東京ホームタウンSTORY
東京ライフシフト
将来像を描き、社会に目を向ける機会づくりが、会社への信頼につながる
富国生命保険相互会社
人材開発本部・CSR推進室
- お話いただいた方々 -
富国生命保険相互会社 人材開発本部 副部長 坂井 賢一郎さん
富国生命保険相互会社 人材開発本部 課長 吉本 剛さん
富国生命保険相互会社 CSR推進室 室長 増山 明宏さん
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団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年に向けて、住民が主体となって介護予防や生活支援などに取り組む「互助」の活動の強化を目的とし、都内各地で活躍する地域団体・NPOの活動基盤強化の支援などを行う「東京ホームタウンプロジェクト」。人生100年時代を前に、中高年世代に向け、地域団体・NPOへのプロボノ活動を通じて、自身のキャリアを振り返り、リタイア後の社会参加を考える「ライフシフトプログラム」という研修プログラムの提供等の取り組みも推進しています。
東京都内にはすでに、従業員の「ライフシフト」「パラレルキャリア」といった社外でのキャリア形成を後押ししている企業があります。そこで、「東京ライフシフトカンパニー」として、都内企業・職場の魅力的な事例を紹介します。第1回は富国生命保険相互会社(千代田区)にお伺いしました。
社員が「人生100年時代」を意識し始めた
―人生100年時代という言葉が急速に浸透してきましたが、社員に対してどのような支援をしているのか、人材開発の立場から伺えればと思います。
吉本さん:当社では、まず、50歳以上の社員には、希望者を対象として「ライフプランセミナー」を行っています。退職金の金額や、夫婦で年1回海外旅行に行った場合どうなるかといった、お金の面での将来設計を行っています。
最近、このライフプランセミナーについて、大きく方向転換させました。かつては入社30年を迎えた社員が一律に参加する年次研修として実施してきましたが、2016年からは50歳以上を対象に希望者を公募する形に変更しました。そのため、50代に入ってすぐの人も受講しますし、60歳が間近に迫った人の参加も見えるようになりました。一人で複数回の受講もできるため、以前も受けたけどまた参加したい、という社員もいます。
内容も、大きく変えました。以前は「振り返る」がテーマだったので、個人によっては、後ろ向きに捉えられることもあったようです。そうではなく「これからを見よう」と、コンセプトをがらりと変えました。参加者からは「50代になる前に聞いておきたかった」という感想も寄せられています。今後の課題として、本当に50代になってからの1回でいいのかということも感じています。
― 50代以上の社員の中に、人生100年時代に向けた準備、といった気運は高まっていると思いますか?
坂井さん:関心は高いと思います。電車の中にある中吊り広告でも、テレビといったメディアでも、「人生100年時代、これからどうする」といったことが、これだけ話題になっていますからね。
「内向きのまま定年退職」のリスク回避
吉本さん:定年退職後のお金の見通しが立つと、今度は人生をどう過ごそうかということがテーマになります。そこでプロボノを含めた社会貢献活動の情報や参加の機会を提供しています。
実は、危機感も持っているのです。生命保険会社は、既存のご契約も含めた毎月の生命保険料が収入になり、ある意味安定しているとも言えます。それゆえに、普通に仕事さえしていれば会社は回って行くと思いがちです。さらに、当社は社外との人材交流が非常に少ないため、社員が内向きになっていきやすい傾向があるのです。
そのままの意識で退職後に地域社会に出ると、そこで孤立してしまうかもしれない。企業で管理職を務めた人が、地域社会のフラットな人間関係になじめなくなってしまうという話はよく聞きます。そうした“元社員”を作りたくないという危機感から、社会貢献活動の情報提供については、ここ数年でかなり力を入れて推進しています。
― 会社が安定しているのは素晴らしいことだと思いますが、だからこそ、意図的に刺激をつくったほうが内部の活性化につながるという期待もあるのですね。ただ、プロボノ活動では外部の人との交流もあり、刺激が強すぎるといった心配はないでしょうか。その点はどうお考えですか?
吉本さん:外の世界を紹介したことで刺激を受け、仕事の活力になればいいし、仮に転職してしまう社員が出たとしても、個人的には許容できると考えています。逆に、定年退職まで富国生命という会社の環境しか知らず、退職後に社会に出て「こんな世界があったのか!?」と思ってしまうほうが、残念なことかなと思うんです。
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