで間延びしてしまうと気持ちが冷めてしまいやすいので、小さくても何か行動を起こしてみることが大事ですね。

    広石:準備ができてから動こうとしてしまうと難しくなりがちだから、まず日付を決めて、そこでやれることを考えるのもいいですよね。

    井上:そして、自分がやりたいことをすること。私も店舗を借りる前は集会所を借りて、食の文化祭とか言って持ち寄りパーティーをやったり、地域の飲食店の空いてる時間帯を借りて、外国の方を招いて英会話教室をやって、自分が参加者になっちゃったりもしました。

    広石:イベントって、参加者よりも企画側に回った方が楽しいこともありますよね。自分が呼びたい人を呼んで、やりたいことができちゃう。つい「参加する側でいいです」って言う人多いけれど、企画側に回ってみると、そっちの方がずっと面白いということもよくあります。

    井上:その時は、英会話教室に通うお金がなくて、ご飯を食べながら英語を話せたらいいな、という気軽な発想からでしたね。それで地域のたまり場になって、英語講師のパート代が払えたら、お得だなって(笑)。農園を作ってみんなで野菜を作ったこともありました。そんなふうに、いろいろな活動をしながら知り合いが増えていって。

    広石:みんなでやった方が楽しいし、大変じゃないからいいですよね。
    井上:私は一人で毎日頑張るっていうのができないタイプなんです。地域リビングを作った時も、ご飯を出すところだから、私がご飯を作るのが得意だと思ってる人も多かったんですけれど、実は私は家事や料理がすごく苦手で。でも、高島平団地って一万戸あって、そこでそれぞれのキッチンで、それぞれの家族の分だけご飯を作っているんですよね。それを共有できたら、すごく楽で、すごく楽しいじゃないですか。

    広石:個々人でやっているなら、一緒にやったらいいこともありますね。

    井上:一緒にやることで効率的にできることもあったり、お友達ができて楽しかったりもしますよね。

    広石:あらためて思うのは、「一緒にやる」ということを、うまく自分の力にするといいですよね。自分で解決しなくちゃいけないじゃなくて、みんなで一緒にやってみたら、楽だし得だし、自分がやりたいことができる。自分一人でやろうとしたらハードルが高くなるけれど、ちょっと一緒にやってくれる人が見つかるとできるようになる。
    今日のアイデアソンのような場は、みんなが一緒に考えてくれる場ですから、気軽に自分の考えを話してみていただきたいですね。

    ⇁プロボノワーカーが「地域リビング プラスワン」の立ち上げ・運営のノウハウ等をまとめた『地域づくりの台本』

    東京ホームタウンプロジェクトの支援先、参加者、協力団体などをご紹介します。

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