2025年の東京をつくる 東京ホームタウンSTORY

東京ホームタウン大学講義録

「互いに支え合える社会」への展望と課題
2016年度総括イベント「東京ホームタウン大学」基調対談レポート

基調対談
樋口 恵子氏・大森 彌氏
2017年3月21日

開催日:2017年 2月 4日(土)
会 場:専修大学 神田キャンパス(東京・神保町)

登壇者:
樋口 恵子 氏(東京家政大学女性未来研究所長/NPO法人高齢社会をよくする女性の会 理事長)
大森 彌 氏(東京大学名誉教授/NPO法人地域ケア政策ネットワーク 代表理事)
聞き手・モデレーター:
後藤 千恵 氏(NHK放送文化研究所メディア研究部 副部長/NHK解説委員)

※各分科会のレポートはこちらのページからご覧いただけます

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人の役に立てる場をたくさん作ることこそ、健康長寿につながる大発明

後藤:
これから地域づくりを進めていくためには、どんなしくみや制度があれば、点から線、そして面へと広がっていくのでしょうか。

大森:
焦点のひとつは、地域でコミュニティを作り、維持できるかどうかでしょう。
基本的に、それが成り立つには2つのことが必要です。ひとつは、プライバシーの一定の共有。プライバシーを守ることに固執しすぎると、コミュニティはできません。ふたつ目は、共通にやることがある、ということ。共通の活動、共通したニ-ズ。個人でやるより効果が上がるようなこと。これは、東京のど真ん中でもできると思う。

樋口:
行政の方も、地域のリーダーの方も、当事者の話を丁寧に聞いてほしい。
長野県が、沖縄県に代わって、健康長寿日本一となったことで、その秘訣を聞いたが、県を挙げて減塩に取り組んだ効果という話は20年前の話。あれこれ考えて、最後に行きついたのは、公民館日本一、図書館日本一、美術館・博物館日本一、ということ。それから市長さんや町長さんから辞令が出るような役員・委員の人が多いということ。こうした役職の任命は、ほとんど男女平等で、女性の方が多いくらい。少し元気な人なら何かひとつぐらい委員などの役職を持っている。それぞれの役割を通して集まって発言できる場がある。認知症でも、本の読み方の上手な方がいた。足は悪かったけど、そのおばちゃまが来るのを子どもたちがみんな楽しみに待っている。人の役に立てる。そういう場をたくさん作っていくことじゃないかと思う。これは、エジソンの科学的発明と同じぐらい社会的大発明だと思う。

大森:
東大に、玄田有史(げんだゆうじ)さんという「希望学」をやっている先生がいる。地域の自分たちの将来を考えてそこに希望を見出だし、希望実現のために活動している人たちがいる。皆さん心根が優しい。そういう人びとのことを「希望活動人口」と呼んでいる。ある地域がどれくらい豊かかは、希望活動人口が多いかどうかによる。
土曜日にいろいろやることがある中、この場所に集まって来ている皆さんは「希望活動」をする人だと思います。

「人生100年時代」を生きるための社会デザインを

樋口:
人生100年。この長期間を生きる勉強を我々はしていない。産まれ育って、老いてからできた法律の中で暮らしている。
「人生100年時代」の社会をデザインしていかないといけないし、人生後半を生きるためには、第二の義務教育が必要ではないか。これは、教育を受ける側の義務ではなく、政府や自治体の義務だと思う。高齢者も、中年になってからできた法律の中で生活を守っている。例えば、70代のDVの男性がいても、DV防止法ができたのはこの人が定年になってからなのですから。
年をとっても、その年齢なりの責任を持って、時代の変化とともに、この国の住人らしく生きる必要がある。
例えば、介護している家族が10年間1度も旅行に行っていない、ということがある。介護を受けるお年寄りの側が、3日でもショートステイを受け入れてくれたら、旅行にも行けるのに。寝ているお年寄りにはかわいそうなようだが、ショートステイに1泊でもいいから行ってもらってほしい。社会の制約の中で生きる中で、サービスを社会全体の支えとして受ける中で、家族もお年寄りも、地域の一員・家族の一員・人間として、人間の尊厳を失わず、さりとて、一定の変化に対応して我慢をするのも、人生100年を平和の中で享受できた我々の責任だと思います。介護する人が幸せでなかったら、される人も幸せにならないと思います。

後藤:
世界に類を見ない超高齢社会。家族のありよう、雇用の仕組み、地域のつながりなど、社会が大きく変容する中で、安心して暮らしていくにはどうしたらいいのか。私たちは壮大な社会実験の中にいます。地域の中で「希望活動」をされる方々がどんどん増えて、人生100年時代をいきいきと生きられる社会にできれば、再びジャパン・アズ・ナンバーワンと言われるときが来るのかもしれません。
今日は、どうもありがとうございました。


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