2025年の東京をつくる 東京ホームタウンSTORY

東京ホームタウン大学講義録

人と人とのつながりが元気なまちをつくる ~最新フレイル予防の視点から見る地域活動の意義~
2018年度総括イベント「東京ホームタウン大学2019」 1限目 基調講義レポート

1限目 基調講義
飯島 勝矢 氏(東京大学高齢社会総合研究機構教授/医師/医学博士)
2019年5月11日

開催日:2019年 2月 23日(土)<br>会 場:津田塾大学 千駄ヶ谷キャンパス(東京・千駄ヶ谷)<br>登壇者:飯島 勝矢 氏(東京大学高齢社会総合研究機構教授/医師/医学博士)<br>⇒1限目 基調講義 全編動画はこちら<br><br>●2限目 テーマ別分科会レポートはこちら<br>(リンク先の分科会一覧よりご覧ください)<br>●3限目 総括講義レポートはこちら

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フレイルチェックによる“見える化”で
活動をグレードアップ

フレイル予防というのはまちづくりでやっていかなければならない。僕は全国各地で集いの場、市民の気づきの場を作っていて、この取り組みに東京で真っ先に手を上げてくれたのが西東京市です。モデル構築がかなり進んできたので、次は全国展開。これから静岡、新潟にも行く予定です。今、厚生労働省でもフレイル対策の強化に向けて動き始めています。

これは「介護予防かフレイル予防かの二者択一」という話じゃない。介護予防はこれからもやっていく中に新しい風を入れて、磨きをかけていこうというのがフレイル予防の位置づけです。介護予防の活動がちゃんと結果を生んでいるかどうか見える化し、もうひと回り、地に足つけた活動にしていくための、節目になるのが「フレイルチェック」なんです

フレイルチェックでは、良いデータに青シール、悪いデータに赤シールを貼っていきます。とある地域の、80歳近い6人のおばあちゃま仲良しグループ。みなさん見た目では同じようにお元気です。そのうち3人は、フレイルチェックがオール青。ところが、残り半分の3人は赤シールが妙に多い。そうした見た目にはわからないことを見える化することで、活性化していきます。

フレイル予防における健康状態の3つの柱は「栄養、運動、社会参加」。でもそれはみんな「わかってるよ」と思う。その当たり前のことを「ええ、そうだったんだ。ちょっと娘に言わなきゃ」という感じにさせるのが、僕の狙いです。そのためには、例えば「歩くほうがいい」はわかっているから、違う言葉にする。「俺たちシニアの間では2週間の寝たきり生活はいっぺんに7年分の筋肉を失っちゃうんだよ。知らなかったでしょ」ってフレイルサポーターが言えば、聞いたシニアの方は「ええーっ」となる。言っている内容は同じでも、科学的根拠に裏づけられた言葉だと「怖い」と思う。ここがポイントなんですね。

運動だけをするよりも
文化活動、地域活動が予防になる!

また、以前、テレビ番組に出演した際にも紹介した、社会的フレイルについてのおもしろいデータがあります。約5万人の高齢者を対象とした調査データです。高齢者の方々が行なっているさまざまな活動から、まず3つをピックアップしました。1つ目は「身体活動」。これはほぼ毎日のジョギングや週末はかならずジム通いといった頻繁な運動習慣です。今日ご来場の方々にもきっといらっしゃいますね。2つ目は「文化活動」。散歩はしないけど、囲碁、将棋大好きなんだよとか、女性が集まって行う文化活動もあります。3つ目は、「地域活動・ボランティア活動」。この3つの活動がどれくらい生活サイクルに入ってるかどうかで○×の掛け合わせをして、この5万人を8つのグループに分けてみました。

この棒グラフは虚弱状態、フレイルになる危険度、リスクの高さを表しています。棒グラフは高くないほうがいい。まず、わかりやすいのが「オール○」、3つすべての活動を頻繁に行っているスーパーおじいちゃん、おばあちゃんたちですね。それと比べると、3つの活動のどれもしていない「オール×」は16倍以上、フレイルになるリスクが高い。ただ、僕も驚いたのは、次のグループなんです。

運動習慣ゼロで散歩ひとつしていない、でも文化活動、地域活動はしょっちゅうやってます、という人たち。1週間のスケジュール真っ黒、という方々いますよね。一方で、運動はバリバリしているけれど文化活動、地域活動はやっていませんという人たちがいる。この2つのグループを比べると、運動だけしている方々のほうが、3倍もフレイルのリスクが高かったわけです。ただ、これは運動神話が崩れたというわけではない。運動するだけでも、フレイルになるリスクは16倍から6倍まで減るわけですから。だからもちろん運動はしたほうがいいけれど、もうおわかりのように、このグラフの赤枠にポイントがあるわけです。

つまり、運動しなくても、文化活動と地域活動だけをちょこちょこやり続けるだけでも十分たたかえてますよ、あなたにとってのフレイル予防になってますよ、ということです。文化活動と地域活動の共通項は「人とのつながり」。ジョギングをしたり万歩計は見たりしていなくても、結果的にはコミュニティに出て、集っておしゃべりして、一緒に食事に行ってるかもしれない。結果的には動いているんですね

この感覚を僕はフレイルチェックという仕組みに乗せています。「栄養、運動、社会参加」というフレイル予防の3つの柱、その取り組み方は300人いれば300通りあるんです。ただ、同じことをするにも、集ったほうがいい。人とつながってやったほうがいい。もちろん一人の時間とのバランスを取りながらも、人とのつながりこそが根底にあり、メインエンジンとなります。

最後に、僕個人としての3年後の目標です。3年後には、国民の全員がフレイルという言葉を聞いたことがあって、理解度はまちまちだけど“老い”ってことね、と知っていて、しかもそこらへんのおじちゃんとか40代のサラリーマン同士とか大学生が、「メタボってんじゃないの?」と言うのと同じ感覚で、「最近、フレっちゃってない?」「そうだよな。フレっちゃったな。頑張らなきゃ」なんて言っちゃう。そんな市民の共通言語にしていくことを目指しています。ありがとうございました。

 


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