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    東京ホームタウンSTORY

    2025年の東京をつくる 東京ホームタウンSTORY

    東京ホームタウン大学院

    主体的な社会参加を広げるには? “東京のこれから”を共に考える
    2020年度 東京ホームタウン大学院セミナーレポート


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    東京ホームタウンプロジェクトを通じて得られた気づき

    嵯峨:
    田中さんは、2015年からプロボノワーカーとしてご活躍いただいていますが、東京ホームタウンプロジェクトとしての事例からご紹介いただけますでしょうか。

    田中氏:
    2015年からプロボノを経験しており、東京ホームタウンプロジェクトは3つ関わりました。1つ目は、稲城市の「矢野口地区介護予防ラジオ体操会」の事業評価プロジェクトでした。矢野口地域で、30-40人規模の複数グループが集まっている、総勢200名くらのラジオ体操の活動を支援しました。
    もともとこのラジオ体操会は、転倒骨折予防のために、地域住民が、自主グループを組んで体操を始めたものです。活動を発展させようと屋外でラジオ体操を始めたところ、最初10数名だった活動が、あれよあれよという間に200人に発展しました。そこで、我々はこの活動の成果をより多くの人に伝えるため、事業評価を行いました。
    初プロジェクトでしたが、非常に面白かったプロジェクトです。この活動を通して、いままでなかなか地域に出てこなかった男性の参加が大きく進んだこと、さらに、ラジオ体操に参加した人の6割以上が、町会やボランティアなど、体操以外の地域活動に参加するきっかけを手に入れたという結果が見られました。また、活動の直接的な効果だけではなく、実は要介護の認定率がこの地区だけ非常に低くなっていたんです。この活動だけで100%説明ができるものではありませんが、介護給付が下がっているなどの副次的な効果がわかりました。

    2つ目に関わったプロジェクトは、「八王子市シルバーふらっと相談室 館ケ丘」の事業評価です。
    高齢者の相談窓口ですが、おもしろいのは相談室と併設して、住民主体のカフェを運営されていたところです。そのカフェで働いているのは、認知症の方、障がいがある方などのボランティアの方々です。従来であれば支援を受ける側とされる人であっても、一緒に働きながら楽しく過ごしているのが特徴でした。
    プロジェクトでは、コミュニティを評価する指標として「ソーシャルキャピタル」を定義して取り入れて、どういう行動によって、どうやって住民のつながりが広がったかというメカニズムを分析しました。どのように地域のつながりが生まれるか、非常に勉強になったプロジェクトです。

    最近取り組んだ3つ目の支援先は、三鷹市の「みたか・みんなの広場」運営協議会です。三鷹市の高齢者のためのお役立ちハンドブックを作るためのニーズ調査を行うプロジェクトでした。高齢の方々が活動したいと思っても、どこで活動すればいいかわからない。介護予防はどこにいって勉強すれば良いかわからない。そのように、高齢の方々が実際、何を考えて何を悩んでいるかについて、三鷹市内のランダムに選んだ4,000世帯に対して、調査を実施しました。
    その後、その調査結果をもとに「三鷹の高齢者お役立ちハンドブック」をみたか・みんなの広場さんが作成されました。8,000部作成して、あっという間に無くなるくらい好評でした。地域の高齢者は何かしら社会とのつながりを欲しているということを、身を持って感じたプロジェクトでした。

    嵯峨:
    プロジェクトを重ねるごとに、田中さんの中でも気づきや発見がつながっていく、という感覚があったのではないでしょうか。

    田中氏:
    2015年に初めてプロジェクトに関わったときは、地域づくり、介護などはまったくわかりませんでした。
    ただ実際に地域に携わっている高齢の方々に接することで、自分の住んでいるまちのそばでどんな問題が起きていて、どんな人がどういう想いをしているか、報道ではわからないリアルな悩みがわかるようになりました。
    活動をしていて印象的だったのは、今まで現役世代でいろいろな経験をしている人がいるが、引退してしまうと「高齢者」とひとくくりに扱われてしまうことです。一人ひとりの個性や、それまでの経験が埋もれてしまいがちと感じています。個人個人が活躍できる世の中ってどういうことなんだろう、という気づきを得られたのは大きかったです。

    事業者として地域包括ケアに関わる意義

    嵯峨:
    日俣さんも、昨年東京ホームタウンプロジェクトにご参加いただきました。きっかけは何でしたか?

    日俣氏:
    事業戦略の仕事をする中で、「副業」というキーワードに注目していました。シニア住宅を展開するなかで、北欧の国に視察に行く機会がありました。それまで不動産会社は、運営事業者側が入居者にサービスを提供するという固定観念がありましたが、そこでは、シニア住宅の周辺住民の方々が簡単なお手伝いを自分の意思で行っているのを知りました。電球交換や壁紙が剥がれたときなど、自由に施設に入って直してあげる。そういう文化があって、おもしろいと感じました。我が国で何ができるかと思ったときに、副業という形に着目したのが、プロボノを知ったきっかけです。そこで、自らもプロボノを体験しなければと思い参加したのがきっかけです。

    嵯峨:
    実際に参加をして、地域活動に触れて、本業に持ち帰るものもありましたか?

    日俣氏:
    ありますね。まず、プロボノに社内で一番詳しくなりました(笑)。
    会社内に浸透させようとしていて、「頭に汗をかくボランティア」と言って広げています。我々が展開するシニア住宅事業において、拠点拠点で、地域包括ケアを支援する取り組みを行っています。

    嵯峨:
    プロボノで得た知見が、事業・ビジネスにつながりそうですか?

    日俣氏:
    つながると思います。間接的には、地域包括ケアを支援している事業者ということで注目を浴び、より質の高いサービスを提供しているという期待感があり、それで仕事をいただくこともあります。そもそもの視点としては、地方創生という社会課題に注目しているところもあり、地方創生に関心のある方々を募ったり、マーケティングをしたり、我々の進出する地方にパッケージ旅行で呼び込むなどの事業企画も考えています。社会課題を事業者としても注目しながらビジネスにしていくという、いくつかのアイデアが進行しています。

    嵯峨:
    事業者としてサービスを提供するというスタンスについて、今後変わっていくかもしれないということをお考えでしょうか?

    日俣氏:
    服部さんからのお話を聞いて、自分たち事業者として提供するサービスだけでは物足りない、変えていかなければと思っています。

    東京ホームタウンプロジェクトの支援先、参加者、協力団体などをご紹介します。

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