東京ホームタウンSTORY
支援先レポート
2025年に東京が目指す「人」と「まち」の姿とは
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「支援される側」に住民を固定化しない
嵯峨:永沢さんが手がけた伴走支援で、これはよかったという例を教えてください。
永沢:私が最も時間をかけてお手伝いしたのが、武蔵村山市南部地域包括支援センターのプロジェクトで、地域サロンを最終的には武蔵村山市内に70カ所作りたい、その1つめを手掛けている活動でした。
すべて地域包括支援センターの職員が運営するのでなく、そのプログラムを受講した地元住民自身が講師となり、最終的には70カ所の主体的に運営をしながら継続していくということを目指しています。ここで感じたのは地域の人たちに主体的に行っていただける環境を作るためには「仕組みとルールを提供して、不要な手助けはしない」ことです。一人ひとりの住民が責任をもって行う、担い手側の人として意識を持つことを含めて、健康寿命の増進につながるのではないかということです。
地域の中で、より多くの人たちが選択できる場をたくさん作っていく、その仕組みの構築にはかなり工夫を凝らしていました。そうした展開はヒントになるのではと感じています。
西沢:広石さんもよく言うことですが「人はつながるためにつながれない」、何か共通の「やりたいこと」があるからつながりが生まれる。
広石:地域の人が自分たちで運営する中からコミュニティは生まれます。真面目な行政の人ほどサポートやサービスを提供しなければいけないと考えがちですが、そこをコミュニティに委ねることが大切です。
西沢:支援する側とされる側を固定しない。これは住民同士だと分かっていることです。行政や医療や介護の専門職がサービス提供者側の視点で地域に入り、せっかくの地域のつながり、顔なじみの関係を断ち切ることのないよう、十分に気を付けなければなりません。
広石:サービス担当者会議と、地域包括ケアにおける協議体や地域ケア会議などがまだ混ざっているところがあります。地域系の会議ではどうコミュニティを作るのかが重要なテーマだと思います。
プロボノ活動で起きる「他人ごとの『自分ごと』化」
西沢:プロボノによる地域貢献活動の継続・発展に向けた支援についてお願いします。
嵯峨:地域にさまざまなサポートや選択肢があることが豊かさにつながります。地域団体はそれぞれ草の根の小さな組織であることが多いものの、少しずつ力を付けてもらうことで、助かる人は増えていきます。
地域団体の基盤強化のために、ビジネスで経験を積んでいる人が「プロボノ」という形で現場に入っていく。全く異質な両者が出会うことで地域の団体が強くなることを応援する、それがプロボノ活動だと思っています。
支援プログラムは、長期型のホームタウンプロボノと、短期型のプロボノ1DAYチャレンジがあります。成果物としては、文京区のコミュニティカフェのパンフレットを作ったり、豊島区の子ども食堂のフェイスブックページを作った例など、多様なプロボノ支援を提供してきました。
そういったものがあることで、今まで伝わっていなかった人に伝えることができる。伝わった結果としてその場所に足を運ぶ人が増え、新しい支援が集まって来る。そうしたことにつながるケースがあります。
最もチャレンジングではありましたが大きな成果が出たと思っているのは、稲城市矢野口でこれまで10年間続いてきた介護予防自主グループに対する支援プロジェクトです。
プロボノチームが、自主グループの活動をきちんと評価し、価値の可視化をしたことで、稲城市側にも活動の貢献度を認識してもらうことができました。
2年間で、48のプロボノプロジェクトが終了しました。一つひとつはまだ「点」でしかありませんが、その点が輝くことによって「こういうやり方がある」ということが共有されるようになってきています。
西沢:プロボノによって、地域のことを考える機会のなかった人たちが当事者性をもって地域課題を実感するようになる。参加人数も増えていますし、すごいことだと思います。
嵯峨:プロボノワーカーからは、今までは高齢者、福祉といった課題を考えたことがなかったけれど、これは自分の問題だったと後で気づいたという感想を聞きます。「他人ごとの『自分ごと』化」ができた人が多いのではないでしょうか。
西沢:地域活動をやっている人たちのことを知っておくということは、東京で働いている人たちにとっても行動変容が起きるくらい大きなものだと思います。
嵯峨:両者にとって学びがありますね。
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