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    東京ホームタウンSTORY

    2025年の東京をつくる 東京ホームタウンSTORY

    東京ホームタウン大学院

    主体的な社会参加を広げるには? “東京のこれから”を共に考える
    2020年度 東京ホームタウン大学院セミナーレポート


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    得意なことを見つけ、背中を押してあげ、主体性を引き出す

    嵯峨:
    浦田さんに質問です。地域福祉コーディネーターの話がありましたが、ただ繋ぐだけではかえってうまくいかないリスクもあるかと思います。浦田さんが地域のニーズをうまく気づいて、立ち上げる際、どのようなことを心掛けていらっしゃいますか?

    浦田氏:
    おっしゃる通りで、繋げる、出会いの場をつくる、だけでは始まらないことが多いです。日本人は本音をあまり言わないので、引き出していくのが重要です。例えば、「こまじいのうち」を始める際は、「こういった困った人がいるから、こういう活動をしましょうか」と提案するだけでなく、「こうした活動についてどう思いますか?」というリサーチをかなりしました。地域の方や行政の方に聞いて、一人ずつ口説いていくような感じで感触を把握していき、そこからはじめて数人で集まって、どんなことができそうか話し合います。そこから、座組みをもう少し大きくしていき、40人くらいの実行委員を作り、全体で話して、いろんな人を巻き込んでいきました。

    嵯峨:
    そういったやり方を、他の地域福祉コーディネーターに伝授されているのでしょうか?

    浦田氏:
    そうですね。若い職員が多いので、最初は戸惑ったり、「こんなこと言われたんです」とショックを受けたりすることもあるようですが、いまはノウハウも積みあがってきて、皆で相談したり、話し合ったりしながら進めています。

    服部氏:
    永遠のテーマと思いますが、人のモチベーションをどう引き出すのでしょうか。人をどう動かすのか、浦田さんなりのコツはありますか?

    浦田氏:
    得意なことを伸ばしていく方が良いというのが大前提としてあるので、それを見つけることが大事だと思っています。かと言って、得意なことも「やります」となかなか言えない方も多いので、最初は、お願いしてでも得意なことからやってもらいます。負担の少ないところから始まり、それが自信になって、他の活動に繋がることがあります。得意なことを見つけ、背中を押し、それを「すごい」と皆で褒めたたえ合う。地域活動は、なかなか成果が目に見えづらく、評価される機会が多くないので、なるべく言語化して伝えてあげるようにしています。

    企業からみた、デジタルの活用とつながりの可能性

    嵯峨:
    田中さんは、「起業準備中」ということですが、今、お考えの内容を差し支えない範囲でご紹介お願いできますか。

    田中氏:
    プロボノで培ったことを糧に、地域活動を促進するような「localbase」という名前のITサービスをつくろうと考えています。元気な高齢者の経験を活かしたワークシェアリングサービスのイメージです。
    今後、地域づくりや介護が、住民の互助に流れていくという中で、プロボノを通じて団体の話を聞くと、担い手がいない、後継者が育たないという話を聞くことが多いです。一方で、地域で活躍する場を欲しているというニーズもあると思います。高齢の方々も、現役世代を卒業すると「高齢者」とひとくくりにされてしまい、自分が今まで経験してきた得意分野を活かして活躍できる場がなかなか無いと感じています。そのような課題について、ITを活用して解決したいと考えています。
    考えているのは、ボランティアのマッチングです。スマホのアプリを使って、元気な高齢者が、支援が必要な高齢者のもとへ、日常生活支援に伺うことができる仕組みを目指しています。同時に、マッチングを通じて、どこでどういう課題が発生しているのか、どういった経験の方がどういうことをやるとどういう評価が得られるのか、そのようなデータを蓄積します。最終的に中間支援組織や行政の方が見れるようにして、施策の効果測定などに役立てるようにしたいと考えています。

    日俣氏:
    データを蓄積し、中間支援の方々に提供するというところが魅力ですね。このような活動にどれだけデジタルを入れていくか、まだまだ可能性があると思っています。客観的にデータを活用することが重要だと考えています。
    私たちが不動産会社として事業をしながら、どのように社会課題解決を行っていくかという中で、興味を持っているのが地方創生と高齢化社会です。地方創生に関してはクラウドファンディングをやりたいと考えています。お金を投じてリターンをもらって終わり、ではない形。地域を応援しようとお金を拠出した際に、地元で使える商品券を渡す、または私たちが営んでいる施設利用券を無料でお渡しするという形があります。そうすると、商品券を使っていただくときに、長く滞在いただいて、Uターン、Iターンに繋げていく、といった活動に繋げていくニーズにつながります。
    高齢化社会の課題解決については、アプリを検索すると数百のアプリがあります。しかし、そこに「つながり」というキーワードをいれるとサービスがぐっと少なくなります。何かアプリなどを通じてつながっていく、ということを事業者としてできないかを考えています。

    嵯峨:
    最後に一言ずつ、今日の感想をいただいてもよろしいでしょうか。

    田中氏:
    楽しい議論であっという間でした。浦田さんの話などが経験に裏付けられたお話で、非常に勉強になりました。

    浦田氏:
    コロナの社会になり、いままでやってきたことが当たり前じゃないという状況があります。第二波、第三波と言われている中で、今までと違う視点での取り組みも必要かと思います。オンラインを活用している高齢者の皆さんも結構いるんだという発見もありました。むしろ私たちが諦めてしまっていることが多いのかなとも感じます。困窮される家庭が増えてくるはずなので、ニーズが変わっていくはず。これからそういったことも踏まえた事業計画を考えないと、と思っています。

    日俣氏:
    地域活動の集まりの中では、企業サイドとして発言することに「なんで企業がそういうことやるの?」と言われるのが、まだ現状だと感じています。私もライフワークとして活動を積み重ねていく中で、企業の存在感を出していければと思っています。

    服部氏:
    画面を見ていると、本日のセミナーには多世代の方々が参加されていると感じました。高齢の方も、20代くらいの若い方も参加している。行政の時代が長かったので、こういう場を設けられるのが時代の変化を感じます。この場を活用して、何か新たに一つ作りたい気持ちになりました。

    嵯峨:
    本日はありがとうございました。

    東京ホームタウンプロジェクトの支援先、参加者、協力団体などをご紹介します。

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