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    東京ホームタウンSTORY

    2025年の東京をつくる 東京ホームタウンSTORY

    東京ホームタウン大学講義録

    「互いに支え合える社会」への展望と課題
    2016年度総括イベント「東京ホームタウン大学」基調対談レポート

    基調対談
    樋口 恵子氏・大森 彌氏
    2017年3月21日

    開催日:2017年 2月 4日(土)
    会 場:専修大学 神田キャンパス(東京・神保町)

    登壇者:
    樋口 恵子 氏(東京家政大学女性未来研究所長/NPO法人高齢社会をよくする女性の会 理事長)
    大森 彌 氏(東京大学名誉教授/NPO法人地域ケア政策ネットワーク 代表理事)
    聞き手・モデレーター:
    後藤 千恵 氏(NHK放送文化研究所メディア研究部 副部長/NHK解説委員)

    ※各分科会のレポートはこちらのページからご覧いただけます

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    人口減少・超高齢社会における地域コミュニティとは?
    NPO・地域団体等の多様な主体の参加によって地域社会を支える仕組みとは?
    介護保険制度の創設に関わり、急速な高齢化の進展の中で数々の提言活動を行ってきた樋口恵子さん・大森彌さんをゲストに、東京の抱える課題を見つめ、その解決に必要な新しい発想・社会システムのあり方に迫ります。

    高齢者像が大きく変化している

    後藤:
    まずは「2025年問題」について、理解を深めていきたいと思います。
    最初に私から、簡単にご説明をします。2016年現在、東京都には301万人の65歳以上の高齢者がいて、人口に占める割合は23%です。2025年にはそれが332万人、30%に増えます。東京都の場合、特に注目されるのは、31万人の高齢者が新たに増えるという、その増加数です。たとえば、秋田市の人口がちょうど31万人ですから、それくらいの規模の人たちが高齢者の仲間入りをすることになるわけです。さらに、高齢者のうち75歳以上の割合が現在の49%から、2025年には60%になるという点も注目されます。
    ただ、同時に考えなければいけないのは、「高齢者像」が変わってきているということです。例えば、今の75歳の方の歩く速度は、10年前の65歳の方の速度と同じ、つまり10歳若返っているという調査結果があります。また、75歳未満の要介護認定率は5%以下で、仮に介護の手が必要であっても、適切な支援さえあれば活躍し続けることができます。内閣府が行った高齢者の意識調査では、「何歳まで働きたいか」という問いに対して、「働けるうちはいつまでも」と答えた人が最も多く、30%に上っていました。
    では、長寿に欠かせないものとは何でしょうか。静岡県が10年間、14,000人の高齢者を追跡調査して明らかになったのは、①適度な運動、②バランスの取れた三度の食事、そして③社会参加という3つの要素でした。①②を満たしていた人は、何もしていない人に比べて死亡率が32%低く、さらに③社会参加をしていた人の死亡率は51%も低かったのです。
    社会参加とは、つまり他の人とつながることです。一人で運動をするのではなく、スポーツの会に参加する。お金という対価を得なくても何らかの形で働く。こうした「社会参加」の重要性が高まっているのです。よく言われます。大切なのは「きょうよう」と「きょういく」。「今日用」がある、「今日行く」ところがある、そんな毎日が大事、というわけです
    樋口先生は、この2025年問題についてどのようにお考えですか?

    家族のいない高齢者が増える“ファミレス社会”がやってくる

    樋口:
    お話いただいたことに加えたいことがひとつあります。2025年までもう10年ない中で、これからもっと進むであろうというのが、家族のいない高齢者が増える、ファミレス=”Family” ”less”社会です。
    私は東京育ち。中学の仲良し4人組の1人を、友人3人と一緒に見守りました。認知症だった。しばらく親族がいない状況だった。素敵なご夫君だったが、お子さんがいらっしゃらなかった。年が離れた兄上が3人。70代でお兄様方が亡くなっていった。
    私たちにとっては、赤の他人でも一定程度見守れる、と、認知症の人を見守る自信にはなった。だが、転んでけがをして手術となったときに困った。それがきっかけで、姪御さんが後見人になり、施設に入って生活しています。親が4人産んでくれていれば、探せば姪の1人や2人出てくる。
    では、我々は? 自分には一人娘がいるが、鬼娘なのでお陰様でボケずにいる。ケンカもすれば、憎まれ口もたたく。面倒見てくれなくていい!は禁句のはずだが、いつも言っている。兄弟は早く死んだので、三親等以内の親族が他にいない。他の友人4人組のうち、もう1人も子どもがいない。もう1人は一人娘。4人揃って、姪ゼロ甥ゼロ。これは私たち世代以下には特殊なことではないのです。
    団塊の世代の直後は親の数の2倍の子どもが生まれていた。私たちが子どもを産む頃、出生率が2を割った。世の中は、基本的にサラリーマンの転勤族が定着。親戚がいても遠いという人が多い。経時的に50歳時、70歳時の三親等以内の人数を調査してみると減少ぶりが分かるでしょう。これから先が大変。我々の子ども世代に当たる50代の女性の12~13%が独身のまま。私の娘も独身。子レス孫レス姪レス甥レスいとこレス。そういう中で2025年を迎える。もっと“レス”が増える中で、だれが、どうやって老いを守るのか。人口構成の急激な変化を作ってきたのは私たちの世代。責任をもって未来の社会づくりに参画しないといけない。

    大森:
    私は世田谷区生まれで、東京はマイタウン。戦後、第一次ベビーブームが起こり、突出した人口増加が発生し、これが団塊の世代ですが、その後、少し減ってから、第2次ベビーブームが起きた。ここも突出して人口が増えた。
    だとすると、第3次ベビーブームが起こるはずだったが、起きなかった。団塊ジュニアが子どもをつくらなかったんです。この人たちが50歳。80歳の親元に、50歳で引きこもりがちな独身の子どもが同居しているような例もある。2025年問題とは団塊の世代が後期高齢者になると同時に人口減少が決定的になり、今後どうするかを考えることだと思うんです。

    そこで、焦点になっているのが「地域」です。いろんなものが「地域」に持ち込まれようとしている。だからいま、地域が悲鳴をあげているんです。「地域」「地域」というが、一体「地域」って誰のことなんですか、と。ここが大事なテーマです。
    東京は、特段の単身者が多い。一番大きな問題は、全国から若者を吸収しながら、その若者たちが安心して結婚したり子どもがつくれないこと。しかも、単身高齢者、一人暮らしの人も多い。一体この人たちは、今後、安心して暮らせるだろうか。行政サービスは色々あるが、それだけじゃ無理でして、暮らしの場所の近辺でさまざまなニーズに応えられるようになっていなければならない。日々の生活の近辺で手がさしのべられる仕組みができるか。人びとが、地域の中で、「手を差し伸べる人生を選ぶこと」を、いいなと思えるような暮らし方ができるか。地域コミュニティの再建が求められています。

    「地域共生社会」のあるべき姿とは?

    後藤:
    “ファミレス社会”を迎え、「地域」そのものが脆弱になってきている、そうした現状の下で2025年に向けて、私たちに何ができるのか、何をなすべきなのか。最近、政府が使い始めたのが「地域共生社会」という言葉です。政府が2016年6月に出した「ニッポン一億総活躍プラン」の中でも「支え手側と受け手側に分かれるのではなく、地域のあらゆる住民が役割を持ち、支え合いながら、自分らしく活躍できる地域コミュニティ」ということを謳っています。では、それをどうやって作り上げていくのか。そもそも、地域共生社会とはどんな社会なのか。あるべき姿についてお伺いしたいと思います。

    大森:
    厚労省は悩んだうえで「地域共生社会」を打ち出したと思うんです。狙いは、従来、高齢者、障がい者といった、別建ての政策で予算を付けてきたが、これだと複雑なニーズに応えられない。ゼロ歳児から100歳を超える人まで、全世帯をカバーして、さまざまな困難を抱える人に、最も適切な支援が行き渡る仕組みをつくりたいと考えている。
    「共生」という概念はもともと生物学から来ています。一方がいなくなると、もう一方が生きられないという意味です。そういう発想に基づいて人が結びついていく、時代を象徴する概念です。認知症の方から学ぶこともたくさんある。認知症の人と、きちんと正面から付き合えば、どうしてほしいと思っているかわかるわけです。
    ボランティア活動は社会奉仕ではないんです。自分の生き方としてやるものです。私は、ボランティアで車いすの青年と会った経験があるんです。一緒に飲みに行ったりする中で、初めて教えられることがいっぱいあった。もともと障がいを持って生まれてきたことに本人には何の責任もない。けれども、障害があることで生きにくくなっている。ところが、私も生きにくいと感じる部分がある。共通点がわかったのは障がい者の若者と出会ったからでした。ボランティアとは、生き方としてやるものです。だからこそ「自分事」になるんです。

    東京ホームタウンプロジェクトの支援先、参加者、協力団体などをご紹介します。

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